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人を元気にさせるドジ話 【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(60)

2019-12-06 08:33:51 | 【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(60)

人を元気にさせるドジ話               

 

 関東に住む子供時代の同級生で、ランチであるが「コーヒー会」と名付けた会を、折に触れ開いている。夫が「お前ら仲が良いなぁ」と以前から羨ましがっていた。そこで夫が有志に声掛けをしてみると、関東では亡くなっている人が少なくない。それでも昨年、同級生たちの集まりを、やっと故郷で実現することになった。

 ところが、いざとなってみると、「足が悪い」「腰が痛い」「病院での透析が」とか、体の不調を訴える人が続出。で、当日になって無理しながらの出席者もわずかだった。今後の存続はかなり厳しいことと判断し、今年は開かれず、来年も予定は立たないという。

 そんな夫たちの不調をしり目に、つい先日、「コーヒー会」の忘年会が行われた。1カ月前に田舎での同窓会があったばかり。しかも、待ち合わせる駅も時間も会場も同じだ。降り立つ駅の周辺には、日本の国家中枢機能があるからか、いつも警備の車や警官が居たりする。でも、私たちには何の関係もない。会えば即、とりとめもないおしゃべりが始まる。

 先日の話題の中では、国分寺市や三鷹市、横浜市などで、車の免許を持つ高齢者向けの講習を予約したいが、電話がいつも話し中で全然繋がらないという悩みが。のんびりしていると、免許更新が出来なくなることもあるので、その後の進展を聞いてみた。

 固定電話からだと、何回目の掛けなおし電話か、という数字が出て、4回目で繋がり、予約がとれたのだという。携帯電話の普及で、固定電話不要論もあり、迷惑電話からも逃れられるの説もあるが、こんな時の固定電話の必要を痛感したという。

 古くからある市町村では、高齢者の人口密度も高いようで、公的機関の利用競争も大変らしい。私が所属している会の人たちの高齢化も、かなり深刻な様子だ。少々問題ありの連れ合いとの接し方、ボランティアに参加する意義、自分にも物忘れや体力などに限界があることなど、お互いに日常の出来事を話すことで、心のしこりを開放することができるのかも。

 今回集まったのは女性5人、男性3人。やはり会社の顧問などをしている人の出席は稀になる。女性のTさんのご主人が7、8年前に他界されているが、あとの7人は夫婦共々元気だ。自分一人が元気でも家族に問題が起きれば、こうした会には出て来られない。単身赴任を経験している男性は、どんな家事もこなせるとか。奥さんより料理が得意な人もいる。Sさんのご主人は、家事も食卓のことも何でもされるとかで、彼女は「来世があるならまた一緒になりたい」のだそうだ。

 男性の趣味だが、ゴルフのようにスポーツを楽しむ人もいる。が、飛距離の問題や体力の衰えで止める人も少なくない。歴史小説にはまる人、読書や東京の江戸時代の古地図を調べて楽しんでいる人も。麻雀や旅行、フラダンス、コーラス、編み物などの手作業など、多趣味なのは女性陣に多い。

 未婚の次男と2人暮らしのTさんは、いつも楽しい自慢話をしてくれる。伝説の笑い話をいくつか紹介しよう。

 その1―。ホテルのお風呂で、朝晩で暖簾が付け替えられることを忘れて、早朝に堂々と男風呂に入浴。髪を洗っていると男性が入ってきたので、自分の間違いを棚に上げて、すごい形相で睨みつけて追い返したという。慌てて逃げだすその様子を身振り手振りで話すのには、何回聞いても大笑いしてしまう。

 その2―。ある時、道を歩いていて「新橋へ行く道教えて!」と、大声でスマホに話しかけた。すると近くを歩いていた人がびっくりして、手で方向を示して親切に教えてくれたそうだ。スマホの初心者としての誇り話を自慢げに話してくれた。

 その3―。彼女の孝行息子は墓参り、サッカー見物、大型店の買い物、どこへも誘ってくれて車で出かけるそうだ。「さぁ、出発!」で、助手席の調節レバーを大きく引くと、ドタンと椅子が倒れ、仰向けにひっくり返ってしまったそうな。Tさんが「ねぇ、何があったの?」と尋ねると、息子はあんぐりと口を開けたまま……。

 涙が出るほど笑ってしまうのだが、こうしたドジ話を面白おかしく話してくれる。

「ねぇ、最近の話は?」

 と、催促してみた。

「ある、あるよ~」  

 で、こんな話が。

 彼女の息子は家電の新製品が大好きで、不具合が無くても買い替えてしまう。だから、調理器具も最新式のものばかりだとか。Tさん、お粥を食べたくなったので、水・米の分量もしっかりと量り、釜にセットした。スマホゲームをしていると、ぶくぶくと大きな音がし始めるではないか。

 それでも、しばらくはゲームを続ける。なにやら匂いが広がってきた。そして、蒸気の出るところから白いどろどろとしたものが。それが流れ出して、べとべととまわりにも広がってしまった。仰天しながら、「怒られるよ~、怒られるよ~」と息子が帰ってこないことを願いながらの後始末に大慌て。その様子を想像するが、何ともおかしくて可愛い。結局、釜の不具合ではなく、彼女の操作ミスだったことがわかり、息子にも知られずに済んだとか。

 真顔で話すTさんのドジ話は、私たちを大笑いさせ、いつも元気にしてくれる。この「コーヒー会」では、次回に会う日を必ず決めてから別れることに。次の「コーヒー会」は、来年春の花見の頃に決まった。Tさんのドジ話を今から楽しみにしている。


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