桜の季節

 今朝、川端通を通ったら、鴨川べりに植えられた桜が、枝の先のほうでちらほらと咲き始めていた。木全体は、今にも開きそうなほどに膨らんだつぼみで、濃いピンク色になっている。咲けば淡い色の花であるが、つぼみの段階では、花びらの色がぎゅっと凝縮したような濃い色に見える。
 花開き始めた桜を見ると、何となく憂鬱な気分になる。それはまったく馬鹿馬鹿しい理由からで、花が満開になれば一生懸命眺めなければならない、しかしどんなに眺めても眺めつくす前に花は散って、桜の季節はもう終わってしまう、そういう心配が先にたって、憂鬱になるのである。いざ旅行へ行ってしまえば楽しいのだけれど、実際に行くまでは、あれやこれやと心配事ばかりが気になって気が重くなる、私はそういうタイプの人間である。
 しかしそれと同じで実際に花が咲くとやはりうれしくて、よその庭の塀の向こうに、大きな早咲きの桜の木が満開になっているのを見るや否や、憂鬱な気分はどこかへ消えてしまった。
 川端通の染井吉野も目に見えるように開花が進んで、夕方ふたたび通ったときには、薄いピンク色の夕靄の中に、開いた花は朝よりもずっと増えたようである。


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