杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

臨床犯罪学者・火村英生の推理 III ダリの繭(上下)

2015年12月10日 | 
有栖川有栖(著) 角川書店(発行)

推理作家・有栖川有栖と、友人で相棒の犯罪学者・火村英生。有栖の新作完成と火村の誕生日を祝うささやかな宴で、2人は宝石チェーンの社長で資産家の堂条秀一と遭遇する。しかし後日、彼は死体となって発見された。まるで繭のような高級ヒーリング機材の中で、自慢のヒゲを失って。堂条の義弟と知り合いだったことから、有栖は事件に巻きこまれることに。火村先生はこの難問にどう挑む!?

高級宝石チェーンの社長・堂条秀一殺人事件。その容疑がかかったのは、推理作家・有栖川有栖の友人・吉住だった。彼が警察で語り始めたのは、驚くべき事実。なんと目覚めた時、既に秀一は死んでいたという。動転し疑わしい行動を取ったが、殺してはいない。そう言う彼に、天才的犯罪学者の火村英生は、信じると告げる。更に発見された凶器により、事態は混迷を深め…。手掛かりを求め、火村とアリスが旅に出る、解決編登場!!
(「BOOK」データベースより)


シリーズ三作目は長編で文庫本は上下巻になっています。
ドラマ化が決まってから読み始めているので、主役コンビは俳優のイメージが先にあり、それに当てはめて楽しむという、元々の原作ファンからは顰蹙を買いそうな読み方ですが、どう読んでも楽しけりゃいいのよ>開き直り
ちょっとドジで見当はずれで、でも情にもろい優しいアリス君のキャラが自分の頭の中で窪田君に置き換えられて着々と育っております

小説の冒頭での独白部分から、社長の死に関する真実の一旦が読み取れるのですが、そう思ったのも束の間、次々と容疑者が浮かび、浮かんだと思ったらアリバイが成立していきといった具合で、絡まった糸はなかなかほぐれてくれません。

でも、凶器が発見され、それと同じものが存在していたことから、また冒頭部分を思い出すと、事件が本来計画されていたのとは異なる方向に転がってしまった結果なのだということに気が付くという次第です。繭は母の胎内を連想させ、早くに実母を亡くした秀一が、思慕する女性に重ねた想いが思わぬ暴走を生んでしまったのですね。

アリスが作家を志したきっかけの衝撃的なエピソードも登場します。火村の過去はまだお預けのようで・・・

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