大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆民法・内田貴先生の講演

2014年02月23日 12時26分36秒 | 近況
昨日、埼玉県行政書士会浦和支部50周年記念講演に参加させていただきました。
行政書士ではないのですが、知人の「こういのがあるよ」との誘いに、
“民法の内田”先生の講演をお聞きする機会を得ることができました。

500名入る会場はびっしり。流石、民法の権威たる内田先生の講演と、
驚かされました。

先生は、現在、東大法学部教授を去り、「民法」改正作業の参与と
して、法務省で民法改正作業に就いておられます。

今回は、その民法改正作業の経過説明に焦点を絞って、
民法のどういう箇所が改正が必要かの説明をしてくださいました。

曰く、
明治23年に作られた民法の「債権関係」は、一度も改正されることなく
現在に至っている。経済のグローバル化は制定後120年経って
大きく変化しているにもかかわらず……。
国際社会の中で、日本として積み重ねられた判例を活かして、
国際的にルールを明示するのが必要だと――。

本当に目から鱗のような啓示にはっとしました。
以下、講演の主な内容をお知らせしましょう。

●時効期間
現在、原則として10年ながら職業別の短期時効が複雑に入り混じっている。
職業別短期時効は廃止の方向性で検討中だが、不法行為による損害賠償
債権の時効は原則として長期消滅時効(20年等)、但し権利を行使できる
ことを知った時(主観的起算点)からは「3年(案)」等などの各種案が
浮上している。

●法定利率
現在、法定利率は5年、但し商事は6年、というのはご存じの通り。
これは、現在の市場金利から比べると著しく高い!
また、裁判が長引けば長引くほど法定利率によりどんどん額が増えていく。
意図して裁判を長引かせば、額をどんどん増やしていくことも可能。
―ーこんな不具合を是正しなければならない。

明治以降の公定歩合を見れば、現在は最低の水準。
そこで、経済の推移を客観的に図れる数値として「短期貸付平均利率」
をとり、月平均利率の年間合計を12で割った数値をもとに、割合を
法務大臣が告示するという案が浮上している。

(労災保険の自動変更対象額も毎月勤労統計から同じようなシステムで
とっています(雇用保険にも反映)。妙案と頷きました。)

●保証
友人の借金の保証人になって、自らも大きな借金を追って破産した……
などの悲劇があり、個人根保証契約の見直しはしなければならないだろう。
一定の制限を付けるなどの案が浮上している。

・保証人が主たる債務者(いわゆる経営者)であるものを除き、無効とするかに
ついては引き続き検討をする。

・事業者である債権者が個人を保証人とする保証契約を締結しようと
する場合は、保証人に対し一定事項の説明義務を負うなどの案が検討されている。

・裁判所において債務の減額をする場合の一定の限度額を設けるなどの案が検討されている。
(注:例えば個人が破産した場合でも基本的な生活費は残せるのと同じような
考え方になると感じました。)

――もっと書きたいのですが、量がとても多いので書ききれません。
レジメ22頁にも及ぶ内田先生の講義は、とても分かりやすく、
これが権威ある大先生かと思われるようなソフトな語り口。

「民法とは市場取引のルールだ。」

「グローバルな市場における共通契約法をめぐる市場競争は
始まっている。」

と先生は力説されておりました。

1日も早く「国民一般に分かりやすい改正民法」が出来上がるのを
待ちたいと思います。

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