アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

かつての名撮影地にて

2017-09-22 15:00:00 | 鉄道写真(EL)

今回北東北地方を巡ってきたが、かつて訪れた思い出の撮影地にも出向くことができた。

東北本線の上下線がセパレートして、段違いになる区間、滝沢-渋民。初めて訪れたのは、まだ東北線に夜行列車がたくさん走っていた時代だから、今から40年近く経過してしまった。目の前にある景色を見れば、それが一目瞭然だ。線路自体は、おそらく当時と変わらないのだろう。しかし左右の木立の成長が著しく、どこか山深い感じとなり、今までの印象とは違っていた。線間の築堤も、雑草が茂り放題。草どころか、木々にまで成長して見通しが利かなくなっていたのは残念。ま、よくよく考えれば、当時と比較する方が誤りで、もうここは国鉄でもJR線でもない訳で、変化して当然なのだ。

懐かしさと寂しさに心が満たされながら、途方に暮れていると、脳裏にバーバーの弦楽のためのアダージョが鳴り響く。その途中、高音に打ちのめされそうになった時、遠くから金太郎が現れ我に返ったのである。(つづく)

 

かつて訪れた時に撮影したED75重連の解結貨物列車。今でもこれくらいの画角で撮影したかったが叶わなかった。1980-08-26  3585ㇾ ED75148+135 


夢見るPF

2017-09-20 15:00:00 | 鉄道写真(EL)

未明の操車場にたたずむEF65PF。

ベッドタウンと化したみなとみらいをバックに何を思う?

かつてのブルトレけん引機が余生を送るその姿は、アントンKには切なく映る。

過去、現在、そして未来へ。

その栄光の実績を忘れない。

 

 


一期一会のマーラー演奏

2017-09-17 09:00:00 | 音楽/芸術

いち早く帰宅して、スコアを確認したくなるような今回も内容の濃い演奏会だった。

新日本フィルは、上岡監督を迎えての2年目のシーズン(2017-2018)がいよいよ開始され,今月からそれぞれのシリーズを1年間かけてこなしていくわけだ。アントンKは、特別演奏会を集めた「サファイア」というシリーズ会員となったが、この1年間は、単発でトリフォニーにも通うつもりでいる。今回の幕開けコンサートは、プログラム2曲とも馴染みのある大好きな楽曲だったため、アントンKもこの日を心待ちにしていたのである。

さて前半には、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番が演奏された。この第4番は、どうしてもそのあとの第5「エンペラー」に隠されがちになるが、むしろアントンKは、こちらの第4番の方が好みだ。実演奏も第5ばかりで、第4はおそらく初めての体験ではないか。今回の演奏、ピアニストであるラーンキのピアノの音色が実に素晴らしい。音の一粒一粒が立っていて、まるで宝石がキラキラと輝いているようだった。それでいて、陰影があったり、反対に爆発的な情熱をもって迫ってきたりと、楽譜に忠実で素直な、しかし大きく偉大なベートーヴェンであった。オケも伴奏に徹するのではなく、ピアノとの協調があちこちに聴き取れ、この楽曲でも新しい発見があった。今にして思えば、指揮者上岡敏之臭さは控え目であり、この辺はラーンキとの熟考があったはず。特に第2楽章での弦楽器とピアノとの対話は、アントンKの心に突き刺さった。重苦しく緊張感を持った弦楽器のフレーズ。どこか迫りくる運命のような切羽詰まった気持ちになる。しかし、そのあとのラーンキのピアノの音色は、優しく透明で温かくアントンKを慰めてくれたのだ。そのやわらかな音色に思わず目頭を押さえたが、この部分だけとっても音楽の意味を感じ、心の糧となった。

休憩後の後半、いよいよマーラーの第5番が演奏された。アントンKは、上岡氏のマーラー演奏について、昨年第6を2回、録音で第1や第2などを聴いてきた。こんな経験から、今回の第5についても、ある程度の演奏解釈が想像できたが、結論を言えば、さらにその想像を越えてしまい、新しいこのマーラーの第5の魅力を自分に教示してくれたような思いでいっぱいになっている。

まず葬送行進曲である第1楽章が始まるが、Trpの甲高い音質は避けて、柔らかいトーンのソロの音色で幕開け、その後の爆発もバランス感覚が生きており、どのセクションの音もこちらに伝わる。そして譜面2からのベース、ドーソードの強調にまずは驚く。帰宅後確認してみると、確かにこの部分は、PPの中、ベースのみmfと書かれていた。曖昧に映るmfを嫌い、少し大げさに表現しただけで、随分イメージが変わるものだ。

