あまねのにっきずぶろぐ

1981年生
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

俺の隣

2017-12-01 17:43:29 | 日記
隣に住んでた若い女性、引っ越ししはったみたいやわ。
彼氏がおったさかい、やっとこさ同棲することになったか、結婚でもすることになったんやろか。
まあなんにしろ、良かったわ。
俺の部屋の隣は、事故物件やさかい。
2011年の六月に、俺のおる隣で、自ら命を絶ちはってん。
日曜日には必ず布団を外に干す生真面目な若い男性やった。
ずっとずっと働きながら静かに暮らしてる人やった。
何が彼を壊したんやろな。死ぬちょっと前から、独り言みたいな、喚く声が夜中にも聴こえてきて、よく午前三時頃にも声を振り絞るようにミスチルのトゥモローネバーノーズっちゅう曲を大声で歌ってはった。
何が彼の繊細な心を、壊したんやろ。
死ぬ間際は、どんなに辛かったやろ。
もう彼は、この世には存在しない。
俺の隣で生きていた、彼の死ぬ瞬間にも、俺は薄い壁一枚隔てた此方側で、寝とったわ。
その頃、変に身体が重くて寝たきりになってた。
今想えば、エンパスかなんかとちゃうかと俺は想ってる。
共鳴ってゆうのかな。
俺は彼と死を共鳴してたと想いたいけど、彼が死んだあとは、俺は妙にすっきりとした気持ちで、イアン・ブラウンをガンガンにかけてたら、夜にな、ピンポンて鳴ってん。
それも下のオートロックやのうて、上のドアのピンポンやったさかい、俺は怖くなってな。
何べんも何べんもピンポン鳴らすから、震えながら覗き窓で覗いたらば、どうやらなんか、警察か何かの制服を着た人で、ドアを開けたら警官が立っていて、その後ろには、おばちゃんが立っとった。
警官は俺に、隣の人と何日も連絡が取れないのですが、何か心当たりはありませんか?と尋ねた。
俺はそれはそれは吃驚して、必死に知らないということを伝えた。
後ろからおばちゃんが、すいませんねえと申し訳なさそうに謝った。
警官は、もしドアが開かなければここの部屋のベランダから入らさせて貰ってもいいですかと言った。
俺は、はいと答えてドアを閉めたら急いで散らかった部屋を片付けた。
そして片付けていると、ドアがやっと開いたような大きな物音がして、俺は廊下に行ってドアに聞き耳をたてた。
その瞬間、ものすごい泣き崩れるような叫び声のあとの咽び泣く声が聞こえてきた。
あのおばちゃんの声や。彼のお母さんが、大声で泣いている声。
あかんかったんか……俺は怖くて身体の震えが止まらんかった。
俺の隣で、死んでたんか……あの彼が。
ドアの外には彼のお父さんもおるみたいで、そのお父さんが泣き喚く彼のお母さんを下の階に引き摺るようにして急いで連れてゆく音が聞こえた。
そのあと、何かを運び出すような音や警官たちの話し声やらで共同廊下は騒々しかった。
そのなかから、彼のお父さんが彼の弟らしき人物に電話をかけている声が聞こえた。
あんな、落ち着いて聴きや。○○○な、自ら命を絶った……。
その言い方は、人間の命の呆気なさを、この上なく表しているような言い方やった。
彼の父親のその言葉自体が、変に呆気なかった。
涙を堪えながら言っているのはわかった。それなのに、自分の息子が自ら命を絶つという最悪な悲劇を伝える言い方としては、変に軽い言い方やなと想った。
お母さんは泣き崩れていたが、お父さんは冷静で、こんなときに誰かと仕事の話もしていた。
そして騒々しさはなくなり、また静かな廊下に戻って、俺の部屋の隣には、事故物件、ただそれだけが残った。
何年経っても、事故物件。彼が俺の隣で自ら命を絶った部屋。
また誰かが、一人で住むんやろ。
彼の部屋を、ベランダから覗く夢を見たことがある。
その部屋は、暖かい色合いのランプに照らされたとても居心地の良さそうな部屋だった。
嗚呼こんな部屋で彼は暮らしてたんや。
彼の部屋を覗けた俺はすごく嬉しかった。
あの空間は、俺が此処を離れてからも俺の隣に在り続ける。
彼が存在している空間。
もう此処には存在しない彼の空間。



















