イージス艦あたごの事件に関してはいろいろなニュースが出ているし、ブログなどでもかなり専門的な見方が出ているようで、自分としては全部見たわけでは報道ステーションを含めもちろんないが、やはり昨年のマルエーフェリーと同じようにマスコミによる欠席裁判が行われて断罪されているという印象で、これではまたしても同じような悲劇が起きないとも限らないとさえ思う。
今朝はこの事件をとりあげる番組がいくつかあったのでサンデージャポンと田原の番組などを見たが、はっきり言ってもうめちゃくちゃである。
森本が三週間の演習から帰って来たということを言うとすかさず田原が「疲れてた?」などと言って、いかにもそんなことは言わせないという脅しの雰囲気がありありと見えた。
自分はその場面は見られなかったがサンデージャポンで中川しょうこが「絶対に避けられた」などと漁船の側の非を認める発言をしたらたちまち番組内とブログで謝罪せざるをえなくなったようである。
ようするにこれも一種の脅しで漁船の側の責任は一切問うてはいけないわけである。
ようするにこの国ではいかにも言論の自由が保障されているようで、保障されていないわけである。
なにか自分たちの意見にあわない者が出ると、抗議の電話などによって徹底的に圧力を加える大衆というものが存在しているわけである。
そしてそういう風潮を作っているのはマスコミである。
これは一種の洗脳であると思うのだが、たとえばどのようにしてマスコミが一般大衆を洗脳しているか、報道ステーションのこの事件に関する報道をいくつか見ているとこれぐらいでだまされてしまうのか、と情けなくなる。
たとえば、富川が実際に漁船に乗り込んでそこのレーダーの近くの大型の船などが、どのように写るか見せた場面があった。
そこで富川と漁師によって確認されたのは、あたごのレーダーにもこのように漁船の船が写る「はず」です、ということであった。
ちょっと待ってください。だってその前の場面であたごのには二種類レーダー(航海用と防衛用?でしたっけ?)があってその両方が使われていたのかどうか防衛省は明らかにしていないと批判したばかりでしょう。
だからどのようにレーダーに写っていたのか情報が分からず、隠蔽しているかのごとくに言っておきながら、あなた方は写っていたはずだということを言っているわけですね。
でももし航海用のレーダーが使われていなかったら漁船の船影が写っていなかった可能性だってあるわけでしょう。
もちろんその場合でもイージス艦の責任はあると言うのでしょうが、富川が見たのは漁船のレーダーだからそれは「清徳丸」が備えていたレーダーにどのようにあたごが写っていたかということの情報にむしろ役立てるべきではないのか。
こういうイメージ操作を変な効果音などを混ぜておかしな分析をし続ければ見てるほうは100%イージス艦が悪いと思うのだろうか。
そうじゃなくて、しょうこたんはそういうのは本当はおかしい、と思っているのではないか。
「死ななくてすんだ」と言うのはたしかに酷な言い方だが、捜索は打ち切られたという報道もあったわけだし、なぜそれほど平謝りに謝らねばならないのか。
しょうこたんだけでなく幼稚園生でも分かると思うのだが、立教大学ご卒業の古館伊知郎さんや東京外国語大学中国語学科ご卒業の加藤さんは全くそうは思わないようだ。
おかしな話であるよ。
だって小型漁船だってレーダーがあれば気づいたはずだし、いくら夜だと言っても少なくとも少しは明かりはついてる大型船舶に気づかないはずはない。
ようするに「清徳丸」もよけきれなかったということのようだけれど、他の船はちゃんとよけてるわけでしょう。
だから「避けられた」というようなしょうこたんの発言は決して間違いではない。
むしろこういう発言を謝罪すること自体がおかしなはなしである。
そういうことからすれば仲間の漁船との連絡体制、お互いに警告しあったか、「清徳丸」にレーダーがあったか、あるいは操業中にエンジンをかけていたかとか、ライフジャケットを用意していたかどうかなどこの事件に関して重要なはずの漁船の側に関する情報は全くない。
漁協の側は記者会見をやっているからいろいろ訊けたはずなのに防衛省の発表を批判する面だけ報道して、たとえば仲間の漁船がその場で救助したかどうかなど全く問題にせず、防衛省の側の通報の遅れなどばかり一方的に指摘しているが、これでは欠席裁判もいいところだ。
しかも古館はあたごの船長が会見をして謝らないと言って怒っているが、サンデー・プロジェクトの森本の話では今は海上保安庁に拘束されているようだから、もしそれが本当だとすればそれも人ができないことを、いかにも情報隠しや隠蔽のイメージを持たせて不当に弾劾しているということになるだろう。
だいたいこれだけ徹底的に防衛省側だけを一方的に糾弾しておいて「情報を出していい悪いはそれからだ」などと一体どの口で言っているのか。
