社会保険労務士の大澤朝子です。
今日は、最近とみに多くなってきた単身従業員の無断欠勤のお話をしましょう。
携帯・スマホ時代。若者の職場でのあり方も、時代と共に変わってきました。
ある朝突然、出社してこない。以後何日も連絡がとれない、といった例は
最近よくある話です。
もちろん、上司がすぐさま携帯に電話をしてみるのですが、
固定電話と違って、番号見てイヤな相手なら出なくていいわけですから、
そういう場合は、大抵、電話に出ません。
社内で比較的親しかった同僚に電話をしてもらっても、大抵ダメです。
あれも悪いしこれも悪い、あいつも悪いし給料も安い・・・。
あんな会社、二度と行くものか、と思っているわけですから
出るわけあがありません。
困るのは会社です。
3日経ち、1週間たち、そのうち、上司もあきらめて上へ報告。
上は上で、「もう少し連絡取ってみろ」程度で結論を先延ばし。
そろそろ欠員の穴埋めも考えねばならないし、
と、きょうの日も、いつになく思いを込めて発信のコールを鳴らしてみるのですが、
むなしく鳴り続けるコール音・・・。
こういう状態が2週間くらい続くようだったら、そろそろ「退職」の
2文字を考えねばなりません。
ところが、相手は「退職」の意思表示をしていないのですから、「退職」とも
いいきれないのですから、困ってしまいます。
いっそのこと、就業規則の「解雇」事由に基づき「解雇」処分としようか・・・。
いやいやちょっと待ってください。
確かに就業規則〇条に基づき解雇処分を行うことは、それはそれで
理にかなっており、問題は少ないでしょう。
しかし、こういう場合は、本人の自由意思で就労を拒んでいるのですから、
自己都合による退職の要素が限りなく100%に近い。
明らかに、労働者側からの「労働契約」の一方的解除というべきでしょう。
仮に、助成金をもらっている会社の場合は、「解雇」者を出すと
「不支給」になる助成金もあるから要注意でもあります。
さて、どうするか・・・。
電話がダメなのですから、次は文書で通知しましょう。
第1回目 出勤督促、連絡の促し
第2回目 退職でしょうか?お伺い。連絡の促し
第3回目 退職と判断せざるを得ないことの通知、退職届提出の促し。
まあ、こんな経緯を繰り返している間にあっという間に4週間程度
経過しているでしょうから、会社としてやるべきことは全部やったと
みていいでしょう。
そして、最後は、退職日の確定となります。
就業規則にこういう場合の退職規定がある会社さんは、
その定めに則り、退職日を確定し、本人へ文書通知します。
就業規則に定めがない場合は、ご家族や保証人にも連絡し、このまま
連絡がなければ「退職」扱いとなる旨を通知しておきましょう。
退職日が確定したら、退職届の用紙を送付し、〇月〇日で
退職の手続きを取る旨を通知します。ただ、その際も、〇日まで
待ちますので、復職の意思がある場合は会社へ連絡してください、
等の趣旨の文章も付け加えておきます。
昨今のケースでは、会社の心配はよそに、他社へとっくに転職して
いたというケースも多いので、会社が心配したり悩んでいる割には
本人は比較的カラッとしているケースもあったりします。
必ず、複数回の出勤督促の連絡、文書での順序立てた通知、ご家族等への通知
という風に、順を追って丁寧に通知をしてみてください。
「解雇」処分は会社にも本人にも利は一つもありません。
「退職」で済むものを事荒立てて解雇処分等にする必要性は皆無と
思うべきでしょう。
順を追って通知すれば、必ず、穏便に解決することができます。
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