白井健康元気村

千葉県白井市での健康教室をはじめ、旅行、グルメ、パークゴルフ、パーティーなどの情報や各種コラムを満載。

善良な市民は… 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆(53)

2022-06-01 07:13:43 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆(53)

善良な市民は…

岩崎邦子 

 

 

 散歩を兼ねて夫と買物に出かけたが、道すがら今を盛りとした花々を愛でるのが楽しみだ。花の手入れも手間や体力が結構いるものなので、マンション暮らしになってからは、もっぱらよそ様の庭やボランティアで花の育成をしている人達の花壇を眺め癒されている。
 買い物を終え、道を渡って少し先のUさんの家がある方を見ると、車の清掃をされている姿が見えた。夫は嬉しそうに「Uさんちに寄ろう」と言って、「Uさん!」と呼びかける。
 私も一緒になって「Uさ~ん」と2、3回、大声を張り上げたが、一向に聞こえないらしい。近くまで行って「Uさん、こんにちは!」と言うと、びっくりして私たちの顔を見て、鼻マスクにしていたのを、急いで掛け直す。
「あ、いいんです、マスクしなくて!」
 私達もマーケット内では掛けていたマスクを外して歩いていたのである。
 Uさんは嬉しそうにしながらも、マスクをしたまま裏庭へ回るように促した。それほど広くはないが、手入れの行き届いた庭である。
「今年は梅が沢山実って……」とUさん。「梅酒の中の梅が好きだと言ってましたよね」
 私の好物を覚えておられたことに、少しびっくり。
 庭には小ぶりの丸いテーブルと椅子があって、車の往来が激しい表通りと打って変わって静かで落ち着く。
 Uさんと親しく話せるのは、何年ぶりのことだろう。所属していた「I」というパークゴルフの会が立ち上がった時、その会合に私が出席のが初対面であった。
 白髪がとても奇麗で、新参者の私に、とても親切に接していただいた。プレーに参加するようになると、その指導ぶりも適切で、夫も「あの人は紳士だなぁ」と、すぐに好感を抱いたようである。
 Uさんは、車の教習所の教官を何年かされていたとか。ルールやマナーのことは、車の運転にも、スポーツにも通じることであるのだろう。厳しいけれど、なるほどと納得のいく言い方をされていた。
 教習所をリタイアした後、特養老人ホームにショートステイする人の送り迎えをしていた。その親切さと優しさで、ホームからは絶大な信頼を得ていたようである。
 何年かして、「I」から私達が身を引くことになったが、その頃のUさんは、昔に痛めた左脚(大腿骨)の痛みが酷くなったとかで、手術を考えていという。
 手術後は良くなられたとも聞いたが、パークゴルフ場では昔の仲間を見かけることはあっても、Uさんの姿を見なかったので、気になっていた。今のUさんは、長距離は無理でも車の運転はできる。
 でも、やはり歩けば骨盤などの痛みが出て、好きだったパークゴルフは断念したそうだ。
 会話は昔のように紳士的な話しぶりである。補聴器を付けられているが、やはり会話は大きめの声で早口にならないようにと、心がけて話した。Uさんは、当時の人の消息が知りたいのか、次々と名前が挙がる。そして、私達が「I」を、なぜ辞めることになったのか、納得がいかなかったらしい。
「あんなに明るく、頑張っていたのに……」
「えぇ、たまにパークゴルフ場で、「I」の人に会いますけど、МさんやKさん、他にもほとんどの人が、にこやかに話しかけて来て、挨拶をしてくれますよ。ただ、私達が問題ありとした人の姿は、その後早い段階から、全く見かけませんけど」
 Uさんは頷きながら、当時の仲間達の顔を思い出すかのような表情を浮かべた。
 亡くなった人、認知症が気になる人、仲間との距離がうまく取れなくなってしまった人の話題。それに年を重ねてくれば、本人の体調だけでは済まされない事情などが起きることにも、話が及ぶ。庭での会話なので、私はマスクを外していたが、律儀なUさんはマスクをしっかりされていた。
 マスク着用の習慣は、日々の生活の中でしっかり身についてしまったのか、政府からマスク外しの条件が出ても、簡単には実行できない人が少なくない。
 日本人に限らず、東洋人に多いのだろうか。なんでも韓国では1年ほど前から、外でのマスク無しが許されているそうだが、大半がマスクを着用している。「感染が怖いから」と、テレビでインタビューされた人が答えていた。
 私達のマスク外しが簡単に出来ない理由には、エレベーター内や食料品などの店舗、人との会話の距離が取れない場合には、マスク着用をしなければならない、そんな面倒くささがある。
 かつてのように、旅行したり、気楽に友人と交流出来ない今、地域密着型のサークルやグループ活動をするのがせいぜい。そうした中での最近の会話は、マスク以外ではコロナワクチンの4回目の接種についてである。
 その案内が手元に届いているわけではないが、「今度はもう、接種しない」という声の多いこと多いこと。3回目の接種で副反応が出た人がかなり多かったこともあるのかも。
 熱は出ないのに接種後に体中が猛烈に痛くなって、起き上がることが出来なかった人。何日も何日も体の具合が悪く、倦怠感が酷かった人。そんな話を聞くと、本当に驚いてしまう。私は平熱が低いので、それほどの高熱でもないのに、苦しかったことを思い出した。
 ところで、ワクチン接種に反対する人がいるが、「自己免疫力が低下してしまう」というのが、その大きな理由だとか。若者を対象にしているのか、テレビでは、著名人や政治家がワクチン接種を促す場面が何度も放映された。
 昨年6月に大学を卒業した孫娘は、この春の大学院入学までの間、都心でアパート暮らしをしながらバイト生活。でも、ワクチン接種には、まるで積極的でないみたい。
 そんな孫娘がある時、オフィスビルに沿った道路を数十人がデモ行進していたので、インスタグラムに載せていた。ワクチン反対のデモ行進である。その種のデモ行進は度々見かけていたが、この時はトランプさんを支持するグループだったので、珍しいと思ったようだ。
 個人がいろいろ考えるのは自由で、人に押し付けることも、強制されることもないと思う。でも、私達のような善良な国民は、国が出す方針に対しては、素直に従ってきている。
 このブログで桑原玉樹さんが「腹ふくるるわざ」という題の連載をされている。つい先日、「国がワクチン効果のデータ修正!」という一文を書かれた。
 CBC(中京テレビ)のニュース番組で放映されたをまとめられたもので、まさに驚きの内容である。こんな重大なことを、なぜ東京のテレビ局やマスコミが、どこも報道しないのだろう。
 いずれにしても、ワクチン接種もマスク着用のことも、自分の判断で決めたい。一日も早く友人・知人との会話や、スポーツ、旅行を楽しみ、大らかな日々を健康で過ごしたいものだ。

 

【関連記事】
●国がワクチン効果のデータを修正! 【連載】腹ふくるるわざ㉘
https://blog.goo.ne.jp/46141105315genkigooid/e/b81707ce34f0c51599f3102c0fd3a25f

 

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 印西が新ビジネスで世界から... | トップ |  サスマン裁判の陪審員判決は... »
最新の画像もっと見る

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆」カテゴリの最新記事