多分2週間前にキャストを交代するという事態は、初めてのことだったと思う。諸般の事情により、架空の劇団第27回公演「白い象のあぽかりぷす」に急遽出演するということになった。
ここに至る過程は、いろいろと問題もあるので詳細は控えるが、久しぶりに心身に負担のかかる決断だった。そして、実際出演するもんだから、そこらへんの負担も久しぶりだった。
まあ、負担と言ってるけど、それ相応の楽しみというか、リターンもあるわけで……。思ったよりもセリフが入っていたのが救い。さすがに2週間前に、ラップもアリの振付もアリの出番もかなりアリの、という役を誰かにお願いするのも忍びない。
というわけで、自劇団の本公演に出演する事態は、かなり久しぶりとなった。もっと早いうちに決断しとけば良かったとも思ったが、それはそれ、なんとかなるのではないか、出来るのではないか、といった希望的観測を信じたかったのである。
何の役かというと「キノコ」である。ラップも振付もセリフもあるキノコである。しかも、途中から歩き始めるという荒唐無稽である。地上を覆い尽くすキノコネットワークが、砂漠や海、果ては月にまでそのネットワークを広げようとするのである。
こうやって書いているとまったくもってなんだかよくわからないが、芝居を見ると、多分何となく、なんかわかったような気になってくれるだろう、という期待はある。
1ステ目、2カ所ほどセリフが飛んだ。じっとりとした間が出来てしまう。なんとか周りの役者の協力を得て、力業でクリアしたが、反省することしきり。しかしながら、まずまず観客の反応も良く、笑いを取るべきところでは取れていたので良しとしよう。2ステ目以降は、セリフは飛んだモノの、じっとりした間が出来ることはなく、コロコロと芝居は流れた。
やはり本番とお客さんの力は偉大である。個人的に「本番1回は、稽古10回分」くらいの密度があると思っていて、本番は重ねるごとにその出来は向上していくモノだと思う。これが10回、20回と本番を重ねていくと、飽きてくるとか、自己模倣に陥りがちになることもあるだろうか?
そんなことを考えながら、なんとか本番を終えたが、実は次が控えているのである。青森の渡辺源四郎商店(劇団である)からのお誘いで「北のまほろば祭り2」に出演が決まっている。12月の7、8の2日間、30分くらいの独芝居的なものをやる予定なのである。
その内容はどんなものかというと……長くなりそうなので次に続く。