社会保険労務士の大澤朝子です。
きょうは、年金番号ならぬ、雇用保険番号のお話です。
年金番号と同じく、雇用保険番号も、生涯を通じて一人一つの番号
で管理されるのが原則です。
ただし、雇用保険が年金と違う点は、一度失業給付の受給権が発生しても、
その後、別の会社で勤務した期間に応じて、再度、失業給付を
受給できるチャンスが発生します。その期間がたった1年でも、です。
ここが、雇用保険と公的年金(原則25年で受給権発生)との大きな違いですが、
世の中の人は、年金番号と同じく、雇用保険番号を
転職先でも引き継いでいくことの大切さに、気付いていない
ように思われてなりません。
まず、雇用保険の保険給付に必要な被保険者期間を
書きだしてみましょう。全部は書ききれませんので、あしからず。
1、失業給付 1年又は6か月
2、育児休業給付 1年
3、介護休業給付 1年
4、高年齢雇用継続給付 5年
転職したら、転職先から年金手帳と雇用保険被保険者証の提示
が求められますが、これは、その人の「資格取得届」を行政機関等に
提出するためです。
ところが、入社の際に、雇用保険被保険者証を勤務先に提出
する人の割合は決して100%ではありません。
当事務所では、ざっと見る限り、6~7割程度。
40代以降の人の提出率は高く8~9割程度ですが、
20代等若い人は、5割前後となっています。
年齢が高くなればなるほど、提出率が上がります。
入社の際に、雇用保険被保険者証を提出しないと、どういう
ことになるかは、誰も教えてはくれません。
中高年以上は、長年の経験則で雇用保険番号の大切さを
身をもって知っているからこそ、提出率が高いのでしょう。
さて、雇用保険の保険給付、とりわけ「失業給付等」は、
その受給権を得ることになった勤務先での被保険者期間の
長短に応じて、受給できるる額が違ってきます。
受給者の年齢や就職困難度、会社都合による離職かどうかなど
に応じて、受給できる額(日数)は多種ですが、
例えば、一般の自己都合退職の離職者の場合、年齢にかかわらず、
1、1年以上10年未満 90日分
2、10年以上20年未満 120日分
3、20年以上 150日分
となります。
具体的に数字を見ていきますと、例えば、
離職勤務先での直前6か月間の賃金から1日あたりの日額の6割を
受給することができる人と仮定した場合、
月給30万、1日あたりの額を6,000円で計算してみます。
1、6,000円×90日分=540,000円
2、6,000円×120日分=720,000円
3、6,000円×150日分=900,000円
となります。
ここまで見ていきますと、例えば、本当は「10年」の雇用保険の
被保険者期間があった人が、転職先で違う番号で資格取得されたために、
新たに雇用保険の被保険者期間が算定し直され、離職時の被保険者期間
が、たった「1年」になってしまう……、などということが起こった場合、
この計算例ですと、実に、180,000円の大損、ということになります。
職安の雇用保険の端末では、一人の人の雇用保険の転職の記録が
氏名、性別、雇用保険番号、過去勤務先名などで管理されていますが、
転職先に雇用保険被保険者証を提出しないばっかりに、
この記録が途切れる、ということは、大袈裟な物言いをしますと、
日常茶飯事です。
なぜ、そのようなことが起こるのか……。
誰が、そのようなことのないように、気を付けてくれるのか……。
答えは、簡単です。
勤務先、あるいは職安の窓口担当者のすべての人が、
そこまで気を使って、雇用保険番号を引きつないでいくように最大限
努力してくれるとは、限らないからです。
そこで、誰が苦労するのかいいますと、私どものような零細な社労士事務所
が、雇用保険被保険者証を出さなかった人の記録がつながるように、
職安の窓口で目を三角に、或いは口を酸っぱくして、届出をすることになります。
ですから、例えば、雇用保険の資格取得届を「電子申請で」などと、
国は申しているのですが、どうしても、パソコンの画面上で
届出をして、本当に、雇用保険被保険者証を出さない人、あるいは、
出しても、複数の雇用保険番号を持っている人などの番号統合や
引き継ぎがちゃんとされるとは、信じがたいと思っておりますので、
当事務所では、電子申請のような手抜き手続をやっていないのです。
やりたいのですが……。
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弊事務所は、初回ご相談は無料です。
