「稽古場の日々」から、微妙に言葉を変えての「スタジオの日々」。
本番の1週間ほど前から、スタジオで、
本番と同じセットを組んでの終日稽古になります。
ですから、このあたりは、いよいよ本番間近の日々なんですね。
・・・で、まずは、これの種明かしから。
以前、こちらでお見せした「
赤い妖怪」(笑)
衣裳でもなく、「着る」モノでもないのに、
なぜ、体に羽織っているのか?
ウラ話にて、ぜ~んぶ、ご説明します・・・と書きました。
さて、
ご覧頂いた方、
この「赤」に記憶がおありでしょうか?
苦労の割に、一瞬だったからなぁ。
気がつかない方も多かっただろうなぁ。
最初に「ご用改め」が遊郭に踏み込んでくるシーン。
遊郭でお楽しみの真っ最中かと思いきや、
役人が去って、布団を開けてみると、なんと3人!
ご用改めの役人から、身を隠していたのだった、
という説明シーンです。
そう!
主宰がまとっているのは、
そのときに使っていた「掛け布団」なんですね。
なぜ、掛け布団を??? と思われるでしょうが、
・・・これは、暗転の段取りを相談中なんです。
暗転って、
明るくなったら別の人がいたり、別の場所に変わっていたり、
見ている方はそれが当たり前なんですが、
やっている方は、とにかくアナログな世界ですからね、
自分たちで移動させたり、自分たちが動いたりしなきゃならない。
それも真っ暗な中で、短時間に!
今回のお芝居はセットの移動がなくて、楽だったのですが、
その中で唯一、大物の移動がこれでした。
それも、
敷布団を敷く
↓
半次郎とお豊が寝る
↓
又右衛門の巨体がその上に覆いかぶさる
↓
3人の上に掛け布団をかぶせる
という、けっこう厄介な仕事があり、それに加えて最後に、
→
又右衛門の頭と、
女の襦袢をかぶった半次郎の頭、
お豊の片足(ナマ足!)、
を、布団から出しておく
という完成形になったところで、パッとライトがつく、
・・・というか、つくまでに、ここまでになっておかなきゃいけなかったんですね。
でも最初は、明るいところでやっても、
なかなか「完成形」にならない!
舞台用に布団も小さく作っていますしね。
とはいえ、客席からも、布団の中は2人だと見えなきゃ、
あとの驚きにつながりません。
半次郎役の武市悠資くんと、お豊役の羽衣堂あやちゃんは、
体も小さいしスリムなので、問題はないのですが、
あとのおひと方が・・・(笑)
それの問題も含め、
1秒でも早く完成形に近付けるためにはどうするか、
いろいろな試行錯誤が続きます。
暗い中で、一瞬で敷布団を敷くには?
お豊の日本髪が崩れないようにするには?
狙った所に掛け布団をかぶせるには?
何度も何度もやって問題をつぶしていき、
最後に「掛け布団」の問題が残りました。
・・・そこで、
・・・この写真だったんですね。
半次郎が敷布団を敷き、お豊と共に先に寝転がる。
その上に、羽織った掛け布団もろとも、又右衛門様が、
どーーーーん!!!
と、覆いかぶさる。
・・・稽古から本番まで、
三人三様に大変だったようです(笑)
あのシーンは私も出ていて、
踏みこまれた役人にバレないように、
ハラハラしながら見ているんですが、
実は、役人役のかなやたけゆき君も、私も、
舞台に登場して布団を見た途端、
「ホッ、今日もうまくいってる」と、
そっと安堵したりしていました。
ちなみに・・・この布団、
スタジオでは何人かのお昼寝用になったりしてました(笑)
舞台用の道具を私用に使っちゃいけないんですが、
そこはまぁ、疲れてることだし・・・ね。
暗転の話は、一時延々と連載しました。
興味とお時間のある方は、
このブログからどうぞ。