阿部ブログ

日々思うこと

着々と海軍力と沿岸防衛監視能力を強化するインド

2013年05月23日 | インド
アントニー(Antony)国防相はインド海軍の指揮官会議で、アンダマン諸島(Andaman Islands)、ニコバル諸島(Nicobar Islands)、ラクシャディープ諸島(Lakshadweep Islands)、ミニコイ諸島(Minicoy Islands )に海軍基地・海軍航空基地を増設するとしている。既にインド沿岸警備隊は北アンダマン島に基地を設置済みで、海軍も新たにアンダマン=ニコバル諸島南部にINS( (India Naval Station))Baaz基地を開設する。

インド国防省は、以前からインド洋における中国海軍のプレゼンス増強に懸念を表明しており、これに対抗して海軍力の強化と、84カ所の監視ポストから構成される沿岸監視センサー網(Coastal Security Network)も今年から本格的に稼働を開始する。併せてインド軍や治安機関も含めた指揮統制通信システム (National Command Control, Communication and Intelligence Network System)も、年内に稼働する事となっており、インドの防衛・監視体制は強化される。

5月15日には、対潜哨戒機P-8Iの第1号機「IN320」がインド海軍ラジャリ航空基地(INS Rajali)に到着した。ラジャリ海軍航空基地は、アジアで最長クラスの滑走路を持つ航空基地で、ロシアから提供されているTu-142Fを配備しているインド海軍にとって重要な基地である。

さて、P-8Iは、ボーイング737をベースにした長距離哨戒機で、アメリカ海軍P-8Aポセイドンをインド海軍向けにチューニングした機体で、P-8は、2012年7月7日に初フライトし、インド海軍には、合計8機が納入される。1号機に続き2号機、3号機も、2013年度内にインド海軍に配属されるイニシャル・トレーニングを経て実戦運用に入る。P-8I の搭載兵装は、Mk.54短魚雷、Mk.82爆雷、AGM-84 空対艦ミサイルを搭載する。
因みに引き渡された「IN320」は、ボーイング737-800、型式、P-8I (737-8FV)、製造番号:40610/3702。

またインド国防相は、海軍と沿岸警備隊の合同指揮官会議で、2012年12月13日に決定した「Coastal Security Plan Upgrades」を計画通りに完了するよう指示を出している。「Coastal Security Plan」は、2008年11月26日に発生したムンバイのテロ攻撃が契機となっている。テロリストはボートで沿岸から侵入し、ムンバイに潜伏していたのだ。

インド政府は、7516kmの沿岸を警備防衛する為、「Coastal Security Plan」を立案し、46カ所(インド本土36箇所、島10箇所)に沿岸監視レーダーを設置した。またインド沿岸の漁業従事者や海事関係者には、生体認証カードを配布して個人レベルで識別できる措置を執っている。配布対象者は116万人に達し、カード配布には4年掛かった。このカードは1枚76ルピー(約140円)でスウェーデンのSAAB社のカード認証システムを採用している。

過去ブログでも書いている通り「日本とインドの軍事同盟 ~日印ラッパロ条約を締結せよ~」だし、インド海軍が望む新明和の飛行艇US-2を早期に提供するべきだ。特にベンガル湾のアンダマン諸島、ココバル諸島などインド本土から遠距離に位置するが、中国海軍抑止にとっては極めて重要な拠点を防衛するためにも、また航空救難、急患搬送などへりでは対応出来ない距離とスピードを有するUS-2は、インド海軍・沿岸警備隊にとって有効だ。