2013年4月27日公開 デンマーク 137分
絶対王政末期の18世紀後半、野心家のドイツ人ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)は、精神を病んだデンマーク国王クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスガード)の侍医に就く。王の唯一の理解者であり親友となる一方、ストルーエンセは孤独な王妃カロリーネ・マティルデ(アリシア・ヴィカンダー)の心も虜にし、禁断の恋に落ちていくのだった……。やがて啓蒙思想を信奉するストルーエンセは、国王の言動を操り、事実上の摂政として数々の改革に乗り出していくが、不満を募らせた保守派貴族たちは密かに政変を起こそうと画策する。欲望渦巻く宮廷の権力争いの行方、そして侍医と王妃の許されざる愛の結末とは……。(Movie Walkerより)
実在したデンマーク王室のスキャンダルをもとに作られた物語ですって
クリスチャン7世は精神的疾患があったようで、映画の中では大人になれない我儘な青年という描き方でしたが、王として周囲から期待されずただ書類にサインをするだけの飾り物の自分に苦悩しているようにも見えました。(性的には自堕落ないっぱしの放蕩者でしたが
)
英国から嫁いできたキャロライン(デンマーク読みではカロリーネ)は聞かされていた想像の王と現実の王のあまりのギャップに戸惑いを通り越し絶望を感じます。
王妃の務めとして第一子である王子を出産すると、以後は王と距離を置くの。
一方ストルーエンセは宮廷から疎外された貴族の後押しで、野心を持って王の侍医に応募します。名作の引用で王に気に入られた彼は、孤独な王の気持ちを上手に解きほぐしていきます。初めは王妃に嫌われますが(夫を売春宿に入り浸りにさせる男なんて妻だったら好きになれるわけないでしょ
)、やがてその啓蒙思想に王妃が共感したことから二人の仲が深まっていきます。
そのきっかけとして、王妃がストルーエンセの自室でルソーの本を見つけるというエピソードがあります。彼女もまた自分を閉じ込める王室という籠から自由にはばたきたいという思いがあったのでしょう。
孤独なのは王だけじゃなく、夫に顧みられない王妃もまた同じだったというわけです。
マッツ演じるストルーエンセは初めは冴えない田舎医師然としていますが、王妃の愛と権力を手にしてどんどん自信に充ち溢れた容貌に変化していくのが見事でした。
まさに歴史の陰に女あり、です。もし二人が男女の関係にならず、ストルーエンセの改革がもっと緩やかなものだったら、悲劇は起こらなかったかも。王を操って大臣にまで上り詰めた彼は、あまりにも性急に改革を行ったため、貴族ばかりか国民の間にも混乱を生じさせてしまったのです。
彼の行った政策には、捨て子のための病院の設立や種痘の実施、拷問の廃止などがあり、どれも先進的で優れたものでした。
どんなに奇麗に描こうとしてもやっぱり不倫には違いなく、身分的にも許される筈もない愛です。
最後までストルーエンセを庇う王妃ですが、彼は拷問による苦痛に負けて自白してしまいます。特赦で放免されると聞かされていたものの、敵対する枢密院の企みで処刑は実行されます。刑場に引き出されて全てを悟った彼の表情がその絶望と憤怒、諦めの気持ちを語っていました。
その身分故、王妃は処刑を免れ国を追放されます。映画は彼女が病床で子供たちに書き送った手紙の内容という形になっていました。二人の子供たち、フレデリクとルイーセ・アウグスタ、特にストルーエンセとの子であるルイーセが、このスキャンダルの後も地位を失うことなく成長したことが唯一の救いだなぁ
人が、己の欲望に呑みこまれてしまった時、悲劇は起こるのね
絶対王政末期の18世紀後半、野心家のドイツ人ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)は、精神を病んだデンマーク国王クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスガード)の侍医に就く。王の唯一の理解者であり親友となる一方、ストルーエンセは孤独な王妃カロリーネ・マティルデ(アリシア・ヴィカンダー)の心も虜にし、禁断の恋に落ちていくのだった……。やがて啓蒙思想を信奉するストルーエンセは、国王の言動を操り、事実上の摂政として数々の改革に乗り出していくが、不満を募らせた保守派貴族たちは密かに政変を起こそうと画策する。欲望渦巻く宮廷の権力争いの行方、そして侍医と王妃の許されざる愛の結末とは……。(Movie Walkerより)
実在したデンマーク王室のスキャンダルをもとに作られた物語ですって

クリスチャン7世は精神的疾患があったようで、映画の中では大人になれない我儘な青年という描き方でしたが、王として周囲から期待されずただ書類にサインをするだけの飾り物の自分に苦悩しているようにも見えました。(性的には自堕落ないっぱしの放蕩者でしたが

英国から嫁いできたキャロライン(デンマーク読みではカロリーネ)は聞かされていた想像の王と現実の王のあまりのギャップに戸惑いを通り越し絶望を感じます。
王妃の務めとして第一子である王子を出産すると、以後は王と距離を置くの。
一方ストルーエンセは宮廷から疎外された貴族の後押しで、野心を持って王の侍医に応募します。名作の引用で王に気に入られた彼は、孤独な王の気持ちを上手に解きほぐしていきます。初めは王妃に嫌われますが(夫を売春宿に入り浸りにさせる男なんて妻だったら好きになれるわけないでしょ

そのきっかけとして、王妃がストルーエンセの自室でルソーの本を見つけるというエピソードがあります。彼女もまた自分を閉じ込める王室という籠から自由にはばたきたいという思いがあったのでしょう。
孤独なのは王だけじゃなく、夫に顧みられない王妃もまた同じだったというわけです。
マッツ演じるストルーエンセは初めは冴えない田舎医師然としていますが、王妃の愛と権力を手にしてどんどん自信に充ち溢れた容貌に変化していくのが見事でした。
まさに歴史の陰に女あり、です。もし二人が男女の関係にならず、ストルーエンセの改革がもっと緩やかなものだったら、悲劇は起こらなかったかも。王を操って大臣にまで上り詰めた彼は、あまりにも性急に改革を行ったため、貴族ばかりか国民の間にも混乱を生じさせてしまったのです。
彼の行った政策には、捨て子のための病院の設立や種痘の実施、拷問の廃止などがあり、どれも先進的で優れたものでした。

どんなに奇麗に描こうとしてもやっぱり不倫には違いなく、身分的にも許される筈もない愛です。
最後までストルーエンセを庇う王妃ですが、彼は拷問による苦痛に負けて自白してしまいます。特赦で放免されると聞かされていたものの、敵対する枢密院の企みで処刑は実行されます。刑場に引き出されて全てを悟った彼の表情がその絶望と憤怒、諦めの気持ちを語っていました。
その身分故、王妃は処刑を免れ国を追放されます。映画は彼女が病床で子供たちに書き送った手紙の内容という形になっていました。二人の子供たち、フレデリクとルイーセ・アウグスタ、特にストルーエンセとの子であるルイーセが、このスキャンダルの後も地位を失うことなく成長したことが唯一の救いだなぁ

人が、己の欲望に呑みこまれてしまった時、悲劇は起こるのね
