2014年製作 アメリカ 96分
チーズブリッジの町では、子どもを襲って食べるという恐ろしい怪物「ボックストロール」の噂が住人たちを怯えさせていた。町の権力者リンド卿(ジャレッド・ハリス)は悪徳害虫駆除業者スナッチャー(声:ベン・キングズレー)に依頼し、トロールたちを次々と捕獲していく。しかし実際は噂とは異なり、トロールは夜の町でガラクタを集めては発明に勤しむ心優しい生き物だった。そんなトロールたちと地下で暮らしてきた人間の男の子エッグス(アイザック・ヘンプステッド・ライト)は、人間に捕らえられた育ての親フィッシュを救うため、生まれて初めて地上に出る。そこで出会ったリンド卿の娘ウィニー(エル・ファニング)とともに、スナッチャー率いる駆除軍団に立ち向かうエッグスだったが……。(映画.comより)
「KUBO クボ 二本の弦の秘密」のスタジオライカが2014年に手がけたストップモーションアニメで、日本劇場未公開のようです。
実はスナッチャーが自分の目的(上流階級の証である白いシルクハットを手に入れ自分も上流の仲間入りをする)のために、ボックストロールを悪者にしていたんですね。エッグスは攫われたとされていた赤ん坊でした。
エッグスとかフィッシュという名前は彼らが着ているボックス(段ボール?)に描かれた絵にちなんでいるようです。彼らは地下で暮らし、夜中に町に出て集めた廃材を利用して生活をしている大人しい生物です。この地下住居がまたアトラクションのようなワクワク感溢れる描写で、彼らが食べる虫たちでさえ何だか愛嬌があるのエッグスは彼らと楽しく暮らしていましたが、スナッチャーたちに捕まったフィッシュを助けるために、「人間のフリ」をして町に出ていきます。そこで、人間たちがボックストロールのことを誤解していると知って驚きます。
ウィニーは大人たちからボックストロールは子供を攫って食べる恐ろしい生き物だと教えられていましたが、エッグスと出会い、トロールたちが本当は大人しく優しいことを知ります。フィッシュからエッグスが本当は人間で、お父さんである発明家から託されたことを聞いた二人は、スナッチャーの企みを止めて仲間を助けようとリンド卿に訴えますが、全く相手にされません。何しろリンド卿ときたらチーズにしか興味を示さないのですから チーズと言えば、この町の人たちはチーズ大好きなんですね~~
白いシルクハットは町の名士の象徴ですが、その名士たちが集まって何をしているかといえば、議題そっちのけのチーズの試食なんですから
用済みのボックストロールたちを一掃しようとするスナッチャー一味。必至に逃げるよう説得するエッグスですが、臆病な彼らは身を竦めているだけ。諦めかけた彼を励ましたのはスナッチャーに殺されたと思われていた父親です。彼はスナッチャーの目的のために無理やり発明をさせられ、10年も逆さに吊られていたのです。そのため精神に異常をきたしているようでしたが エッグスの必死の訴えも届かず、ボックストロールたちは押し潰され・・・てはいなかったんですね~~
彼らは遂に立ち上がります。性格は変わらないんじゃなくて変えられる
リンド卿にとっては、スナッチャーも卑しい身分の駆除業者でしかありません。娘の話にも耳を貸そうとしない父親ですが、さすがに娘の危機は見過ごすことができなかったのに少しホッとしました 念願の白いシルクハットを手に入れ、チーズの試食をするスナッチャー。ところが彼は強度のチーズアレルギー
全身アレルギーでパンパンに膨らんだ挙句最後には破裂してしまいます。
(医学的には窒息死となるところですが、映像的には破裂の方がインパクトはあるものね
)
地位と権力に固執するあまり身を滅ぼしてしまうスナッチャーは哀れではありますが自業自得です。彼の部下のうち、自分たちの行動が果たして正義なのかと疑問を持つようになり、エッグスたちに手を貸す二人と、最後まで悪に染まったままの一人も明暗が分かれます。アニメーションではあるけれど、なかなか含蓄のある内容でした。
エンドロールでは、ストップモーションアニメの制作の大変さ、気の遠くなるような時間がかかることなどが、軽妙な会話形式でさらっと語られていたのも面白かったです。