
これは「聖夜の奇跡」か?
写真集の中から驚きのメモが
山本徳造(本ブログ編集人)
昨夜はクリスマスでした。私はキリスト教徒ではありませんが、妻がカトリックの高校に通っていたので、聖夜を祝うことに。ま、仕方がないでしょう。日本人は八百万の神を信じているので、何事にも寛容です。
そんなわけで、聖夜を祝うことになったのです。前夜、大好物の生牡蠣をたっぷり味わったので、赤ワインと簡単な料理でささやかな晩餐を楽しむことにしました。
今年はキナ臭い出来事に事欠かないので、食卓の話題もついついガザのことになってしまいます。ハマスもイスラエルも、双方とも強硬な姿勢を変えないので、パレスチナの一般市民に大勢の犠牲者が出ています。イスラエル軍兵士の戦死者も予想以上の数に上っているとか。
ガザの影響はヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムにも及んでいます。イエス・キリストの生誕地とされているベツレヘム。例年なら世界中からキリスト教徒が訪れてクリスマスを盛大に祝うのですが、ガザの影響でクリスマスは閑散たるものでした。
ガザだけでなくウクライナの戦闘もいつ終わるやら。そのことを思うと、日本はいかに平和なことか。妻がこんなことを言い出しました。
「日本は平和なだけじゃないわ。どこに行っても景色がきれいもん。私、疲れたときなんか、いつも写真集を見ているの」
「なんの写真集?」
「日本のきれいな景色ばかり集めた写真集よ。今、持ってくるわ」
食卓を離れた妻が寝室に向かいます。そして1分もたたないうちに戻ってきました。大きな本を抱えて。本のタイトルは『Intimate Seasons 日本の美しい「心のふるさと」 四季の情景』(写真/前田真三・前田晃)とあります。出版されたのは2001年11月というから、22年前のことです。
「あっ、倉持さんが贈ってくれた本だ」
「そうよ。私、この本、大好き。見ていると心が休まるのよねえ」
▲『Intimate Seasons』講談社インターナショナル刊
講談社インターナショナル刊でした。海外向けの本なので、ほとんどが英語で表記されています。思い出しました。同社の編集長だった倉持哲夫さんが贈ってくれたのです。
大学卒業後の私が最初に勤めた出版社の同僚で、新卒の私に編集のことを親身になって教えてくれました。その後、同社は解散し、倉持さんは講談社インターナショナルに移ります。その出版社から私の本を2冊(『陽はアジアに昇る』『ガイジンの逆襲』)も出してくれました。
さて、この写真集は日本の四季を強調しているので、春夏秋冬の景色が中心です。私も20年ぶりに見たのですが、どのページも素晴らしい写真ばかり。妻が言うように、本当に心が安らぎます。
そして、ページをめくっていると、1枚のメモ用紙が。倉持さん自筆のメモです。それを見て驚きました。なんと「メリークリスマス!」と書かれているではないですか。
偶然にしては、偶然過ぎます。まるで映画のシーンみたいですね。「聖夜の奇跡」としか言いようがありません。私にとって、忘れられない聖夜になりました。
▲驚きのメモ
倉持さんは昨年11月、こんな本も手掛けています。本ブログでも書評で取り上げましたので、ご覧ください。
●《注目の書籍》 名言名句で読む日本人の歴史~一日一言の教養
https://blog.goo.ne.jp/46141105315genkigooid/e/d92f2419e7ac2372d6f1184d35d74116