杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

17歳の肖像

2011年04月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年4月17日公開 イギリス 100分

1961年。ジェニー(キャリー・マリガン)は、ロンドン郊外のトゥイッケナムの学校に通う16歳の少女。父・ジャック(アルフレッド・モリーナ)と母・マージョリー(カーラ・セイモア)は、成績優秀なジェニーがオックスフォード大学に進学することを期待している。楽団でチェロを弾き、フランスに憧れ、ロマンティックな恋を夢見るジェニーの今のボーイフレンドは、生真面目だが冴えない同級生のグラハム(マシュー・ビアード)。そんなジェニーは大学に入ればもっと自由に好きなことができると信じていた。楽団の練習の帰り道、どしゃぶりの雨に見舞われたジェニーは、高級車を運転する見知らぬ大人の男性から「君のチェロが心配だ」と声をかけられる。自宅までのほんの僅かな距離を行く間に、彼の紳士的な態度と柔らかな物腰、ウィットと教養に富んだ言葉がジェニーの心を捉える。それがデイヴィッド(ピーター・サースガード)との出会いだった。数日後、ジェニーは街角でデイヴィッドを見かけて声をかける。デイヴィッドが彼女を音楽会と夕食に誘うと、ジェニーはその申し出を喜んで受け入れた。デイヴィッドの友人で美術品取引の仕事仲間のダニー(ドミニク・クーパー)とその恋人ヘレン(ロザムンド・パイク)を紹介されたジェニーは、彼らが足を運ぶナイトクラブや絵画のオークションに同行、洗練された大人の世界にすっかり魅了されていく。生まれて初めて“人生を楽しむ”ということを知った彼女は、これまでの自分の人生が急に色褪せたものに思えるのだった。それを教えてくれたデイヴィッドにますます恋をしていくジェニー。そしてデイヴィッドもまたジェニーの聡明さに惹かれていく。初めての真剣な恋に夢中のジェニーは、17歳の誕生日をまもなく迎えようとしていた。だが、もう後戻りできない大人の入口で、彼女は大切な選択を迫られることになる。ジェニーが自ら最後に選んだ道とは……?(goo映画より)


イギリスの女性ジャーナリスト、リン・バーバーの回想録「An Education」の映画化だそう。

ジェニーは聡明であるが故に、自分の新しい可能性と大人の世界へ導いてくれたデイヴィッドへの恋心を募らせていきます。
彼女の両親は娘の幸せを願っていて、まずは学歴を手に入れて有利で安泰な将来を期待するのですが、娘に富裕で高学歴なお相手が現れると学歴より結婚を選ぶ娘を手放しで喜びます。

特に父親のあまりにも現金に思える言動に呆れるほどなのですが、その裏には取り得のない自分のような人生を歩んで欲しくないという思いがあるのでした。そのことが、デイヴィッドの決定的な裏切りが判明した後でのジェニーとの会話の中で浮き彫りにされます。このシーンは一種の救いに感じました。

もう一人、ジェニーを心配し気遣ったくれたのは担任の女教師でした。
彼女は年上の恋人に有頂天になり学業に気の入らないジェニーを諭しますが、逆に「貴女のようなつまらない人生を送りたくない」と拒絶されます。ところが全てを失ったジェニーを助けてくれたのはこの女教師でした。校長がジェニーを突き放したのとは対照的です。

この経験はジェニーにとって、無邪気な少女時代との決別であり、憂いを身につけた大人の女性への扉を同年の友人たちより一足早く開けてしまった出来事でした。けれどそのことで傷つきながらも彼女は自分の人生を本当の意味で自覚したともいえるでしょう。

デイヴィッドが何度も同じ過ちを繰り返す男性だったのには興覚めですが、女性を惹きつける危うい魅力を感じさせるには適役なサースガードの配役かも(^^;

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする