杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ボローニャの夕暮れ

2011年04月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年6月26日公開 イタリア 104分

1938年イタリア・ボローニャ。高校の美術教師ミケーレ(シルヴィオ・オルランド)は、同じ高校に通う17歳の娘ジョヴァンナ(アルバ・ロルヴァケル)のため、人気者のダマストリに、進級を盾に娘に親切にするよう持ち掛ける。何も知らないジョヴァンナは想いが通じたとはしゃぐが、母デリア(フランチェスカ・ネーリ)はミケーレに疑いの目を向ける。ジョヴァンナは親友マルチェッラの誕生日パーティーに招かれ、隣人の警察官セルジョ(エツィオ・グレッジョ)の計らいで新調したドレスを着て出かけるが、ダマストリが自分とだけ踊ってくれないことに傷つき、マルチェッラが邪魔をしていると思い込み数日後、彼女を殺してしまう。取り調べで犯行を自供したジョヴァンナは、裁判で心神喪失が認められ、レッジョ・エミリアの病院に入院する。教師の職を追われたミケーレは、足しげく病院に通うが、デリアは気持ちの整理がつかず、娘に会いに行けなかった。やがて戦争が激化し、セルジョは空襲で家族を失う。ジョヴァンナが母親に対し劣等感を抱いていることや母親が他の男に恋していると思い込んでいると医師から告げられたミケーレは、セルジョに、デリアと一緒になってほしいと伝え、病院の近くに移っていった。終戦後、ムッソリーニを支持していたセルジョは銃殺された。退院したジョヴァンナは父とボローニャに戻る。ある日映画館へ出かけた二人はデリアを見かけ、声をかける・・・。

題名からのどかで昔風の楽しいお話かと思ってレンタルしたけど違ってました。

ボローニャを舞台に、ファシズムの台頭から戦争を挟み再生してゆくイタリアを、無名の一個人の生き様に重ねた作品ですが、正直どう理解すればいいのか・・悩

ジョヴァンナは純粋なのでしょうが、思い込みの激しい病的な性格です。そんな娘に戸惑う母の心情はわかる気がするのですが、ただひたすら娘を信じ愛する父親の姿に畏怖というか、娘の狂気に近いものを感じてしまうのです。ごくごく平凡なこの父親の姿こそが、ファシズム台頭から戦争終結後の混乱するイタリアそのものということなのでしょうか。

ジョヴァンナの犯罪は偏執的妄想からとはいえ、被害者やその家族に対する謝罪意識は低いように思えます。マルチェッタの母はこの父娘の訪問を頭から拒否拒絶してしまうので、彼らが伝えたかった思いが謝罪なのか言い訳なのか判然としないけれど、そこには自分たちの感情が優位に働いているような気がしてなりませんでした。ブルジョワ階級を象徴しているマルチェッタの家族に対する逆差別のようにもみえてしまったぞ(^^;

物語の結末で、この家族は再生に向けて歩き出します。
きっかけとなった映画館での出来事は、ほんの短い時間の中にこれまでのそれぞれの思いを込めた視線の交錯が見事といえるでしょう。

ハリウッド映画のような白黒はっきりした単純明快なストーリーの方がやっぱ性に合ってるなぁ>自分

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