【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(81)
覚悟と言うか、大半の人がきっとそうなるだろうと思っていた5月6日までの「緊急事態宣言」は、5月31日までに延長された。このことは、専門家会議が判断するコロナ感染者の減少が、思うような推移とならないからだという。
「仕方ないね」と、十分な納得ではないが、分かったような言い方にはなる。しかし、中小企業や、遊興施設、食べ物屋さん、フリーランスで働く人たちなどが、さらなる生活困窮を強いられることになるのではないだろうか。それも生死を問うほどの。
政府の経済対策が後手後手になっているという批判を、有識者たちがこぞって述べてもいる。そして、コロナの収束・終息に奔走している医療従事者の方たちの見解なども、日々のニュースとして流され続けている。
ところで、白井市は4月末、「市が関わる大きな行事は満を持して12月31日迄、すべて中止」ということを発表した。コロナウィルスの感染拡大防止と、準備期間の会議や練習が出来ないことが、理由だという。もう一つは、国の補正予算が可決されて、自治体は支援金窓口業務が一気に忙しくなることも理由に挙げられている。
このことは、私が参加しているサークル活動では、発表の機会が今年は無くなることだ。残念ではあるが、自分なりの家での過ごし方もある。例えばコーラスならICレコーダーの録音を聞きながら、歌う法がある。先生が私たちのためにユーチューブで歌われているのを、参考にすることも出来る。
などと、殊勝なことを言ってはみるが、超帳場ともなればどうなるのか。手作りの会なら、手持ちの布を使って自分なりの作品作りもしているが、やはり張り合いはない。
そんな日々の中で、テレビのスポットでは海外で活躍しているアスリートたちも自粛生活をしながら、日本に向けての応援メッセージや、家の中でできる運動を少しユーモアも含めた映像で披露している。多くの歌手やアイドルたちは、ネット配信としてリモート映像を流しながら、個人の日常生活の一部の動画や応援ソングを流している。芸人さんたちからは、独特のユーモアも含めた場面や、絵などもある。
ネットとなれば、俳優・女優・スケーター・芸人さんなどの、個性と独創性に富んだマスク姿が。家の中での過ごし方として、ペットと戯れる姿や、お子さんとの過ごし方を披露している人も。
今までは縁の無かった料理に挑戦して、その動画を流しながら自粛生活を過ごしている人もいる。わざわざ見ようと思ったわけではないが、ネットニュースや、言葉や分からないことを調べる時に、スマホから知り得て、ついつい見入ることになる。
一般人でも、ユーチューブやインスタグラムを使って、気分転換の一端なのか、自分の得意分野を配信している。やはり、マスク関係が多いが、お気に入りの化粧の仕方や、洋服のチョイスの変化を見せているのは若い人だ。料理自慢を披露する人の多いこと、多いこと。独特のアイデアもあるが、今は食材の冷凍ストックを利用することや、これぞ免疫料理とするのもある。
声を出すこと、話すこと、歌うことなどは、高齢者には大事なことだ。夫はスマホを使って一人カラオケをしているが、その歌声に思わず難癖をつけたくなる。ま、ガマン、ガマン。
今までは家族間だけでしてきたことを、少し広げて友人などにメールやLINEで、庭の花や、少し自慢の習作品を写真で見せ合うのも、今のこの自粛期間だからこその賜物だろう。
少しでも楽しいこと、嬉しいことを伝えられれば良いが、今の時期、辛いことや嫌なことも思い切り発散しても良い。共感できる人がいることが何よりだが、流して聞いてくれるだけでも良い。励ましや慰めだけが、情報でもないだろう。