杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

小さな命が呼ぶとき

2011年04月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年7月24日公開 アメリカ 105分

オレゴン州ポートランドに住むビジネスマンのジョン・クラウリー(ブレンダン・フレイザー)とアイリーン(ケリー・ラッセル)夫妻には、難病“ポンペ病”を患う8歳の娘メーガンと6歳の息子パトリックがいた。生まれつき体内のグリコーゲンをうまく分解できないため、平均寿命9年と言われ、治療薬はなかった。ジョンはこの病気について熱心に調べているうち、ポンペ病の権威であるロバート・ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)の研究に唯一の希望を見出し、博士と一緒にバイオ・テクノロジーのベンチャー企業を立ち上げる。だが、採算を重視する投資家の思惑や、大手製薬会社の内幕など、2人の前には様々なハードルが立ち塞がり・・。


難病の子供を救うため、キャリアを捨てて製薬会社を起業したビジネスマンの実話を映画化した作品です。ファンタジーアドベンチャーものでお馴染みのブレンダンが、難病にかかった子どもたちを救うために奮闘する父親を演じています。ハリソン演じるストーンヒル博士は、頑固で根っからの研究者ですが、人間的な優しさを秘めていて好感が持てました。

ポンペ病は遺伝的疾患で、グリコーゲンを分解する酵素の不足または欠損により、筋肉や呼吸の機能低下や内臓肥大により死に至る病気です。博士は、足りないなら補充すれば良いと考えました。それが酵素補充療法です。映画では、治療薬マイオザイム がジェンザイム社から発売されるまでの経緯を描いています。

アイディアから新薬が出来るまでには、膨大な研究と承認のための治験期間が必要だし、そのためにかかる費用も莫大なものとなります。一般論として知っていても、やはり並大抵の努力ではないことが伝わってきます。そこに、投資家や企業の採算への思惑も入ってくるのですから・・・優秀なビジネスマンだけれど、全くのアウトローだったジョンを突き動かしたのは、愛する子供たちへの希望を捨てない情熱そのものだったのでしょう。

型破りなために周囲の研究者から浮いてしまう博士と対立することもありましたが、ジョンと博士の間には、共通の目的に向かう者同士の連帯感というか友情が芽生えていたことがわかるエピソードが心を打ちます。希望のあるラストも嬉しいです。

現在も彼らはより良い薬を作り出すために研究を重ねているとテロップが流れ、実話に基づいていたことを再認識させてくれます。劇中でメーガンがリクエストしたように、「ピンクのお薬」=より簡単便利で効き目のある薬が一日も早く開発されることを祈ります。

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