初っぱなからのガンガン通し。
みんなしっかり台本を持って、ほとんど目線は台本に。

しかし、そんな中で、ただ1人、
台本を持っていないのが、
私の夫役、音楽家・松下役の松沢さん。

なぜなら、セリフが一言もないから。
少し説明しますと、
脳梗塞で倒れ、麻痺が残ってしまった松下は、
突然、不自由な体になってしまう。
音楽家として颯爽と活躍してきた彼は、
呂律の回らない舌で喋ったり、
食事すらうまくできない自分自身が許せない。
心の中に多くの葛藤や怒りを抱えながら、
食事もリハビリも拒否したまま、施設にやってくる。
ということで、台詞はなし。
その分、言葉に頼らずに、
多くのことを伝えねばならない、
ものすごくエネルギーを必要とする役だったのですが、
でも、大変な役なのは承知の上で、
台詞以外のことに集中できるって、
ちょっぴりうらやましかったことも確かです(笑)
そして、
稽古を見る方も、最初のころには、
やはり緊張感がありました。
この人はどんな芝居をする人なんだろう、とか。

だから、初参加のときは、
どの現場でも本当に緊張するんですが、
演じる方も緊張して、見る方も緊張するんだから、
そりゃ場が緊張しないワケがない(笑)
でも、そこから順番に稽古が進んでいって、
よけいな緊張感も消え、
あらためて返し稽古などもしながら、
だんだん作品として、形になっていく・・・。
と書けば数行で終わっちゃいますが、
実はこの数行に、
汗だくの稽古の日々が、
ギッシリ詰め込まれているのでゴザイマス。
そんな稽古場の日々。
写真と共に、もうちょっと振り返ってみます。
<つづく>


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