目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

「山の神々と修験道」

2015-06-07 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

 『山の神々と修験道』 鎌田東二〔監修〕(青春新書)

鎌田東二氏の著作かと思いきや、ざっと通読して奥付にいきつくと、責任編集・株式会社プライム涌光とあった。よく見たら、鎌田氏の名前のあとに「監修」と付いていた。偉い先生が、たくさんの項目立てをした入門書の類を書くわけはないか。

まずタイトルの「修験道」から想起する人物は、役小角(えんのおづぬ)、いわゆる役行者だろう。いたるところにゆかりの地があって、山登りをしていると、役行者の像や碑を、皆さんも多く目にしていると思う。まさしく修験道の開祖みたいな人だ。山にこもって修行をした人で、初めて全国的に有名になった人なのだろう。「日本霊異記」には、呪術をもったがために恐れられ、伊豆に配流されたとの記述があると紹介されている。私も一時期、役小角には大いにハマって、小説や歴史書を読んでいた。今手元に残っているのは、エンタメ系の黒岩重吾『役小角仙道剣』、歴史書をかなり参考にしたと思われる小説、黒須紀一郎『役小角』(シリーズで出ています)。どちらもすこぶる面白かった記憶がある。

その役小角ゆかりの修験道でもっとも有名なのは、吉野と熊野を結ぶ「大峯奥駈道」だ。私も上記の本を読んでいる頃に、深田久弥の日本百名山に選ばれている山上ヶ岳や、釈迦ヶ岳・大日岳を訪れている。いずれは通しで歩いてみたいものだ。

ところで、この本で初耳だったのは、修験教団は2つに大きく大別されるということ。役小角に始まる修験教団は、最澄の開いた天台宗と結びついて、室町時代に本山派と呼ばれるようになり、いっぽうでは空海に始まる真言密教と結びついた修験教団は当山派と呼ばれ、それぞれが独自に発展したとある。この二大教団は、教義や儀礼、着衣も含めて異なる。修験道を歩くことに、各々にいろいろな決まりごとや信条があるということは、それだけ神に、あるいは至高の信仰に精神的に近づくための、ある種工夫なのだろう。

最後に、この本にとり上げられている修験霊山について記しておこう。恐山、出羽三山をはじめとして、ずらり全国の22座が1座ずつ概略を紹介している。すべて有名かといえば、そうでもなくて(私の知識不足は当然否みませんが)、伊勢朝熊山、六郷満山(大分県国東半島)という山もそこに名を連ねている。ただ朝熊山は、1万日連続登山を目指した東浦奈良男さんがよく登っていた山であり、多少は氏の名前とともに知名度は上がっているのかもしれない。いずれにしても、どんな山なのか、そそられてしまった。

参考:当ブログ
「容貌怪異なじいさんの1万日連続登山への挑戦」 http://blog.goo.ne.jp/aim1122/d/20120526

図説 地図とあらすじでわかる!山の神々と修験道 (青春新書インテリジェンス)
クリエーター情報なし
青春出版社

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Tarzan2015年6/11号「山がカ... | トップ | 西丹沢自然教室から檜洞丸 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

山・ネイチャー・冒険・探検の本」カテゴリの最新記事