甘えん坊タマ

 新猫タマがやって来たために、外の居場所を奪われたポチは家の中で過ごす時間が長くなったが、そのポチに続いてタマもまた家の中に入って来るようになった。
 要領がいい猫で、すぐに懐いて甘えるから、一番新顔のくせに、もう古くからいる猫のように家の中に馴染んでいる。ポチにまで甘えるしまつで、朝起きると、ポチの胸の辺りに自分の顔をこすりつけて挨拶する。はじめポチは迷惑がって、ときどき猫パンチをお見舞いしたりしていたのだが、それでも擦り寄ってくるタマに根負けして、このごろは首筋の毛を舐めてやったりしている。
 要領がいいといえば聞こえがいいけれど、タマはいい加減な猫で、警戒心というものがあまりない。まだ実家の人間に完全に馴れていない頃、風邪をひいたので、寒いだろうと思って外の箱で寝ているタマの頭から毛布をすっぽりかけてやったら、いつまでも頭から被ったままで、すぐそばを通っても、ちっとも起きない。周囲の様子が見えないというのは、元野良の性分からすると落ち着かないと思うのだが、タマは気にならないらしい。
 唯一抱っこが平気な猫もタマで、ちゃめやみゆちゃんなら、抱っこしても30秒も持たずに腕を蹴って逃れていくのに、タマはごろごろ言いながら、目を閉じ、手足を伸ばしていつまでも抱っこされている。
 その鈍感さのおかげでみんなに可愛がられるのだから、タマは得な猫であるが、かわいいばかりで、はきとしたところはちっともない。寝てばかりである。猫には活発なのと不活発なのがいて、デビンちゃん、ポチ、ちゃぷりも寝てばかりの部類である。
 反対に、ネロやちゃめ、みゆちゃんは活発で遊ぶのが好きだ。先日も、みゆちゃんが部屋の隅からビーズの玉を見つけて転がしてくるので、向こうへ投げてやったら、追いかけていってまた転がして戻ってきて、投げろと言わんばかりにビーズの前に座ってこっちを見つめている。そんな遊び好きなみゆちゃんだから、子猫の頃に遭った交通事故で一時は車椅子生活になるとまで言われた怪我がすっかり治り、十二分に走り回れるようになって本当によかったと思う。


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