アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

優等生ハイティンクの指揮振り

2016-05-11 15:00:00 | 音楽/芸術

ベルナルト・ハイティンク(1929-  )というオランダの指揮者がいる。今年で87歳だから、もう世界の指揮者界でもいつの間にか巨匠の域に達している。

アントンKもこのハイティンクという指揮者については以前より知っていて、何度か実演にも触れている。ロンドン響やらアムステルダム・コンセルトヘボウ管だったと思うが、ドイツもの中心のプログラムを何度か聴いた。もうあれから20年近くは経ってしまったから、彼が60代の頃のはずだが、今振り返ってみると楽曲に対して素直な解釈で我々聴衆を魅了していたといった印象が強い。

アントンKが最初にこの指揮者を聴いたのは、まだ学生時代のLPレコードの時代。とにかくレパートリーが広く、ありとあらゆる楽曲の録音が出ていたイメージだが、この頃のいわゆる壮年期と呼ばれる60年代から70年代の演奏は、パッとした特徴がなく、美音に酔って心地よくなって終わるといったものばかり。音楽に精神性など考えず、ただ譜面を流すといった表面だけの演奏に思えていた。どれを聴いても何を言いたいのかわからず、特に後期ロマン派の楽曲、マーラーやブルックナーのシンフォニーでは、つかみどころがなく、楽曲そのものをダメにしてしまうと思えるほどだった。

しかし近年のハイティンクは、見違えるように円熟の境地に達し、楽曲に対してもどっしりと構え、独特のハイティンクらしさという物が聴いていて感じられるようになっていた。奇手を狙わず、実直丁寧な演奏は、何せ安心して音楽に身を置くことができる。おそらく日本にも多くのファンが存在していると思われるが、今後アントンKの中でも、益々注目していきたい指揮者の一人になった。



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