鉄道撮影という趣味の分野も、現代社会においてかなり認知が進み、線路端でカメラをぶら下げていても、およそ世間様に理解を得られるまでになってきた。通りすがりの方々に、声をかけられたり、「撮り鉄」「乗り鉄」という言葉も一般生活に浸透し、我々の行動にも、昔とは違った心遣いをする場面が増えたように思う。その反面、ごく一部の心無いファンの悪質な行動のみがクローズアップされ、一緒くたに思われてしまうことは心外極まりないことだ。昔に比較すれば、ファンそのものの人口が圧倒的に増加し、また機材も優秀で手軽に撮影でき、しかも誰でも綺麗に撮影できる時代だから、ここまでメジャーになったきたということだろうか。ファンが集中してしまい、自分の愉しみのための撮影が脅かされることには閉口するが、概して同業者が増えてきていることは心強く感じている。この鉄道撮影という趣味の分野も、さらに発展、継続されていくことが確信できるからだ。
最近は、ネットを通じて他人様の画像を簡単に見られる時代になった。昔は紙媒体からの情報が全てといってよく、特定の方々の寄稿した写真を穴の開くまでよく見入ったもの。しかし今では、リアルタイムな画像がネットを通して閲覧でき、何とも便利な時代になったものだ。印象的な画像も多く、刺激を受けて奮起する場面も多々あるが、その逆の場合も多い。最近お若い方々に流行っている「面縦」という画像をよく見かけるが、ちょっとアントンKには理解できない場合が多いのだ。好きで撮影している趣味の世界のことだから、どう撮影しようと構わないことなのだが、そんな細かな時代の変化に敏感になってしまうのである。
普段は縦構図を好まないアントンKだが、縦アングルの記事なので、また昔のものから掲載しておく。言わずと知れた成田初詣臨の一コマ。毎年どこかしらで狙っていた成田臨だったが、この時はバケペンにカラーポジを装填して正月早々張り切ったようだ。日の出とともに現れたEF5889があかね色に輝く。今一度、この一瞬を感じたいがために、線路端に立ちたい。その繰り返しなのである。
1992-01-12 9833ㇾ EF5889 12系ナノ JR東日本/成田線:下総松崎付近