坊主頭の主宰が、ホワイトボードに何やら書いてます。
あ、それから私、よく「主宰」という言葉を使いますが、
だいたい、作家とか演出家と同義語だと思って下さい。
小劇場の場合、たいがい、主宰が作・演出をするので。
(今回の主宰の佐藤さんは、それに加えて出演もします)
イロイロ書くと長くなるため、
ぜーんぶひっくるめて「主宰」という言葉を使っています。
さて、話を元に戻します。
そのボードを食い入るように見ているのは、
こういう雰囲気の面々。
実はこれ、家の間取りを書いているんです。
我々の暮らす、品川のもぐりの女郎宿、木菟屋(みみずくや)
その店がどうなっているのか、の説明なんです。
もぐりなので、外は量り酒屋のような店があって、
そこでもちょっとしたつまみを出して、
でもその裏の入り口から入ると、女郎宿になっていて、
手入れを逃れている。
こっちに海の見える部屋があって、
ここは3畳程度の安い部屋が並んでて、
台所はここで、女郎や使用人は、このあたりで食事して、
・・・と、
話をしているうちに、どんどん細かくなっていきます。
別にセットを組むワケじゃないし、
ただの何もない舞台上を、
上手や下手から、出たり入ったりするだけ、なんですけどね。
でも、登場する人物が、
<今、自分がどんなところにいるか>
わからないままでは、芝居はできないんです。
江戸時代の品川の女郎宿の中なんて、
知ってる人は誰もいないけど、
それでも、
その匂いとか、
音とか、
ふすまや畳の感触とか、
そんなものを五感で感じとりたい。
それで、なにかリアルな空気が出てきてほしい。
苦し紛れというか、当たるを幸いというか
もう、その、空気をつかみたくて、
いろんなことをやってみる、
その基本が、こういう見取り図や地図なんです。
不思議なもので、あーだこーだと喋りながら、
主宰の描くイメージを見ているうちに、
なにか、見えてくるんですね。
自分が廊下を歩いていて、
向こうに誰かいて、
・・・なんていう景色が。
たぶん、全員が勝手な景色を見ているんでしょうが、
それでいいんです。
役の人間として、
地に足をつけて生きていられたら
いい作品にしたいな・・・。
いつものことですが、これが切なる願いです。
だから、
台本、早く上がらないかな・・・(笑)
オフィスパラノイア公演「武士の影」
詳細は
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