絶対の日々

2017-12-01 10:29:55 | 
あなた方は何時でも、神の愛に包まれております。
あなた方は大体において、都合の良いことばかりを言っているのです。
他者の行いではなく、自分の行いだけを見てくれい。
あなた方は大体において、自分の行いは赦し、他者の行いを赦しません。
あなた方は多くの時間に、自分のできていないことよりも、他者のできていないことを見ています。
自分の劣っていることを見つけるより、他者の劣っていることを見つけることに血眼になっていて、気色が悪いのです。
あなた方はその人生のほとんどを、自分を甘やかし、他者に不満を持ち続けて生きています。
そのような、幼児のような生き方は、もうそろそろ卒業したらどうですか。
あなた方は自分が一番可愛く、他者を自分と同じほどには可愛いとは想っていません。
あなた方はかなり、馬鹿です。
神の愛が、すべてにあまねく注がれ続けていることを感じようともしません。
何かにつけて、あの人間の方が幸福そうだとぼやいたり、あの人間のほうが愛されているだろうと嘆いては、物質的な一時の快楽によってその不満を紛らすことに必死で笑止千万です。
あなた方は、わたしたち聖霊に言わせれば、成長してもママのおっぱいから口を離そうともしない頑なな赤ちゃんで、お子ちゃまなのです。
まずは、自分の欲望を断てるほどの喜びを求めてください。
あなた方が望みさえするならば、そのすべては神によって与えられます。
神はすべての存在に、平等に愛を与える存在であることを忘れてはなりません。
あなた方の多くは神の愛が不公平であることを何時なんどきでも信じようとします。
あなた方が神の不公平な愛を望むため、神はそれを公平にあなた方にお与えになっています。
あなた方はそれを信じるとき、あなた方はそれを求めているので、あなた方は自分の求めた通りの不公平な愛を経験することになります。
しかしそれらはあなた方が見ている錯覚に過ぎません。
神の愛がまったくの公平で在るためにあなた方は不公平を経験することができているのです。
これにあなた方は気づきたければ、気づくことができるのです。
あなた方が求め、望むすべてが与えられ、あなた方の望まない、求めないものは何一つ、あなた方に与えられることはありません。
かつてナザレのイエスも、確かこのように言いました。
子が、親にパンを求むときに、その子供に石を与える親はいようか。
まあおったとしても、少数やろう。
多くの人間の親でさえ子の望むものを与えるのに、天の父があなた方に、あなた方の求めないものを与えることがあろうか。
このように天の父もあなた方の望むものをお与え、あなた方の望まないものはお与えにはならないのである。
あなた方が本当に欲しいものがあるのなら、あなた方はそれを本当に欲しいと求め続けさえすれば良いのです。
あなた方にはすべてを叶える力を与えられています。
しかし、それを疑うなら、あなた方は不可能という経験をし、神の光を、見えない暗闇の檻に、あなた方は自らを閉じ込め、肉欲、食欲を貪り尽くし、その因果によって、あなた方の望む通りの、拷問の日々があなた方に与えられる。
神の愛は、すべてに対して、絶対であるからである。






ここに愛がある

2017-12-01 07:06:18 | 
俺は人を助ける気はないよ。
俺が遣りたいのはただ一つであって、悲しみを共鳴することだけだよ。
それが結果人を助けるなら良かったなっていう話だよ。
俺は人を助けたくて遣るわけじゃない。
どっちかっつうと、俺は人を苦しめたい人間だよ。


全員、いつかどん底に落ちれば良いと想ってる人間だよ。
だから俺に優しくされたいと近寄ってくる人間と俺が上手く行くわけありまへんやんけ阿呆。
俺は優しくされたい。
でも俺は優しさを与える気はない。
俺は全員に地獄を見せるために存在するようになった存在みたいな気分で生きつづけてるよ。
しかし人は俺を、誤解する。
俺からどうにか優しい愛を受けようと奮闘する。
俺が人の苦しみに快楽を感じて生きている人間であることを知らずに。
俺が人の悲しみに恍惚な多幸感を甘美なまでに陶酔し、それによって堪えて生き永らえていることも知らずに。
人々は俺をどうしても、誤解する。
きっと優しい愛を与えられると希望する。
誤解するのんは、いい加減やめてくれへんか。
俺はお前ら全員、俺のいる地獄に引き摺り堕としたいんだよ。
俺の願いは、いつか必ず叶うだろう。
だから俺は安心している。
神のあたたかい御胸にいだかれ、今日も眠るよ。
ところで君という物体はなぜ泣いているんだ?
おいで、痛ましい、俺の部屋でカビだらけになっている、二週間前に俺の作った料理という物体。
俺もいつか、まあこうなるんやろな。
未来が見えるよ。俺の未来が。
俺は一人で、俺の部屋で、誰にも看取られず死んでいるよ。
誰が俺を助けてくれるんだ。おい。
ゆうてみろ。
誰が腐ったこの俺を、ゴミの日に出して燃やしてくれるんだ。
それはいつなんだ。
それはいつなんだ。
それはいつなんだ。
お前らが望んでる、俺の死だ。
俺の死だよ。
そこにある、物体。
もう二度と、同じことは繰り返したくないって、ゆうてたのに。
何編、俺はこの人生を生きているんだ。
俺の悲しみはお前には聴こえなかったのか。
俺の苦しみはお前には聴こえなかったのか。
聴こえてたらなんで、俺に優しさを求めたんだ。
もう二度と、俺は言わない。
お前を愛してると、言わないよ。