インドの“バランス外交”
“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」145/通算577 2023/3/3/金】夕べの強風は凄まじかった、まるで嵐。屋上庭園が吹き飛ばされそうで、世界の今と明日を暗示しているよう。古人曰く「悪い予感はよく当たる」。
「インドのロシア離れ 可か不可か」というテーマで書きたいと思い、手始めにガンジー(ガーンディー)の代表的著作「真の独立への道――ヒンド・スワラージ」(日本では2001/9/14刊)を読んでいる。しかし「人間、国家はどうあるべきか」という哲学でとても難しく、3ページほど読むとグッタリする。アマゾンから引用すると、
<非暴力・不服従主義による民族運動で知られる「インド独立の父」ガーンディー(1869-1948)が、自らの思想と運動の基本理念について述べた主著。編集者(ガーンディー)と読者(急進的な若者)との対話形式で書かれ、イギリス支配のもとでの近代文明を批判、真の文明とは何か、インドの真の独立のあるべき道について論ずる>
版元は岩波、訳は田中敏雄氏。HMV&BOOKS onlineによると田中氏は、
<1937年東京生れ。東京外国語大学卒業(ヒンディー語専攻)。デリー大学留学などを経て、2000年3月まで東京外国語大学教授。麗沢大学・恵泉女学園大学非常勤講師。東京外国語大学名誉教授。専攻は現代ヒンディー文学。著書は『南アフリカでのサッティヤーグラハの歴史 非暴力不服従運動の誕生』など>
原文に忠実な翻訳なのだろうが、何を言いたいのか良く分からない。カスタマーレビューを見ると「田中冬一郎/スナ」氏の「世界の眺め方を考える一冊」(2022/3/31)が分かりやすかった。この方のブログには「フリペーパー専門店の代表としてフリペの無料配布、古書販売、選書、読書会をしている」とあるから「読書のプロ」のようだ。氏はこう書いている。
<(ガーンディー曰く)「世界にまだこれほど多くの人間がいることは、世界の基礎は武器でなく、真理、慈悲、つまり魂の力であることを伝えています。戦争の力よりもほかの力が世界の基礎なのです」
1909年発刊の本書は船上で書かれたガーンディーの主著。対話形式による著者自らの『思想と運動』の基本理念。戦争話が日常となってしまった2022年現在、著者の事を思い出して手にとりました。
ガーンディーは家族の期待を受けて弁護士となるも、訴訟事件を引き受けて滞在中だった南アフリカで人種差別を受けたことがきっかけで公民権運動に関わり、帰国後は『非暴力・不服従』を提唱。イギリスからのインド独立運動を指揮したことで知られる著者が40歳の時に書いたものです。
『インド独立の父』として名前はもちろん、ライフ誌に掲載された『糸車を廻す』老年期イメージはすぐ浮かぶものの、著者自身の言葉に触れたことがなかったので、翻訳を経ているとはいえ【本書自体が新鮮】です。かつ、内容に関してもSDGsなどでエコロジー指向が共通認識になっている現在を先取りしたかのような【徹底した近代(西洋)文明批判】に驚かされました。(=明治以降の日本は『西洋の爪に捕らえられてしまった』と残念扱い・・・)
そしてインドの独立に関しては、イギリスやイギリス人といった『国家』や『人』が敵なのではなく近代(西洋)文明こそが敵であるとし、そこからの脱却と真の文明として【インド人魂の自覚による自治】を再三促しています。明治維新を美化し、すっかり西洋"常識"に適応し染まってしまった島国の1人としては、どうしても『もし、そうなっていなかったら』を考えてしまいます。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやダライ・ラマ14世といった指導者にも影響を与えた『非暴力、不服従』思想理解の一冊として、また『世界の眺め方』を考える一冊としてもオススメです>
小生も踏ん張って読了しなければ、と思うが、半分ほど読んだところでは、ガンジー思想のキモは小生の座右の銘「欲少なく足るを知る、足るを知りて分に安んずる」(知足安分)、物欲に惑わされないという一種の清貧思想のようだ。やせ我慢かも知れないが、そういうマインドは武士道や日本精神にもある。ガンジー思想と重なる部分は多いのではないか。
