開演1時間前。
いよいよ本番の時間が近づいてきます。
あと30分で開場。
客席にお客さまが入られます。
舞台では、かなやんが掃除中。
新撰組の白井、刀を持つ前に、まず掃除機。
この格好で持つと、妙にサマになる?(笑)
他にも、あと30分間で、やることはまだまだたくさん!
楽屋が狭いので、着物の着替えは舞台上で。
あっちこっちで、お互いに着せ合う姿が。
これものんびりしていては間に合いません。
ダメ出し後の、役者間での最終的な打ち合わせなども、
ここで話し合っておかないと、大きな声が出せなくなります。
そう。
<<< 本番になったら、絶対に声が出せないんです! >>>
なぜか?
と、その前に、こちらの劇場の裏側を教えちゃいます。
↓ これは空っぽの「劇」小劇場の舞台です。
客席から向かって右側の「上手」は、実は通路がありません。
いかにも奥がありそうに見えますが、行き止まりで、
入ったら最後、舞台を通らない限り、外には出られません。
そこで、上手からも出たり入ったりできるように、
パラノイアさんの公演では、
必ず花道を作るのですが・・・、
・・・それで、絶対に本番中は声を出せないんです。
・・・意味不明、ですよね(笑)
小さいと言っても「劇」小劇場にも、
劇場と、ロビーや楽屋を隔てる、ちゃんとした鉄の扉があります。
ここをピシッと閉めてしまえば、
劇場はかなりの密閉空間になり、外の声は聞こえません。
でも、花道で使う限り、それは閉められない。
なもので、ぜーんぶ開けっ放しの、
下の声が筒抜け状態で芝居をしているんです。
これはかなり大変なことでして・・・、
我々が音にならない声で喋っていても、
当然、外の声はお構いなし。
劇場の入口が少し凹んでいるためか、
人や車をよけて、落ち着きやすいらしく、
バカでかい声で携帯で喋る人が少なくない
「開演中です。お静かに」なんて張り紙はどこ吹く風。
こちらは、入口のガラス戸に顔をくっつけて、
パントマイムで「し・ず・か・に!!」と必死で訴えます。
そうかと思うと、下北沢観光らしきオバサンの集団が、
時代劇の姿で、ロビーで出番を待っている我々を発見!
「ちょっとぉ、〇〇さーーん、見てごらんなさいよぉ」
「あっらぁ、すごいわよぉ、お芝居やってんのよぉ」
「ほら、ちょっと、こっち見てよぉ」
「やっだぁ、声かけたら、こっち見たじゃないの。やっだぁ」
・・・こっちが「やっだぁ」なんですけどっ
どうすりゃ、ここまでデカイ声が出るんだ、ってほどの声で、
劇場の目の前で喋り散らして、
こちらの「シーーッ」というアクションなど、まるで無視。
こういうときにはもう、ただただ嵐の過ぎるのを待つばかり
あ、話がとんでもないところに行っちゃいましたが、
えーと、とにかく、声を出せるのはこの時期までなので、
それぞれに、慌ただしく動いている・・・って、これだけの話でした
そしてその頃、すでに劇場の前では呼び込みがスタートしています。
みんなよりも一足早く用意を済ませた酒井孝祥くんと海老原利奈ちゃん。
「とざい、とーざーい」
と、昔の芝居小屋の空気をまとっての呼び込みです。
我々、遊郭チームは、受付でのお客様のお迎え係。
用意ができ次第、呼び込みにも参加します。
さぁぁぁ、もうすぐ本番だーーーーっ!