阿部ブログ

日々思うこと

日本一の地主・本間家と 「ゴルフ2015問題」

2013年05月07日 | 台湾
故郷の庄内には、徳川譜代大名の酒井家の鶴岡と、本間家を中心とする商人の町である酒田の2つの市がある。
特に酒田には、戦後の連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)による農地解放まで日本一の地主だった前述の本間家がある。農地解放当時でも日本全国に3000町歩の田地を持っていていたと言う。庄内では「本間様には及びはせぬが、せめてなりたや殿様に」などと言う戯れ言まで読まれる程の栄華を誇った。

鶴岡出身の藤沢周平の小説に出てくる海坂藩は架空で、実は庄内藩がモデルだが、映画「たそがれ清兵衛」にあるように、武士階級は江戸時代を経るに従い貧窮していったが、酒田は、1672年の河村瑞賢が日本海の西回り航路を開路すると「西の堺、東の酒田」ともいわれた。

日本一の地主である本間家は、農地解放後、一転没落する事となったが、現在子孫が本間ゴルフを経営していると思われているが、公式HPを見る限り経営陣に本間の名前はない。しかしブリヂストンの石橋家と同様に、本間家は同社の発行済株式総数(20,000株)の殆どを保有しているのだろう、本間ゴルフの工場は酒田にあるし~と思いきや、2005年6月の民事再生法適用後、経営再建を進め、今は、中国のマーライオンホールディングスの傘下に入っている。
株式は、投資会社の日興アントファクトリーとマイルストーンターンアラウンドマネジメントから過半数の株式を譲っているとされれるが、株式総数や売却金額は非公表で分からない。しかし一部株式は今でも本間家が保有しているだろう。民事再生当時の社長である本間秀一氏とは同じ歳だ。社長退任後は、何をされているのか。

前書きが長くなったが、本間ゴルフのHPにもあるように、ゴルフ業界には2015年問題があるようだ。現在のゴルフ人口は約1000万人で、その中心は50代後半から60歳代のゴルファー。このが問題で、2007年から団塊の世代が退職し始め、2015年には70歳に達すると流石にゴルフも引退と言う事になり、ゴルフ人口も700万人に減少するのでは?と懸念されているのだ。売上げも1992年には約2兆円だったものが、2010年には約9600億円と半減している。

直接的にはゴルフ場が利用者の減少で影響を受けるが、ゴルフクラブや様々なゴルフ用品を開発・販売する企業も当然の事ながら影響を受ける。何でも日本のゴルフクラブ市場だけも1,000億円市場で、北米に次いで大きな市場のようだ。しかし、このまま何も手を打たずこまねいていると、2016年度の売上げは30%減となると予想されている。

思い起こせば、本間ゴルフのイメージは「パーシモン」だ。一世を風靡した本間パーシモンと言えば「hiro honma」とか「extra90」。柿の木を材料とする硬質感のあるクラブで、ドライバーの事をウッドと呼ぶのは、その名残。今はチタンヘッドの隆盛でバーシモンは遠い過去のものになっているが、酒田工場ではその技術が綿々と受け継がれている。材料の柿の木は、北米ミシシッピ河周辺の樹齢数十年から百年を超える原木を輸入している。この原木からバーシモンとして製品となるり日の目を見るのは、ほんの数パーセントと言う希少なもの。

個人的には、チタンヘッドより断然バーシモンを支持する。ゴルフクラブと言うよりも工芸品だ。昨日まで開催されていた東京国立近代美術館工芸館に展示されているも不思議ではないだろう。それと長年愛用したバーシモンは修理して、酒田工場で新品同様に生まれ変わる点だ。バーシモンを孫子の代にも伝える事が出来るなんて渋いじゃないか。バーシモンは渋柿だし。

これからも本間ゴルフには、経営改善の努力を続けてもらって、ゴルフ業界の2015年問題を乗り越えて継続的に発展して欲しい。匠の技の継承だけでなく、本間ゴルフは、CRM(顧客管理)戦略を強化する為、同社のフラッグシップブランド「BERES」のフルモデルチェンジと同時に、BERESシリーズの購入者に提供する、プレミアムサービス「BERES STARS PROGRAM」を導入し、マーケティング力を高める方針を固め、情報基盤としては、日本ユニシスのクラウドサービスを利用して、たった1.5ヶ月でサービスインしている。

ゴルフ2015年問題に戻ると、少子高齢化によるゴルフ対象人口の減少は必然だし、団塊の世代リタイア(2007年問題)以降は、シニアゴルファーとして活性化すれば2015年年までは現在のゴルフ場入場者数を維持・増加の期待が持てるが、2015年以降はいよいよゴルフコースの余剰と整理淘汰が起こる。これは避けられないので、ゴルフ産業全体としての成長ビジョンと先着を共有し、需要縮小に決然として対応する必要がある。果たしてゴルフ産業界は今後どのように動くのか?要観察だ。

※個人的には、ゴルフ人口が減ったら、またゴルフを始めようと思っている。勿論、本間ゴルフのバーシモンで。