友人の家で前田対アンドレの試合を見た。
この試合は10年ほど前、知り合いの知り合いがビデオを持ってるというので本当に見たくて仕方なくて、何度もその知り合いにせっついたが、その頃は見られなかった。
昨日は友人宅でDVDで見たがその頃のことなどを思い出してなつかしかった。
その友人と二人でネットでも見たことはあったのだが、今回はアンドレの強さを改めて感じた。
DVDでも普通の放送などで見る映像と比べてややぼやけた印象があったものの、やはりアンドレの表情は尋常でないものを感じさせるものがあり、前田の方は焦りの色が色濃かったような印象を持った。
試合の立ち上がりにいきなりアンドレが寝技で前田の頭のほうから覆いかぶさり腕と首を極めにかかった。
自分はアンドレが寝技ができるとは知らなかったのでそれにもびっくりだが、前田も驚いたのではなかったか。
自分の記憶では前田はアンドレ戦のあとたしか週刊ゴングで藤原と対談していてそのアンドレの最初の寝技に関して、アンドレが前田をつぶしに来た事に関して非難めいたことを藤原と話していたような記憶がある。
前田はセメントの試合に応じなかったように見えたがなぜだったのだろうか。
新日のセコンドに「やっちゃっていいのか?」というようなことをきいていたようであるが、この当時のUWFの選手たちかなり他の団体の選手たちに関してかなり実力のほどを見くびった発言をしていたのではなかったかと思うのだが、であれば、寝技でも逆に極めてやればいいだろうと思うのだが、どうも寝技ではあまり前田に分があるようには思えなかった。
もっとも何どもアンドレからテイク・ダウンを奪っていたのは、それだけでもすごいといえばすごいようにも見えるが、アンドレは前田の関節でもキックでも全くきかないふりをしているようだった。
さすがに試合の後半ではよろけていたが、前田のドロップキックなどはまるでハエを追い払うかのように手で振り落としていた。
前田もあまりキックができないのはもしかしたら逆につかまれて寝技にかれることをおそれたのだろうか。
アンドレもヘッド・バッドやチョップは一切出さなかった。非常に不思議な感じの試合であったが、寝技であれ、なんであれ前田がもっと積極てきいにいかなかったのは面食らったということだろうか。
前田のキックは顔面や即頭部などへきめることが多かったと思う。
アンドレの場合にはそれはさすがに無理なのでちょっと手をこまねいていたという感じの試合に見えた。今思いついたのだが、アンドレも全くチョップのたぐいを出さなかったのはもしかしてセメントであれば買わされると思ったからだろうか。
アンドレ対前田というのは当時夢の対決であったはずだが、たとえばこれが東京の大きな会場であったらまずこういう試合はできなかっただろう。
こういう言い方もどうかと思うが、あの会場で徹底的にセメントでとことんやりあう試合をする事もまた考えにくい。
結局のところ、お互いのプライドがぶつかり合いはしたが、やはり「世紀の凡戦」という言葉がふさわしかったのであろうか。
いずれにしても前田のプロレスに対する考え方とは全く相容れない試合であったことは確かであるように思える。
逆に言うとアンドレがそれをさせなかったということで、アンドレのほうが格の違いを見せつけたような印象であった。