杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

レンブラントの夜警

2009年11月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
 

2008年1月12日公開 

1641年、共和国オランダ・アムステルダム。レンブラント(マーティン・フリーマン)は、35歳にして肖像画家として名声を極め、画商のヘンドリックを伯父に持つ妻のサスキア(エヴァ・バーシッスル)と円満な夫婦生活を送っていた。
翌年、市警団から集団肖像画を依頼され、初めは乗り気でなかった彼だが、産後の体調がすぐれないサスキアに、息子のためにもっと富を蓄えたいと言われ、いやいやながら承諾する。注文主の本質を絵に投影させるレンブラントは、市警団のメンバーの汚らわしい罪の臭いを嗅ぎつけ、絵筆で彼らの罪を“告発”するのだが・・。

この作品も苦手な舞台調の映画でした(^^;
一度目は途中で寝てしまったけれど、これはアルコールのせいということにしておこう最初からまた観直した二度目の方が、流石にすーっと頭に入ってきました。良くも悪くも舞台劇だったな

登場する市警団のメンバーのなんと汚いことでしょう。
孤児院の院長であるケンプ曹長は、子供たちに売春させ、養女にしたマリッケ&マリタ姉妹には自らが虐待を加えています。ハッセルブルグ隊長の死により新しく隊長に就任したコックは同性愛者で相手のウィレムを副隊長に任命する始末です。

そもそもハッセルブルグの死は英国のメアリー・スチュアート王女のアムステルダム来訪時の護衛に絡む利権欲しさの暗殺だったという事実が浮かび上がってくるのです。

しかし、辿り着いた真相を全て絵に込めたレンブラントを待っていたのは妻の死と、伯父の警告でした。市警団のメンバーの激しい怒りを買った彼は、陰惨な復讐を受け破滅していくのです。最初は色仕掛け(R指定故、レンブラントは何度も丸出しシーンがあるけれど、厭らしさはなかったです)

この物語が全て事実ということではなくて、美術作家でもある監督の大胆な解釈が加えられたフィクションなんですね。
それにしても、レンブラントという画家の生い立ちやどんな絵を描いたか、また当時のオランダの情勢など、美術史・世界史の知識がないと難解な作品であることも確かです

少なくとも二度はじっくり観た方がいいかも・・って私だけか

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1Q84

2009年11月22日 | 
 
村上春樹:著 新潮社:発行 
BOOK1(4月-6月) BOOK2(7月-9月)

10歳の時に出会って、離ればなれになった青豆と天吾は、この世界で自分一人で生きていく孤独に耐えながら、リアリティの感じられない日々を暮らしていた。しかし、1984年に2人とも同じ組織に対する活動にそれぞれが巻き込まれていく。そして、青豆は現実とは微妙に異なっていく不可思議な1984年を「1Q84年」と名付ける。(ウィキより)


春に巷で大評判だったこの小説を図書館で予約して半年。ようやく手元に来ました。しかも二巻同時に(^^;
これを二週間で読むのはちょっときつかった。

スポーツインストラクターであり、暗殺者である青豆と、予備校教師で小説家を志す天吾、二人の主人公の物語が交互に語られていきます。

NHKの集金人であった父に連れられ、日曜毎に集金に回るお供をさせられた天吾と、証人会の信者であった両親の下で育ち、やはり日曜毎に各家を回るお供をしていた青豆。二人の生い立ちには孤独感という共通の悲しみがあります。それぞれが早い時期に親と決別して一人だけで生きてきたという点でも似ています。

そんな二人が互いに作用して共に1Q84年という似て非なる世界に足を踏み入れてしまったというのが物語の軸であり、象徴的なのが二つの月の存在です。

更に、天吾にはレシヴァとしての資質があるために、ふかえりという美少女(パシヴァ)との浅からぬ因縁に巻き込まれて行くのですが、物語は彼女の書いた小説同様、扉を開けるところで突然終わってしまうのです。

この「空気さなぎ」という物語の内容はBOOK2の19章でようやく明らかにされます。なかなかにファンタジックでいて、妙に戦慄を覚える筋書きでもあります。これと天吾が読む「猫の町」という短編小説の持つ奇妙な類似点はどちらも異世界を示唆していることですね。

この後は読者が勝手に想像しろと突き放しているのかとも思ったけど、まだこの物語には続きがあると見た方が良いのかな?
だって副題は4-6月と7-9月。まだ半年分残ってるじゃないですか

然し、どう読んでも『エホバの証人』と『オウム真理教』のことに思えるんだけど・・。ますます宗教なんて胡散臭いと思ってしまったぞ

「説明しなくてはわからないということは、つまりどれだけ説明してもわらかないということ」と言った天吾の父のセリフがいつまでも頭に残ります。
村上作品を読むのははこれが初めてだけど、わかりやすい文体なのに中身は抽象的で難解だぁ

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