急遽、今回友人からチケットを譲り受け都響の定演に行ってきた。
アントンKの友人K氏は、団員さんにお知り合いがいるらしく、昔から東京都響の定期を聴いている。この日は彼の都合がつかず、やむなくチケットが回ってきたというわけだ。都響と言えば、前回は小泉氏のフランクを聴いたはずだが、アントンKにとっては、やはりインバルのマーラーがどうしても筆頭に上がってしまう。もう3年くらい前の話になってしまうが、みなとみらいでマーラーの第8を聴いたのも、彼のお誘いを受け、とんでもない恩恵を受けたのであった。そんなこんなで今回はお世話になっている友人の代役でサントリーホールへと向かった。
さて今回の指揮者は、主席客演指揮者のヤクブ・フルシャという若手の指揮者である。友人の話によると、演奏会では人気があり、カーテンコールもたびたびとのこと。どんな指揮振りなのか、そして何と言っても、どんな音楽を聴かせるのか興味が沸いてしまう。
前半に指揮者お得意とされるマルティヌーの第1番、そして後半にブラームスの第1番といった明快なプログラム。総じての印象は、現代的な解釈の中で、埋没してしまうような演奏解釈の印象を持った。早めのテンポを基本としていながらも、歌のある個所では、たっぷりと歌わせる。音楽が熱く高揚してくるところでは、顔を赤らめながらエキサイティングな指揮振りとなるが、何となくフルシャの音楽の中には入り切れず、白けてしまったポイントも多い。第4楽章コーダでのTpの主題の提示は埋没して聴こえずがっかりしたが、これは楽譜の問題なのか。どの楽章もインテンポを貫くことはよいとして、音楽の色が変化する小節間の間をも感じられないのは、どうしたことか。ブラームスの第1と言えば、古くから名演や名盤とされる演奏を聴いてきたアントンKにとっては少し物足りない。おそらく平均点か、それ以上の演奏だろう。いかにも現代の演奏家風とでも言えばわかりやすいかもしれない。どこか特出した個性、主張が無いのだ。インキネンや、ノットも同じ範疇に感じるが、音楽を大衆に向けるのではなく、自分の音楽をもっと聴衆に示して欲しいと願いたい。
終演後、指揮者フルシャは、四方に丁寧なお辞儀をしたり、笑顔を客席に振りまいていたが、こういった舞台が音楽そのものより聴衆に人気なのかなとも思った。
2017年12月16日 東京サントリーホール
東京都交響楽団 第845回 定期演奏会B
マルティヌー 交響曲第1番H.289
ブラームス 交響曲第1番 ハ短調 OP68
指揮 ヤクブ・フルシャ
コンマス 矢部達哉