コスパとタイパ

朝刊のコラムに「コスパとタイパ」というものがありました。

要は現在の日本社会では「コスパ＝コストパフォーマンス」と「タイパ＝タイムパフォーマンス」が優先されて、重要な何者かが欠け始めているということです。

コスパでは、バブルの崩壊以降のコスト削減で給料が下がり、雇用でも非正規雇用者が増加して社会基盤が大きく崩れ、タイパでは研究成果を求めるあまり失敗が激増することに繋がっています。

昨日もJAXAのイプシロンS2段目エンジンの試験中に爆発して、安価に打ち上げか可能という新型ロケットの今後の開発予定が大幅に狂いそうだということです。

JAXAの新型ロケット打ち上げは、このところ失敗続きで、従来のH2Aロケットでは40回も連続成功していましたが、新型ロケットはどうもうまくいきません。

失敗のたびにJAXAの幹部は辛そうな顔を見せていますが、これもコスト削減と性急な研究開発のせいではないでしょうか。

やはり、チャンとお金と時間をかけて研究開発に取り組み、その後低価格で多くの打ち上げを成功させて稼ぐという基本的な日本の工業技術の歴史を取り戻すしかありません。

薄っぺらな社会構造にしてしまったある時期の与党の政治家たちに文句を言いたいですね。

アメリカの社会構造に近いものを求めていたんでしょうが、歴史的にも日本とは全く違うんだよね。

集団の意見をまとめてモノを作る日本と個人の力を原動力にモノを生み出すアメリカでは、基本的に考え方も社会構造も違うのに、何でもカンでも欧米式を取り入れようなんて馬鹿みたいだ（当時はそれが分からんかったんだろうね。今でもその基盤を作った人がTVに出演して何やかや言ってるけど）。

今では、それをやってきた与党の政治家たちの後輩たちが、平和な日本社会をも壊そうとしています。

まったく困ったもんだ。

バブル時代を謳歌したじいちゃんが言うのもなんだけど、一生懸命働いても、稼げない社会にしてしまったツケが回ってきてるんですよね。

簡単にいいモノが作れるんならコストも時間も掛けなくていいけど、そんな簡単なものじゃないことを忘れてしまった人が多すぎるから、結局やめるか成功するまで金と時間をかけるかしかないんですよ。

国産ジェット旅客機のMJも、結局大きな赤字を残して撤退することになりました。

JAXAの新型ロケットにも同じ企業が関わってるから、早晩撤退ということになりかねませんね。