これだけ国民に一方的に防衛省が悪いと宣言しまくって、海上保安庁が漁船にも責任があるなどと言えるわけがないだろう。
だいたい自動操縦がけしからんと言っているが、自動操縦でもとにかく操縦室に人がいるわけだから、いざと言うときには切り替えるようになているはずだ。
マスコミの論調を見ているとお前がどかないからこんなことになってしまったどうしてくれるんだ、とすごんでいるようであるが、これは法律以前のきわめて稚拙な議論である。
たとえばサンデー・ジャポンで八代とかいう人はこのあたりでこの時間に500艘の漁船が操業しているなどと言っていたが、自分はそれはにわかには信じられないが、それが本当だとしたらその漁船の混雑自体が問題ではないか。
右手前方から来る漁船をどうよけるか、あるいはよけたところでまた他の船にぶつからないかなどどうやって分かるというのか。
これはどう考えても漁船の方によけてもらうしかないではないか。
だいたいあれだけ船が大破するというのは漁船の方も猛スピードであたったかあるいは沈没したあとスクリューに壊された可能性もあるがおそらく前者であろう。
ちなみによくGreenpeaceの船が捕鯨船に体あたりしているビデオなどを見るが、そういったものを見れば、大型船が波を立てていることなどもあって漁船が大型船にぶつかること自体がかなり難しいということは分かるはずである。
行方不名の方の捜索が打ち切られたのは大変残念であるが、いたし方ない部分もあるだろう。
それにしてもこの事件は地図などを見ると伊豆大島よりも南のようで、かなり陸から離れたところでおきたようである。
この地点ですでに自動操縦を切り替えろ、というのは事件が起きたから仕方がないが、午前4時にこの地点で漁船が多くいるから気をつけろ、というのは酷ではないか。
イージス艦の船員の生活の過酷さなどから疲れを言うのはけしからんということになるのかもしれないが、それよりなによりハワイから来たほうはやはり陸との距離感が頭では分かっていてもなかなか体では分からないものでだから、レーダーというものもあるわけで、別に漁船との事故を防ぐためだけにレーダーがあるわけではないのである。
日本の海岸というのは非常に入り組んでいて、極端な話、夜の海はまっくらだから、陸とぶつかる、あるいは何かの岩などにぶつかるという可能性もないわけではないのである。
だからブイが浮いていたり、(ちなみに漁船の明かりをブイと見間違えた可能性もあると自分は最初に思ったがブイは普通は赤い色をしている)灯台があるのだ。
現場の海域を一番知っているのは現場の漁師なわけだから、漁船の方がどかないことにはどうしようもないのではないか。
だいたいこれだけ陸から離れたところで大型船のほうに回避義務があるとしたらあまりに酷でそんな法律はもう少しきめやかに改正すべきだ。
こんなことを書いてもなんにもならないことはマルエーフェリーの件で立証済み。
自分も疲れた。
書き忘れたが渡辺喜美が「この漁船がもし自爆テロの船だったらどうするのか」などと記者会見で言っていたようだが、海上での自爆テロは難しいだろう。
ただ不審船などが攻撃してくるということは日本海上に比べて可能性は低いだろうが、なくはない。
レーダーの件にしても防衛上の機密とかかわる部分もあるだろう。
またそれもそれを理由にして明かさない、と言うのだろうが、こういうことは報道ステーションの視聴率アップのために公表するわけではない。
どこかの役所がWikepedeiaの一部をパクッた件で民主党がネット上の情報は誰が書いてるか分からないから信用できない、と国会でわめいている場面を写してる癖に、自分たちは氏名不詳の(?)自衛官などを証言させたビデオを流している。
ようするになにが言いたいのか分からないが、「あたご」はむちゃくちゃたるんでいると言いたいのだろう。
しかし、勤務体制も含めて今現在現役ではないかも知れないが、公務員がこういうことをあれこれしゃべっていいのか。公務員の守秘義務違反になる可能性もあるのではないかか。
自分たちは防衛に関する機密情報漏れを徹底糾弾していながら今度はいろいろな情報をしかも情報源を秘匿して次々に流して防衛省を混乱に落とし入れているのは、全く国益に反する犯罪だと言えるのではないか。
大体、緘口令をしくというのもそんなに悪いことなのか。
どの情報を流していいか悪いか、というのは微妙な問題を含むから、いろいろな情報が遅れるのはある程度当然のことであろう。
むろん古館が早く情報を出せと言うのもこの事件で視聴率を稼いでお金儲けしているわけだから当然とも言えるがこの話題もあと二三日だろう。
マルエーフェリーとか他の海難審判の判決などは一切報道されないようだが、いずれにせよテレビや新聞が流す情報がすべてではないだろう。
とにかくこういうマスコミの風潮ではこういう事故の再発は防げないと自分は思う。