トワイライトEXPが和歌山に入るとの情報を頂いたので、遠征翌日は、紀伊半島を一路南下、和歌山県まで行き、数十年振りの紀勢本線を撮影することにした。
調べてみたら前回の紀勢線の撮影は、何と1983年だったから、ざっと30年前ということになる。当時は、もちろん国鉄時代、普通列車は、客車でゴハチ牽引、特急こそ381系だったが、非電化区間にはまだキハ82系「南紀」があった。普通列車なのに、「はやたま」と名称があったゴハチけん引の夜行列車も懐かしく思い出される。
そんな忘れかけた時代に、行きたくても行けなかった撮影地で、今回の団体列車を狙おうと最初から決めて向かった、古座海岸の俯瞰撮影。海岸線に隆起した岩がいくつも連なった特徴ある景色は、昔と少しも変わらない。紀勢線を見下ろす山頂から見た情景は、想像以上に素晴らしかった。多分快晴のお天気の性もあるだろう、はるか水平線までくっきり見渡せ、空と海の「青」が心に染みわたるのがわかった。こんな条件での撮影は、近年中々ないと考えると、緊張感で身体が熱くなってきた。
大勢のギャラリーの待つ中、ほぼ定時にDD51重連が姿を現し、続く24系客車が朝日に輝き、最高の場面が目の前で展開された。撮影後は、まるで御召列車撮影直後のような、ドヨメキと歓声、そして拍手まで起こり、一種の連帯感のようなものを感じることができた。確かに今回の被写体自体は、イベント列車ではないものの、団体列車のいわゆる「団臨」だから、大したものではない。ただ、これをきっかけにこんなにも好天の紀勢線の撮影ができたことの方がアントンKにとってははるかに大きかったように思う。
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2014(H26)-09-14 9027レ DD511193+1109 JR西日本/紀勢本線:古座-紀伊田原