アタッカで続く第2楽章、スケルツォの第3楽章とますます雄弁になってきたのはHrn群だった。とにかく上岡の要求に適格に答え、その音の分厚いことといったらない。聴きながら昔NHKホールで聴いた、ウィーン・フィルのマーラーの第5を思い出したくらいだ。とにかく音色が綺麗で主張が生きており、最後までHrn群の活躍ぶりには目を見張ったのである。またそれに付け加えるのならば、なんと言っても弦楽器群の頑張りではないだろうか。特にVnのここまでの主張は聴いたことがない。コンマスの崔文洙氏の熱い演奏は相変わらずで、フレーズの強弱、緩急に合わせて身体が中腰になってしまうその姿は感動を呼ぶ。カラヤンが指揮すると、普段出ない音も出てしまうらしいが、上岡氏もきっとその系統の指揮者かもしれない。本番でそれまでの積み重ねを爆発させているのがわかり、即興性を伴いながらのすさまじい演奏は、聴いていて、見ていて心が熱く感動する。全体的にこれは言えることだが、特に第5楽章の後半からコーダへと至るくだりは、スピード、スリルが加わり、まるでジェットコースターの様相。譜面32からの強烈な動きのあと、Pesanteからの広がりはどうだろう。こんな聴こえ方は経験がなく最も感動したポイント。そして譜面33からは、最小で開始されこれまた度肝を抜かれたが、そこからの追い込みは、ただでさえ興奮をあおられるポイントながら、完全にアントンKも感服してしまった。

アントンKにとってマーラーの交響曲は、今でも重要な鑑賞楽曲の一つだが、最初は誰も同じようにバーンスタインに始まり、それをある程度演奏の基本形としてきた。今でもバーンスタインは大好きな指揮者の一人だが、現代において考察するのなら、今後、上岡敏之のマーラーは面白いと思っている。ご本人が目指しているように、伝統的演奏法にはとらわれず、愚直に譜面と向き合うことで新たな発見が生まれる。このことを心から応援したくなるではないか。

2017-09-16 特別演奏会 サファイア

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調 OP58

マーラー交響曲第5番 嬰ハ短調

上岡敏之 指揮

新日本フィルハーモニー交響楽団

デジュー・ラーンキ(ピアノ)

崔 文洙 (コンマス)

横浜みなとみらいホール

 


我ら青春!

2017-09-16 17:00:00 | 日記

普段は線路端でしか顔を会わさない仲間たち。年に何度かミーティングとかこつけてアウェイに飛び出すことがある。先日も久しぶりにその機会を持った。ようは居酒屋で飲み会なのだが、毎回時間を作って駆け付けてくれる仲間たちは、年齢も仕事も出身地も生い立ちも違う連中なのである。それなのに、この人たちとは、いつも線路端で鉄道撮影をしているという共通点だけで、時間はアッという間に過ぎ去ってしまうのだ。たわいのない話に花が咲き、密度の濃い有意義な時間と感じてしまうのだ。

昔アントンKが学生の頃、大昔の写真を見せては自慢してきたオールドファンがいた。そこには、鉄道雑誌でみるようなモノクロの国電(たぶん63形か)や、はたまたSLが写っていて、素直に凄いとは思ったものの、当時のまだ駆け出しのアントンKには、それ以上の感覚は持てなかった。あれから40年以上が過ぎ、自分があのオールドファンの年齢に近づいた昨今、同じように昔の写真を今の若い仲間たちに見せて自慢しようとは全く思わない。もちろん写真自体も愚の骨頂なのだが、それより若いファン達に語れることとしたら、細々とでもこの趣味を継続してきたことだろうか。継続していれば、さらに次の若い世代に同じことが繰り返して繋がっていく。それを期待したいのだ。時代とともに自分の考えも身の回りの環境も変わっていくことだろう。カメラがフィルムからデジタルに変わったように、世の中便利になったと感じる反面、失われた物も多いと感じている。それはやはり人間としての心のよりどころとでも言える趣味人との交流ではないか。喜怒哀楽を共にし、どこか気持ちが通じ合った時、生きている証を感じるのである。SNSに流されスマホにくぎ付けの若い連中を見ると、特にそんなことを思ってしまう昨今なのである。

そんな想いができるのも、和気あいあいと酒席を囲ってくれる仲間たちがいてくれるからこそ。改めて感謝申し上げたい。掲載写真は、アントンKを向かい入れてくれた2012年の時のもの。ド定番での「ジンクス再び」を思わせる懐かしいショットを置いておく。

2012-06-27


転職先の晴れ姿?!

2017-09-13 22:00:00 | 鉄道写真(EL)

いまだに夜行列車の先頭に立っている田端区のEF81に対して、同区には少し前までEF510という機関車がいた。500番台という新たな番号を与えられ、最後のブルトレである「北斗星」の先頭に立っていたことが、もうすでに懐かしく感じている。夜行列車廃止で余剰となり、JR貨物へと売却されていったEF510-500に会いに日本海側へ。こちら側では、このEF510がやってきたことで、それまでのEF81が消えていった。カシオペアの先頭に立つEF81が復活したことに対し、貨物列車では古いEF81は淘汰されてしまい、どこか皮肉な扱いを感じずにはいられない。

掲載写真は、かつてのブルトレけん引機であるEF510の牽く貨物列車。手入れの行き届いていた田端区時代とは正反対の、泥にまみれてどこか疲れを感じさせる姿は心が痛む。都落ちしたとは言いたくないが、日本の大動脈を担う第一人車として今後の活躍を期待したい。

2017-09     EF510-506