山形新幹線工事の進捗で、奥羽本線の福島以北がレールの改軌工事で不通となり、それまでの「あけぼの」が陸羽東線~奥羽本線経由に迂回することになったのが1990年。その迂回あけぼのを補完する目的で運転を始めたのが、寝台特急「鳥海」だった。二往復あった「あけぼの」のうちの1本を上越線経由で走らせ、名称を「鳥海」としたものだ。山形新幹線が開業と同時に廃止されているから、短命な列車であったことは間違いないところ。しかし「鳥海」という名称は、それまでにも聞き覚えがあり、アントンKには馴染みがあった。伝統こそ感じられないが、首都圏と秋田・青森を結ぶ要として、どこかひたむきな印象があった列車に思う。
運転当初、上り列車が上野に比較的遅めに到着するスジ(上野着9時台)だったため、早朝の「出羽」や「北陸」といった列車とは違って撮影するのには好都合だった。掲載写真は、烏川を渡り一路上野を目指す「鳥海」号。
1991-12-10 2022ㇾ EF641030 鳥海 JR東日本/高崎線:北藤岡付近