大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆ちゃんと懲戒処分してますか?

2013年11月07日 10時53分19秒 | 労働契約
世の中にはいい経営者もいれば悪い経営者もいる。
いい労働者もいれば悪い労働者もいるーー。
皆が善人、能力普通以上の人ばかりだと問題も起きないのですが。

今日のお題は、どちらかというと、「悪い労働者」の方のお話。

労働問題でトラブルが多いのがやはり「解雇」問題でしょう。

よくある相談事例は、大抵が「いきなり」解雇しました! それで、
労働者が怒りました。慰謝料請求してきました。労働審判へ
訴えました……と、どんどん泥沼です。

世の中には、普通では考えられないような「問題社員」といえる人は
本当にいるもので、「非行」の事例を聞くと常軌を逸していますねと言いたく
なるような事例があります。通常、人間性の問題ですので、解決の矛先が
見えにくいものです。

さて、そういう人はごくごく少数なのですが、少数でも「採用」してしまったときは、
会社も大変です。

本人の資質を今さら変えることもできず、人事はただただ頭をかかえるばかり。
それでも、対応の基本は、ちゃんと踏んでおきたいものですが、稀にそれが
できない人(経営者)もいます。それで、「いきなり解雇!」などとやってしまいます。

「解雇」までに会社側が思いつめるのは分かりますが、ぜひ、順を追って対応しましょう。
よく当てはまるのが、就業規則違反、就業規則の懲戒処分に該当する事例です。

就業規則の懲戒処分規定に当てはまるにもかかわらず、「問題社員」の後ろに
控えている数々の労働者保護の制度(労基署、労働局のあっせん、ユニオン等々)が
頭にあるため、それらが怖くて懲戒処分ができない(と思われる)会社もあります。

解雇までいくには、それなりの「非行」の積み重ね、会社側の指導・教育・人事的措置
といったものを順を追って施し、本当にこの人は改善の余地、教育の余地といった
ものが全くないと極まって、「解雇」となるのが今の日本の制度での順当なやり方です。

会社側にもしっかりとした「管理」と「処分」が必要なのです。

しかし、これが人間社会の常。数々の想像をあれやこれやして迷い、勇気もなく、
懲戒処分すらできない、ということが、中小企業ではよくあります。また、その方法も
知らないのです。やったことがないですから。

お蔭で、「困った時の駆け込み寺」とばかり、ようやく社労士事務所のドアを
たたくのですが、でもそのときは事が悪化した後。
まあ、これまで平穏に経営してきた企業にとっては「未経験」。
無理もありません。
自分がもしその立場だったら、案外同じかもしれません。

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