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きょうは、年金番号ならぬ、雇用保険番号のお話です。
年金番号と同じく、雇用保険番号も、生涯を通じて一人一つの番号
で管理されるのが原則です。
ただし、雇用保険が年金と違う点は、一度失業給付の受給権が発生しても、
その後、別の会社で勤務した期間に応じて、再度、失業給付を
受給できるチャンスが発生します。その期間がたった1年でも、です。
ここが、雇用保険と公的年金(原則25年で受給権発生)との大きな違いですが、
世の中の人は、年金番号と同じく、雇用保険番号を
転職先でも引き継いでいくことの大切さに、気付いていない
ように思われてなりません。
まず、雇用保険の保険給付に必要な被保険者期間を
書きだしてみましょう。全部は書ききれませんので、あしからず。
1、失業給付 1年又は6か月
2、育児休業給付 1年
3、介護休業給付 1年
4、高年齢雇用継続給付 5年
転職したら、転職先から年金手帳と雇用保険被保険者証の提示
が求められますが、これは、その人の「資格取得届」を行政機関等に
提出するためです。
ところが、入社の際に、雇用保険被保険者証を勤務先に提出
する人の割合は決して100%ではありません。
当事務所では、ざっと見る限り、6~7割程度。
40代以降の人の提出率は高く8~9割程度ですが、
20代等若い人は、5割前後となっています。
年齢が高くなればなるほど、提出率が上がります。
入社の際に、雇用保険被保険者証を提出しないと、どういう
ことになるかは、誰も教えてはくれません。
中高年以上は、長年の経験則で雇用保険番号の大切さを
身をもって知っているからこそ、提出率が高いのでしょう。
さて、雇用保険の保険給付、とりわけ「失業給付等」は、
その受給権を得ることになった勤務先での被保険者期間の
長短に応じて、受給できるる額が違ってきます。
受給者の年齢や就職困難度、会社都合による離職かどうかなど
に応じて、受給できる額(日数)は多種ですが、
例えば、一般の自己都合退職の離職者の場合、年齢にかかわらず、
1、1年以上10年未満 90日分
2、10年以上20年未満 120日分
3、20年以上 150日分
となります。
具体的に数字を見ていきますと、例えば、
離職勤務先での直前6か月間の賃金から1日あたりの日額の6割を
受給することができる人と仮定した場合、
月給30万、1日あたりの額を6,000円で計算してみます。
1、6,000円×90日分=540,000円
2、6,000円×120日分=720,000円
3、6,000円×150日分=900,000円
となります。
ここまで見ていきますと、例えば、本当は「10年」の雇用保険の
被保険者期間があった人が、転職先で違う番号で資格取得されたために、
新たに雇用保険の被保険者期間が算定し直され、離職時の被保険者期間
が、たった「1年」になってしまう……、などということが起こった場合、
この計算例ですと、実に、180,000円の大損、ということになります。
職安の雇用保険の端末では、一人の人の雇用保険の転職の記録が
氏名、性別、雇用保険番号、過去勤務先名などで管理されていますが、
転職先に雇用保険被保険者証を提出しないばっかりに、
この記録が途切れる、ということは、大袈裟な物言いをしますと、
日常茶飯事です。
なぜ、そのようなことが起こるのか……。
誰が、そのようなことのないように、気を付けてくれるのか……。
答えは、簡単です。
勤務先、あるいは職安の窓口担当者のすべての人が、
そこまで気を使って、雇用保険番号を引きつないでいくように最大限
努力してくれるとは、限らないからです。
そこで、誰が苦労するのかいいますと、私どものような零細な社労士事務所
が、雇用保険被保険者証を出さなかった人の記録がつながるように、
職安の窓口で目を三角に、或いは口を酸っぱくして、届出をすることになります。
ですから、例えば、雇用保険の資格取得届を「電子申請で」などと、
国は申しているのですが、どうしても、パソコンの画面上で
届出をして、本当に、雇用保険被保険者証を出さない人、あるいは、
出しても、複数の雇用保険番号を持っている人などの番号統合や
引き継ぎがちゃんとされるとは、信じがたいと思っておりますので、
当事務所では、電子申請のような手抜き手続をやっていないのです。
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