白井健康元気村

千葉県白井市での健康教室をはじめ、旅行、グルメ、パークゴルフ、パーティーなどの情報や各種コラムを満載。

身だしなみ  岩崎邦子の「日々悠々」(53)

2019-10-11 04:40:33 | 【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(53)

 

身だしなみ               

 

 

   所用が終わって我が家へ急ぐ道すがら、少し強い風が吹く中を、長めの白い髪が振り乱れた年配の女性とすれ違った。「うぁ、怖い!」山姥なんて見たことはないが、きっと、こんな人だろうなぁ……。

   白髪そのものはテレビでも有名人の女性を見かけるし、身近な人にも居て素敵だなぁと思っている。そして最近の風潮は「グレーヘヤー」として、白髪が持てはやされている。だがそれらの人は、きちんと顔に合った髪型をしていることで、魅力があるのだ。

   多くの女性は年を重ねて髪に白いものが見え始めると、ヘアーカラー(染髪)をしたものだ。私はまだ白髪がほとんどない頃から、おしゃれのつもりで、少し茶色の入った髪にしていた。白髪が多くなったら、染めなくても良いと思っていたが、その切り替え時を失してしまっている。ともあれ、髪の手入れが下手な私は、ショートヘアに徹することにしている。

   夫の転勤でアメリカに滞在していた時、人種のるつぼともいえる地にあっては、髪は縮れ毛や直毛、金髪・銀髪、その度合いも様々だ。アジア圏の日本人は一様に黒髪に見えるようだった。「どうして日本人は黒い色の髪にしているの?」と、不思議がられた。

 日本人の私は、それまでは髪の色や服装の色について、あまり深く考えたこともなかった。だが、雨も滅多に降らない青空の下、かの地で見かけた白人女性たちの華やかさ。目を見張るしかない。ピンクやブルーの目の覚めるような色彩を着こなせるのは、白い肌やブロンドの髪がなせるからなのだ。スパニッシュ系の人は赤や黄色などの原色が好みのようでカラフルだった。

 そしてミセスたちの身なりに目が行くようになる。気が付いたことは、ほぼ100パーセント、ネイルとピアスをしていることだった。爪の形は平たい人が多いのか、付け爪の種類も豊富に売られている。ピアスは、大きめのものをぶら下げている人が多く、ピアス穴が大きく広がっている姿にはびっくりした。私もイヤリングは落とすことが多い。なのでピアスにしていたが、小柄なのであまり大きなものは付けないようにしている。

 さて、服装の好みは千差万別である。高価なものは持ち合わせもないが、自分らしさと身だしなみには気を付けたい。先日、友人達と会うために電車で出かけた。10月というのに夏のように気温は高めである。それでも秋を感じたい。皺加工をした黄色の長袖ブラウスは、何年も前に購入したものだが、茶系の大島柄の布で作ったブローチを付けた。パンツは夏物の七分丈の黒に、バッグは黄色と茶のボーダー柄のものにした。

   車内は空いている。3駅ほど過ぎてから乗ってきた女性に思わず目が行く。ちりちりの髪、かなり小柄で痩せており、顔中の皺がうんと目立つ。周りの人もちらちらと彼女を見ている。赤い上着に黒メッシュのベスト、黒いスパッツに黒のスカートを重ね、ピンクのスニーカー。この秋のトレンドカラーは赤と言うけれど……。

   彼女は大きな布袋を抱えていた。私は本を読んでいたが、しばらくして顔をあげると、向かい側に座っていたその女性は体を前に折り、すっかり眠りこけている。意地悪な私は笑いたくなってしまった。

   年を重ねた者の悩みと言えば、足腰に故障も起き、体形も余計な肉がついてくる。動作も素早くは動けないが、その欠点を補うものは、少しの緊張感を持つことではないだろうか。特に髪の乱れには心を配り、背筋を伸ばすこと、手足や服装の清潔感も大事だ。高齢だからこそ、身だしなみには人一倍気をつかって、自分らしいお洒落をうんと楽しみたい。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 異変!!  枝垂(しだれ)桜が... | トップ | 祝!! ラグビー日本決勝T進出... »
最新の画像もっと見る

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」」カテゴリの最新記事