杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ゼロの焦点

2009年11月18日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2009年11月14日公開 

お見合いで結ばれた夫・憲一(西島秀俊)は、結婚式から七日後に仕事の引継で金沢に出かけたまま行方不明となる。夫の過去を殆ど知らない禎子(広末涼子)は、憲一の足跡をたどって金沢へ向かい、憲一のかつての得意先の社長夫人・室田佐知子(中谷美紀)、社長のコネで入社し受付嬢をしている田沼久子(木村多江)と出会う。交わる筈のなかった三人の女の運命が複雑に絡み合い、やがて新たな殺人事件が起きた。夫の失踪の真相を求める禎子を待ち受けていたのは・・・。

小説「ゼロの焦点」は松本清張の代表作。とはいえ、未読の作品だったので、新鮮な気持ちで映画を楽しむことができました。

荒れた北陸の海や冬景色が物語りに重さを加えています。
登場人物それぞれが「幸せ」を求めて足掻く様が切なく悲しいです。

犯人の殺人の動機は身勝手で刹那的な印象があり、そこに共感はしにくいのだけれど、哀しさや必死さは伝わってきました。

最も心打たれたのは純粋な久子の想いです。
真相を知って、それでも犯人を許し自ら命を絶つ前の、あの慈愛に満ちた笑顔がとても印象的でした。木村さんの幸薄いイメージが、この役を更に引き立てていました。

広末さんの新妻の初々しさも「おくりびと」より似合っていたし、中谷さんの狂気をはらんだ「悪女」ぶりも際立っていました。この人の目力凄いわ

流石に主演級の女優を集めただけはあるよなぁ。

脇役だけど、室田役の鹿賀さんも良かった
妻に対する深い愛情が示される最期が切なかったです。

過去を清算して新しい人生を歩こうとした憲一の行動は理解はできてもやはり身勝手に思えました。このような人物設定は作者の生きた時代(男社会)の感覚なんでしょう。

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