いずれにせよ同書を読破し、分かりやすくまとめ、インドを理解し、日印などがインド太平洋の平和を共に推進するパートナーになるための青写真を示したいものである。
それにしても2022年のロシアによるウクライナ侵略は、30万年前あたりに登場した人間が縄張り争いをしてきたのと本質は同じで、モノは発展しても「マインドは全然成長していないのだなあ、蛮族のままだ」と嘆くか苦笑するしかない。
人口14億のインド・・・若者がとても多いので「21世紀はインドの時代になる」と言われたりもするが、中共の軍事的圧迫を受けて、窮鳥入懐(窮鳥懐に入れば猟師もこれを打たず)ということなのか、中共に影響力があるロシアと友好関係を維持している。
その延長のバランス外交なのだろう、インドは日本との軍事交流も随分活発化している。最近のニュースを見ると――
★MRO北陸放送2023/3/2 「国内初 航空自衛隊がインド空軍と輸送機合同訓練」:航空自衛隊小松基地で1日からインド空軍と輸送機同士の共同訓練が始まっている。輸送機同士の国内での共同訓練は初めて。
インド空軍の部隊は、陸上自衛隊とインド陸軍が滋賀県の饗庭野演習場で展開している訓練にあわせて来日。空自によると訓練には鳥取県・美保基地のC2輸送機1機・隊員10人、インド空軍からC17輸送機1機・10人が参加した。
共同訓練は、部隊の航空輸送能力の向上を図るとともに日本とインド空軍の相互理解の促進を目指している。訓練では基地周辺の空域で戦術輸送訓練が実施されている。空自とインド空軍は輸送機同士の共同訓練をこれまでインドでは2回実施しているが、国内での訓練は初めてとなる。
★産経2023/2/28「陸自、インド軍と共同訓練 中国を念頭に協力強化」:陸上自衛隊は28日、インド陸軍と滋賀県高島市の饗庭野演習場で実施中の対テロ実動訓練を報道公開した。中国を念頭に自衛隊が進めるインドとの協力関係強化の一環。訓練は「ダルマ・ガーディアン」と呼ばれ、今回で4回目だが、これまではインドで実施しており、国内では初めて。17日に始まった今回の訓練は3月2日まで行われる。
★朝日新聞デジタル2023/1/23「空自、ロシア製スホイ30と実戦訓練 機体所有のインド空軍と」:航空自衛隊は23日、インド空軍と実施している国内初の戦闘機共同訓練を報道公開した。インド空軍が持つロシア製の戦闘機が参加しており、この戦闘機は中国にも配備されていることから、空自は実戦を想定した訓練と位置づけている。
訓練は16~26日の日程で、茨城県の空自百里基地を拠点に行われている。2019年11月の日印初の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)で合意し、南アジアやインド洋周辺で影響力を増す中国を牽制する動きを強める狙いがある。
訓練に参加しているインド空軍のスホイ30は、ロシアのスホイ社が開発した対空や対地、対艦攻撃が可能な多目的戦闘機。ロシアで生産され、中国やインドネシア、カザフスタン、マレーシア、ベトナムなどに輸出されている。ロシアはウクライナ侵略にも投入しているとされる。
・・・・・・・・
長くなったので以下次号。これから図書館に行って絶版の「朴正煕選集」3冊を借りてくる。古本屋では5万円! 小遣2か月分! 小生には手が出ないので助かる。図書館vs出版社・・・出版社は「新刊はせめて3か月は貸出しないで」と提案しているが、図書館は無視しているよう。落としどころを真摯に考えるべきだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
https://note.com/gifted_hawk281/n/n9b3c7f4231f9
https://www.facebook.com/shuichi.ishii.14
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」
