旭川でラーメンの修行をしていた、息子の未来が帰ってきた。
子どもの頃の坊主頭はそのままで、
けれど背丈はマコトさんを少し超えていた。
いろいろな噂を旭川でも聞いていたのだろう。
それでも、苦しい思いを顔には出さず、
マコトさんの前に手をついて、ぬりかべ屋でラーメンをやりたいと言った。
マコトさんは嬉しかった。
未来の手をとった。
1月後、ぬりかべ屋は未来が中学生だった頃の店に再改装された。
ぬりかべ屋は、ラーメン一本で勝負をしているころの佇まいに戻った。
ユミさんも久しぶりに店の名前の入った前掛けを締めた。
昔の暖簾が引っ張り出された。
安さんの製麺所の名前が入ったものだ。
開店の前日、入口ですこし怯んだマコトさんが、意を決して店にはいると
厨房には、安さんの麺のバットが高く積まれていた。
かつてマコトさんの定位置だった、厨房の真ん中に今は未来が立つ。
その横には、安さんが帰ってきている。
その隣にユミさん。どんぶり洗いの僕も、ここに立つのは何年ぶりだろう。
「いらっしゃい」
未来が、父親と同じ声で父親を迎えた。
「お帰り」とユミさんが言葉をつないだ。
安さんは怒った顔でマコトさんをにらみ、
「未来の味ば、みてやれ」と言った。
マコトさんは言葉が出なかった。
子どもの頃の坊主頭はそのままで、
けれど背丈はマコトさんを少し超えていた。
いろいろな噂を旭川でも聞いていたのだろう。
それでも、苦しい思いを顔には出さず、
マコトさんの前に手をついて、ぬりかべ屋でラーメンをやりたいと言った。
マコトさんは嬉しかった。
未来の手をとった。
1月後、ぬりかべ屋は未来が中学生だった頃の店に再改装された。
ぬりかべ屋は、ラーメン一本で勝負をしているころの佇まいに戻った。
ユミさんも久しぶりに店の名前の入った前掛けを締めた。
昔の暖簾が引っ張り出された。
安さんの製麺所の名前が入ったものだ。
開店の前日、入口ですこし怯んだマコトさんが、意を決して店にはいると
厨房には、安さんの麺のバットが高く積まれていた。
かつてマコトさんの定位置だった、厨房の真ん中に今は未来が立つ。
その横には、安さんが帰ってきている。
その隣にユミさん。どんぶり洗いの僕も、ここに立つのは何年ぶりだろう。
「いらっしゃい」
未来が、父親と同じ声で父親を迎えた。
「お帰り」とユミさんが言葉をつないだ。
安さんは怒った顔でマコトさんをにらみ、
「未来の味ば、みてやれ」と言った。
マコトさんは言葉が出なかった。