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共鳴管型スピーカーの作り方 その7(最終回)

2017年07月15日 06時44分47秒 | AudiFill 情報
連載の「共鳴管型スピーカー」も、今回で最終回となります。
共鳴管といえば、やはり中低域に表れる高次の共鳴をどう消すかが悩みどころとなります。

今回は、音響的な構造を利用して消音する方式を紹介します。




・吸音管を用いた方法

共鳴管は一本の管が共鳴を起こし、低音を増幅する方式ですが、
その管を枝分かれさせることで、余分な中低音を吸収する方法です。

こちらは、以前の自作スピーカー発表会で倉橋氏が製作していたスピーカーです。



本体側面の巨大な管は、余分な中低音を吸収するためのものとのことでした。




これと同じ発想は、ヤマハのNS-5000に搭載されている「アコースティックアブソーバー」がありますね。
ヤマハスピーカー技術紹介「アコースティックアブソーバー」




・吸音管を試してみた。

そんな注目の方式なので、私の方でも追試してみました。


一回折り返しの共鳴管型スピーカーに、直径48mmの塩ビ管を長さ33cmにカットしたもの(片側開口管)を忍ばせておきます。この場合、管での吸音は250Hz付近を期待しています。

ここで、共鳴管(スピーカー)の出口での周波数特性を、吸音管有無で比較してみましょう。

<吸音管 無し>


<吸音管 あり>


ちょうど、220~250Hz付近の音圧が減っていますが、懸念の270Hz付近のピーク音圧に余り変化はありません。この方式は、吸音管の設置個所にも大きく影響を受けると聞いており、細かな使いこなしが必要なのかもしれません。




・折り返し構造での中低音抑制

他にも、180°の折り返し構造を使うことで余分な中低音を抑制することができます。

たとえば、この二つの設計。


何の変哲のない、一回折り返しの共鳴管ですが、
折り返し構造の距離を変えています。

そうすると、次のようなダクト開口部特性となります。
(ユニットは閉管端に搭載)

<折り返し部 距離:13.8cm>


<折り返し部 距離:28.8cm>



300~600Hzの中低音が大きく減少できていることが分かると思います。
折り返し部分については、単純な構造の違いであっても、なかなか効果が大きいポイントだと思っています。




さて、長らく連載を続けてきましたが、いかがでしたでしょうか?
ちょっと専門的な話も多く、読むのが大変だったかもしれません(汗

この共鳴管設計技術を生かして、オーディフィルの「BX-200」がリニューアルを予定しています!
その近況については、また次回の日記で紹介します。

オーディフィル「BX-200」


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試聴会情報 「オーディフィル 第5回試聴会 in 第23回真空管オーディオフェア」
会場:秋葉原損保会館 (秋葉原駅から徒歩5~10分)4階 408号室
日時:2017年10月8日(日)10:00~19:00
      10月9日(月・祝)10:00~17:00
<イベント詳細はこちら>
当日は、オーディフィル製品をご試聴頂けます。皆様のご来場をお待ちしています。
最新情報はTwitter(@audifill)をご覧ください!

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2 コメント

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Unknown (マイクロ・トレーダー)
2017-07-15 15:50:45
共鳴管型スピーカーには、以前より心引かれてきたので、綿密/丁寧なご解説は大変興味深いものでした。原理に忠実な「シンプルな共鳴管」も好きですが、「応用形」にも色々と面白いものが散見されます。

①昔、「ラジオの製作」誌に掲載されたKo氏の「立ち聞きスピーカー」と名付けられた「空気室付き共鳴管」といえるような設計のもの。FE83搭載で共鳴管部分の断面は扁平な形状。全高1526mmと超ひょろ長く、究極の点音源が高い位置にあるような設計。

②昔、「ラジオ技術」誌に掲載されたもう一人のKo氏の「QWT+」と名付けられたもの。普通の共鳴管で上から1/3のところにFE127が取り付けられているが、下方の出口のところがひと工夫されていて、床面をイメージホーンとして使うようになっている。「+」はこの部分を指す。

③長岡鉄男氏の「F-25」。共鳴管の断面積が3段階に大きく拡大していく設計。冒頭の部分では、FF125N 2発に対して小さいように感じられるが、出口では十分なものとなる。共鳴管で始まってバックロードで終わるような設計。あるいは、空気室とスロートの無いバックロードか。f特は良好。

④同じく長岡鉄男氏の「R-104」。塔屋と呼ばれる短い共鳴管の後にバスレフのエンクロージャーが付いているような設計。共鳴管部分は、FE103 4発に対しては狭いように感じられるが、f特は大方フラットで悪くない。

⑤S氏の「音場型共鳴管システム」。全高1800mm、一辺90mmの角柱の四面それぞれに高さを変えてユニットが取り付けられている。共鳴管の開口は上。部屋とのマッチングが良い時は普及型のユニットを使っているにもかかわらず、素晴らしい音場が展開されるという。

⑥M氏の「チューバ・ベーシック」。FE103搭載のバックロードホーンだが、ホーンの開き率が極端に小さく共鳴管とも解釈できそうな設計である。ただし、設計者はバックロードホーンの一種の「TU-BH方式」と説明しており、解説に共鳴管という言葉はいない。従来のバックロードホーンとは一線を画す低音が得られるという。

もしこれらのスピーカーに馴染みがあれば、ぜひコメントを伺いたいです。
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コメントありがとうございます。 (カノン5D)
2017-07-16 05:56:05
マイクロ・トレーダーさん

いつもコメント下さり、ありがとうございます。
幅広い共鳴管作例の知識、恐れ入ります。①と②は初めて聞くもので、作例として興味深いです。


まず、⑤については、無指向性ならではの音場感の良さがありましたね。吸音材が少なければ、共鳴管開口部からもかなりの中高音が出てくるので、それが音場形成に寄与している可能性は大きいと思います。
低音再生能力については、余り覚えていません(汗

⑥については、FE126Eでの作例「チューバソルデス」での印象ですが、超低音のレスポンスまで十分にありました。これは、バックロードホーンとして広がり率が極めて少ない(広がり率0.5以下の領域)で起こる現象です。普通の長岡式でこの広がり率にすると、(レンジは伸びますが)低域量感が全くでません。「チューバソルデス」は内部壁面の大部分に吸音材を貼り付け、中高域を十分に抑えているため、超低音までバランスよく再生で来たのだと思います。

以下は聴いたことがないので、図面を見ながらの想像での話となります。

③F25の設計は、テーパーの強い共鳴管だと解釈しています。類似の作例だと、「かなり穏やかな鳴りのバックロード」のような鳴り方となり、音としても共鳴管とバックロードの中間のような低音になりますね。F25は、容量も大きく、FF125Nは振動板重量がある程度ある(共鳴管として動作しやすい)ので、f特が良好なのは納得がいきます。

④R104は、バスレフ箱だと思います。細い先端にユニットが4本ついていて、それぞれのユニットの干渉(紙コーンなので、裏面からの音も透過する)が気になりますが、そのへんは長岡マジックでしょうか。エンクロージュア容量は30Lあるので、バスレフとしては丁度良いようにも感じますね。最近でしたらFE103EnよりFF105WKで作ると、より低音再生が有利かもしれません。


①と②については、図面があったらぜひ見てみたいです!
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