“シーチン”修一 2.0
【雀庵の「大戦序章」145/通算577 2023/3/3/金】夕べの強風は凄まじかった、まるで嵐。屋上庭園が吹き飛ばされそうで、世界の今と明日を暗示しているよう。古人曰く「悪い予感はよく当たる」。
「インドのロシア離れ 可か不可か」というテーマで書きたいと思い、手始めにガンジー(ガーンディー)の代表的著作「真の独立への道――ヒンド・スワラージ」(日本では2001/9/14刊)を読んでいる。しかし「人間、国家はどうあるべきか」という哲学でとても難しく、3ページほど読むとグッタリする。アマゾンから引用すると、
<非暴力・不服従主義による民族運動で知られる「インド独立の父」ガーンディー(1869-1948)が、自らの思想と運動の基本理念について述べた主著。編集者(ガーンディー)と読者(急進的な若者)との対話形式で書かれ、イギリス支配のもとでの近代文明を批判、真の文明とは何か、インドの真の独立のあるべき道について論ずる>
版元は岩波、訳は田中敏雄氏。HMV&BOOKS onlineによると田中氏は、
<1937年東京生れ。東京外国語大学卒業(ヒンディー語専攻)。デリー大学留学などを経て、2000年3月まで東京外国語大学教授。麗沢大学・恵泉女学園大学非常勤講師。東京外国語大学名誉教授。専攻は現代ヒンディー文学。著書は『南アフリカでのサッティヤーグラハの歴史 非暴力不服従運動の誕生』など>
原文に忠実な翻訳なのだろうが、何を言いたいのか良く分からない。カスタマーレビューを見ると「田中冬一郎/スナ」氏の「世界の眺め方を考える一冊」(2022/3/31)が分かりやすかった。この方のブログには「フリペーパー専門店の代表としてフリペの無料配布、古書販売、選書、読書会をしている」とあるから「読書のプロ」のようだ。氏はこう書いている。
<(ガーンディー曰く)「世界にまだこれほど多くの人間がいることは、世界の基礎は武器でなく、真理、慈悲、つまり魂の力であることを伝えています。戦争の力よりもほかの力が世界の基礎なのです」
1909年発刊の本書は船上で書かれたガーンディーの主著。対話形式による著者自らの『思想と運動』の基本理念。戦争話が日常となってしまった2022年現在、著者の事を思い出して手にとりました。
ガーンディーは家族の期待を受けて弁護士となるも、訴訟事件を引き受けて滞在中だった南アフリカで人種差別を受けたことがきっかけで公民権運動に関わり、帰国後は『非暴力・不服従』を提唱。イギリスからのインド独立運動を指揮したことで知られる著者が40歳の時に書いたものです。
『インド独立の父』として名前はもちろん、ライフ誌に掲載された『糸車を廻す』老年期イメージはすぐ浮かぶものの、著者自身の言葉に触れたことがなかったので、翻訳を経ているとはいえ【本書自体が新鮮】です。かつ、内容に関してもSDGsなどでエコロジー指向が共通認識になっている現在を先取りしたかのような【徹底した近代(西洋)文明批判】に驚かされました。(=明治以降の日本は『西洋の爪に捕らえられてしまった』と残念扱い・・・)
そしてインドの独立に関しては、イギリスやイギリス人といった『国家』や『人』が敵なのではなく近代(西洋)文明こそが敵であるとし、そこからの脱却と真の文明として【インド人魂の自覚による自治】を再三促しています。明治維新を美化し、すっかり西洋"常識"に適応し染まってしまった島国の1人としては、どうしても『もし、そうなっていなかったら』を考えてしまいます。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやダライ・ラマ14世といった指導者にも影響を与えた『非暴力、不服従』思想理解の一冊として、また『世界の眺め方』を考える一冊としてもオススメです>
小生も踏ん張って読了しなければ、と思うが、半分ほど読んだところでは、ガンジー思想のキモは小生の座右の銘「欲少なく足るを知る、足るを知りて分に安んずる」(知足安分)、物欲に惑わされないという一種の清貧思想のようだ。やせ我慢かも知れないが、そういうマインドは武士道や日本精神にもある。ガンジー思想と重なる部分は多いのではないか。
