望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

「光垂れーる」思い出のウラ話・28

2022-05-17 14:11:05 | 舞台・ウラ話


<つれづれに、あとちょっと・8>

――これが本当に最後です―― 

千秋楽が終了してすぐ、

まずはお礼を言わねばと、
私は渡辺さんのところに走りました。


だいたい千秋楽が終わったばかりというのは、

ほっとしながらも興奮してて、寂しさもあり、
けっこうみんなハイになっています。

 

でも私はいつも、騒ぐ若手たちをあたたかく見守りながら、

せっせとバラシにかかるオバサン、というスタンスでした。


  な、の、にーーーーー!!

 

何を間違えたか、

私が超興奮状態に陥ってしまった!

 

2年ぶりの舞台で、

たくさんカルチャーショックを受けて、

はたまた、かなりの過労状態だったからか、

まさに「超」がつくほどの興奮状態で、

そんな湯気が出そうな状態のまま、
渡辺さんに心から、お礼を伝えました。


「べーさんっ!本当に本当にお世話になりましたっ!
 べーさんにいつも引っ張り上げてもらって、
 私はそれに乗っかるばっかりで」

と身振り手振りを交えながら喋り倒し、

あちらが何か喋っているのも聞かず、

「いや本当にありがとうございました。
 もうどれだけ、べーさんにご迷惑かけたかと思うと、
 でも嫌な顔もせずに付き合って下さって、
 なんたらかなんたら」

と、また山ほどの感謝を一気に喋ったところで、

 



渡辺さんが、ひと言。

 




「お茶・・・こぼれてます」

 

 

「へ?」

 

はっと我に返ると、

手には、いつも飲んでいるほうじ茶のカップが。

それもなぜか蓋を開けたまま。

私はそれを持ちながら、
派手に振り回して、喋り続けてた・・・。

床には、ほうじ茶の水たまりが・・・。


慌ててそこら辺のティッシュペーパーで拭いてたら、
渡辺さんも手伝って拭いてくれて。


もうーーーーーーっ、

なんで最後までこれなのよーーーーっ!

 

結局まともにお礼も言えず、

こぼれたお茶を拭いてもらって、

謝っておしまい。

 

  あ~あ。

 

舞台の上では、

馬鹿をやるお父ちゃんを、
大きな愛情で包み込むようなお母ちゃんだったけど、

舞台を降りれば正反対。

 

寡黙で冷静なお父ちゃんに、

迷惑をかけ散らかすお母ちゃんでありました。

 

しかし、最後ぐらい落ち着いて、

きちんとお礼を言いたかった・・・。

 

  (おわり)

 

長々とお付き合い下さり、ありがとうございました!

 

 

 

 

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