2014年7月24日(木) 晴れ
メンバー 山の神と私
コースタイム 暑寒荘5:16--6:10 2合目6:15--6:54 4合目6:59--7:53滝見台8:03--9:05 9合目9:11--箸別コース分岐--9:42暑寒別岳山頂(昼食)10:30--11:44滝見台11:52--13:00 2合目13:07--13:50暑寒荘駐車場
23日は留萌のビジネスホテルを出て、コインランドリーで洗濯、ショッピングセンターで買出し、黄金岬や千望台の景食ハウスなどで時間をつぶし、暑寒沢コースの登山口である暑寒荘を目指した。舗装されたきれいな道を順調にあがってきて、駐車場手前で2台の車(1台は管理人さん?)とすれ違う。林道終点の駐車場に15:00前に到着した。何台か車があるかと思いきや、1台もない。しかも着いたとたんに虻の襲来を受けた。ここはアフリカの奥地かと錯覚するほどの大量の虻がわが愛車に群がった。こんな経験は初めてだ。車を停めてみたものの、外に出るのをためらうほどの数。意を決してドアが開けると、周囲を飛び回るだけで、人を襲う気配はない。車の中に入ろうとする虻も少なく、ひとまずは安心した。
暑寒荘に山の神とザックや食糧を運ぶ。広々とした山小屋にはだれもいなかった。一部屋を山の神と私で占領し、小屋の布団や毛布を運んだ。そのうちワゴン車が1台やってくる。山小屋にやってくると思っていたのだが、車中泊だった。車に荷物をとりにいったときに声をかけられ、その御仁いわく、いつも車中泊。それが気楽なんですと。
その後もう1台車が来た。しかし駐車場でそのままUターンして去っていった。虻の大群の洗礼は容赦ない。この車に乗っていた方々とは、翌日山頂で会うことになる。おじさんいわく、登山口まで偵察に来てびっくりした。あれじゃあ外には出られない。すぐに防虫ネットを買いに行ったよと。
24日朝、車中泊の方のバタンとドアを閉める音で目を覚まし、3:40頃起床した。朝食をとり、山小屋から撤収する。車に荷物を運んでいくと、車中泊の方がお先にといって、ちょうど出発していく。さあ、われわれも早く出発しよう。愛車のドアを開けると、昨日の虻が車内で静かにとまっていた。早朝はまだ活動していないのだ。手でつまみだす。ザックや帽子に防虫のパッチを貼り、虫除けのスプレーを腕に吹きかけ、つぎに手のひらにスプレーをかけて薬剤を溜め、顔や首筋にもまんべんなく塗りこむ。完璧だ。
そして山の神と私は、5:16駐車場を出発した。虫除け対策は完璧だと思ったのはつかの間だった。ぷ~んと耳の周りを容赦なく蚊が飛ぶ。どこから湧いてきたのかというほど、蚊や蜂や虻の類が身体中にまとわりついてくる。ひっきりなしにこいつらを追い払う羽目になり、自然と足早になった。薬剤が少ないところには、そのうち平然ととまるようになった。2合目で虫よけスプレーをもう一度かける。
足早に来たのがたたってか、4合目で山の神がバテて休憩にした。そこからだいぶ歩いて雑木林を抜けた頃、ようやく虫の数も減ってきた。
左:6合目のロープの張られた急登。山の神が写真中央にいる 右:滝見台
森林限界を過ぎた辺りから、見晴らしがよくなる。振り返ると留萌の海岸が見える。遠くにはうっすらと利尻らしき姿も見える。
6合目のロープの張られた急な上りを越えてハイマツ帯に入ると、なにやらコケをぶちまけたような緑色の紙状のものがあった。なんだこりゃと思いながらもどんどん登ると、ヒグマの巨大糞が落ちていた。しかも真新しく、草食なのか緑色をしている。先ほどのコケをぶちまけたようなものは、糞が雨でバラバラになった状態だったのだ。地図にヒグマ注意と書かれているが、この辺りは完全にヒグマの生息地、活動域だ。
糞の先に、展望のきく滝見台が現れた。7:53
緑の山に一筋の生命線のように登山道が延びているのが見える。しばらく気持ちのいい道が続く。
もうすぐ山頂だが、いっきに行くには長い。9合目でいったん休憩をとることにした。山の神と行動食をつまんでいると、日本海側(西側)から大量の白いガスが流れてきた。一昨日に続いてまたかよ。このままというのは勘弁してほしいなとぼやきながら、最後の急登を上がっていく。
暑寒別岳山頂から雨竜沼湿原(左奥)、南暑寒別岳(右手の雪渓のある山)を望む
箸別コースとの分岐で、車中泊の方が前からやってきた。もう下山なのだ。すこぶる健脚な方だ。山頂にいたらガスってきたので、下りることにしたと。
白いガスの中、9:42暑寒別岳の山頂に到着した(冒頭写真)。昼メシを食べているうちに、ガスはとれるんじゃないかと希望的観測をしつつ、山の神と腰を下ろす。そのうち反対側の登山道、南暑寒別側から年配の単独行の方が現れた。雨竜ゲートパークを4:00に出たという。この方もかなりの健脚だ。途中稜線から見えるところにヒグマが一頭いたとか。多いね、この山塊は。
ふいに僥倖は訪れた。少しずつガスがはれて、雨竜沼湿原が見え隠れしていたが、さあっと一気にガスが流れ、南暑寒別岳も全貌を現した。ツキに見放されてはいなかった。大展望、大パノラマだ。一昨日歩いたところが遠くに見えている。
左上から時計回りに:チシマギギョウ、ミヤマアズマギク、エフデギク、ウメバチソウ
昼食をとり、10:30下山開始。帰途は、余裕綽々で花を愛でながら歩いた。上の写真の花は、ほんの一部だ。オトギリソウの群落や名を知らぬお花畑もあった。花を愛でられたのは、朝ほど蚊に遭遇しなかったおかげだろう。そういえば、場所によってはトンボも多くいて、私の目の前で、虫をキャッチしていた。弱肉強食の世界を至近距離で見られるのも、虫が多すぎるということか。
駐車場には、13:50到着。午後になって虻がまた活発に動き始めていた。