いずれにせよ同書を読破し、分かりやすくまとめ、インドを理解し、日印などがインド太平洋の平和を共に推進するパートナーになるための青写真を示したいものである。
それにしても2022年のロシアによるウクライナ侵略は、30万年前あたりに登場した人間が縄張り争いをしてきたのと本質は同じで、モノは発展しても「マインドは全然成長していないのだなあ、蛮族のままだ」と嘆くか苦笑するしかない。
人口14億のインド・・・若者がとても多いので「21世紀はインドの時代になる」と言われたりもするが、中共の軍事的圧迫を受けて、窮鳥入懐(窮鳥懐に入れば猟師もこれを打たず)ということなのか、中共に影響力があるロシアと友好関係を維持している。
その延長のバランス外交なのだろう、インドは日本との軍事交流も随分活発化している。最近のニュースを見ると――
★MRO北陸放送2023/3/2 「国内初 航空自衛隊がインド空軍と輸送機合同訓練」:航空自衛隊小松基地で1日からインド空軍と輸送機同士の共同訓練が始まっている。輸送機同士の国内での共同訓練は初めて。
インド空軍の部隊は、陸上自衛隊とインド陸軍が滋賀県の饗庭野演習場で展開している訓練にあわせて来日。空自によると訓練には鳥取県・美保基地のC2輸送機1機・隊員10人、インド空軍からC17輸送機1機・10人が参加した。
共同訓練は、部隊の航空輸送能力の向上を図るとともに日本とインド空軍の相互理解の促進を目指している。訓練では基地周辺の空域で戦術輸送訓練が実施されている。空自とインド空軍は輸送機同士の共同訓練をこれまでインドでは2回実施しているが、国内での訓練は初めてとなる。
★産経2023/2/28「陸自、インド軍と共同訓練 中国を念頭に協力強化」:陸上自衛隊は28日、インド陸軍と滋賀県高島市の饗庭野演習場で実施中の対テロ実動訓練を報道公開した。中国を念頭に自衛隊が進めるインドとの協力関係強化の一環。訓練は「ダルマ・ガーディアン」と呼ばれ、今回で4回目だが、これまではインドで実施しており、国内では初めて。17日に始まった今回の訓練は3月2日まで行われる。
★朝日新聞デジタル2023/1/23「空自、ロシア製スホイ30と実戦訓練 機体所有のインド空軍と」:航空自衛隊は23日、インド空軍と実施している国内初の戦闘機共同訓練を報道公開した。インド空軍が持つロシア製の戦闘機が参加しており、この戦闘機は中国にも配備されていることから、空自は実戦を想定した訓練と位置づけている。
訓練は16~26日の日程で、茨城県の空自百里基地を拠点に行われている。2019年11月の日印初の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)で合意し、南アジアやインド洋周辺で影響力を増す中国を牽制する動きを強める狙いがある。
訓練に参加しているインド空軍のスホイ30は、ロシアのスホイ社が開発した対空や対地、対艦攻撃が可能な多目的戦闘機。ロシアで生産され、中国やインドネシア、カザフスタン、マレーシア、ベトナムなどに輸出されている。ロシアはウクライナ侵略にも投入しているとされる。
・・・・・・・・
長くなったので以下次号。これから図書館に行って絶版の「朴正煕選集」3冊を借りてくる。古本屋では5万円! 小遣2か月分! 小生には手が出ないので助かる。図書館vs出版社・・・出版社は「新刊はせめて3か月は貸出しないで」と提案しているが、図書館は無視しているよう。落としどころを真摯に考えるべきだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
https://note.com/gifted_hawk281/n/n9b3c7f4231f9
https://www.facebook.com/shuichi.ishii.14
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」