とうとうプーチンがウクライナに侵攻した。そして二日でウクライナの首都キエフを包囲した。この後の発展はどうなるか予測は難しいが、私個人の意見ではプーチンのウクライナ侵攻は「キエフ冬の陣」である。正に宮崎正弘さんの本のタイトル、「バ◯殿が世界を破滅させる」である。
私はウクライナが戦争を始めることはないし、ロシアもウクライナに侵攻しても得る所がないと思っていたが、予想に反してプーチンはドネツク共和国とルガンスク共和国を支持すると宣言した後すぐに戦争を始めてしまった。ウクライナに侵攻してもアメリカとNATO連盟は手出し出来ないことは初めからわかっていた。ウクライナはロシアと戦う力がない。戦争は避けるべきだけれどウクライナが戦争を始めたのではない。
ウクライナの反戦意向はともかく、プーチンとバ◯殿との間で「恫喝ごっこ」がどんどんエスカレートして遂にプーチンがウクライナ侵攻を決行した。現状は刻々と変化しているので予測は困難だが、ロシア軍がキエフを占領するのは時間の問題だけだ。キエフを占領した後でプーチンはゼレンスキーと停戦交渉を始め、ロシア側が媾和条件を出してゼレンスキーの承認を求めるだろう。
バ◯殿はプーチンがウクライナに侵攻すればロシアが厳重な困難を伴う経済封鎖を行うと警告していたが、ロシア軍がキエフを占領するのは時間の問題となっても「厳重な経済封鎖」をしていない。
石油価格が100ドルを突破してアメリカも欧州もガソリンの値段が高騰しているがロシアは石油値段の上昇で逆に儲かる状態である。アメリカ国内ではガソリンの値段が上がってインフレとなっているのにロシアは大した影響を受けていない。
つまり経済封鎖はロシアが困るのでなくアメリカの国民が影響を受けていると言った逆効果である。共和党の議員はバ◯殿大統領にキーストン・パイプラインを再開し、国内の石油生産を今すぐ再開始すべきと主張している。それでもバ◯殿は国内石油生産の再開始に反対している。バ◯殿が国内の石油生産に反対する理由とは「気候温暖化のための脱炭素政策」である。ウクライナ侵攻が始まってもロシアが欧州に石油を販売するのをストップできない上に気候温暖化を軽減するという理由で自国の生産をストップするバカさ加減には呆れてものが言えない。
民主国家にはNATOの正当性がないことも知悉している。NATOとはロシア攻撃の基地を構築(増築)することだからだ。しかしゼレンスキー大統領はこれ以上国民の死傷が増えないためにロシアと停戦交渉をしなければならない。プーチンの媾和条件はこれまで主張してきた通り、①ウクライナのNATO不参加と中立、②NATOの不拡大、③ゼレンスキー退任と親露政権の設立―だ。民主国家はこの条件を受け入れないけれど、ゼレンスキーはこれらの条件を拒否する力がない。これが「キエフ冬の陣」の結果である。
バ◯殿や欧州の自称民主国家はこの媾和条件を受け入れないだろう。そうなったらアメリカもドイツもウクライナに武器弾薬を提供してウクライナの戦力を強化し、「キエフ夏の陣」となるかもしれない。
夏の陣の結果は「ロシアのウクライナ併合」かもしれないが誰にも予測はできない。
(*編集部注=文中に「バ◯殿」とありますが、ご察しの如く「バイデン大統領」のこと。宮崎正弘氏の本のタイトルは「バイデン大統領が世界を破滅させる」(徳間書店)です。)