上越国境を往来する電気機関車といえば、現在はブルーサンダーと呼ばれるEH200であり、80年代当時、華々しくデビューしたEF641000番台も辛うじて顔を見せているが、我々世代には、何を置いてもEF16という専用電機のことを真っ先に思い浮かべるだろう。
水上駅のはずれに機関区があり、谷川岳を目の前にしていつも数台のEF16が待機している光景は、まさしく山に挑む機関車として強烈な印象を持った。電車を除く大部分の貨物列車がEF16の補機付きで走行、重連運転となる。しかしこの水上と石打間での重連運転の白眉は、何と言ってもEF58と重連を組む旅客列車たちだろう。当時は、ブルトレを含む「天の川」「鳥海」「北陸」といった夜行列車が数多く谷川岳を越えており、全てEF16の補機付きだったが、如何せん夜行列車だから走行写真はまずもって撮影は不可能だった。日中ゴハチとの重連運転を撮影できる列車として唯一設定されていたのが、今回掲載する臨時のスキー列車だった。まだ当時はスキー人口も多く、シーズンの週末にはかなり多くの設定があったと記憶している。
モノクロ主体で撮影していた時代、珍しく悪天候にも関わらずカラーの駒があったので、かなりひどい画像だが載せておく。みるみる空が雪雲に覆われ、細かい雪が音もなく降り続く。そんな中を静かにEF16とEF58の重連が近づいてきた。連写することもなく、1コマ切って機関車の重厚感を目の前で感じ、続く12系客車の走行音にホッとする。できれば、また味わいたい光景が今蘇えってきた。
1980-02-11 9712レ EF1630+EF5835 小出スキー 岩原スキー場前-越後中里