1968年3月16日公開 フランス 107分
2021年11月12日 映画の時間 放送
中折れ帽とトレンチコートを身にまとう孤高の殺し屋ジェフ・コステロ(アラン・ドロン)は、コールガールの恋人ジャーヌ(ナタリー・ドロン)にアリバイを頼み、仕事へ向かう。今回の標的であるナイトクラブの経営者を首尾よく暗殺するジャンだったが、現場を立ち去ろうとした際に女性歌手ヴァレリー(カティ・ロジェ)に顔を見られてしまう。警察の一斉検挙によりジェフも連行されるが、ヴァレリーが面通しで嘘の証言をしたため釈放されることに。しかし警部(フランソワ・ペリエ)はジェフを疑い、彼に尾行をつける。(映画.comより)
フレンチフィルムノワールと称される一匹狼の殺し屋の生きざまを描いた、ジャン=ピエール・メルビル監督、アラン・ドロン主演の名画と呼ばれる作品です。当時の押しも押されぬ二枚目スターのアラン・ドロンが主役ということで録画してみました
冒頭に「侍ほど深い孤独の中にいる者はない。おそらくそれは密林の虎以上だ ――『武士道』より」とのキャプションが。タイトルもここからとられているようです
ジェフの部屋は殺風景ですがその中で一匹のカナリアが目を惹きます。彼が唯一心を許せる友なんですね
仕事をするときは、事前にアリバイを用意した上で路上の車を盗んで協力者である修理工にナンバープレートを付け替えさせ、ターゲットの情報と銃を受け取り、指紋を残さぬよう手袋をはめます。首尾よく仕事を終えると証拠となる手袋と銃をセーヌ川に捨てタクシーで帰宅します。
いつものように依頼を受けたジェフはナイトクラブの支配人マルテ殺しを遂行しますが、ヴァレリーに顔を見られてしまいます。警察も捜査対象となったジェフですが、何故かヴァレリーは彼のアリバイを偽証するんですね。 でも警部はジェフこそが殺し屋だと直感し、部下たちに彼を徹底的にマークするよう命じます。理由も何もない刑事の勘、ここに極まれり!
一方、釈放されたジェフはメトロを乗り継いで報酬の受取場所に向かいますが、報酬を受け取る代わりに殺されそうになります。腕に怪我を負ったジェフはナイトクラブの中に自分の素性を知る者がいると思い、ヴァレリーに探りを入れます。その方法がお持ち帰り&ベッドインというのがいかにもフランス映画らしい
ジェフはヴァレリーに、「偽証は誰かを庇ったためだろう?自分が捕まれば依頼人の身も危ないからな。」と尋ねますが彼女は答えず、二時間後に電話してと言います。何故二時間後??
警察はジェフの部屋に盗聴器をしかけ、ジャーヌにも証言の撤回を迫りますが、婚約者を装っているうち本気になった彼女は断ります。
部屋に戻ったジェフは、カナリアの様子がいつもと違うことに気付いて盗聴器を見つけだし、公衆電話からヴァレリーに電話しますが、彼の身を案じたヴァレリーは、受話器を取りませんでした。再び部屋に戻ったジェフを、待ち伏せしていた殺し屋が襲い、銃を突きつけて「消しに来たのではなく、今度は依頼だ」と言います。ジェフは殺し屋の銃を奪い彼の雇い主の名前を白状させます。
刑事たちの尾行を振り切るため網の目のようなメトロを乗り換え乗り継いでまいたジェフは、いつものように車を盗んでナンバープレートを付け替えてもらい、情報と銃を渡されますが、その際「あんたとの仕事はこれが最後だ」と言われます。このときは何故そんなことを言うのかジェフ同様意味がわからなかったなぁ。
ジャーヌに「決着をつけてくる」と告げて去ったジェフは、殺し屋が教えた彼の雇い主である大物ギャングのレイの邸宅(前にヴァレリーと一夜を過ごした場所でした)に行き、彼を射殺します。ヴァレリーはレイの囲われ者だったのね。ナイトクラブのバーテンダーこそがレイに彼を消すよう進言した張本人だと悟ったジェフですが、彼をそのままにしてヴァレリーに銃を向けますここで依頼のターゲットは彼女だったということがわかります。 う~~ん、要はレイが焼きもちを焼いて相手を次々殺害したってこと??
銃声が響き、倒れたのは彼女ではなくジェフでした。張り込んでいた刑事たちに撃たれたのです。「危ないところでしたね」とヴァレリーに声をかける刑事でしたが、警部は「それは違う」とジェフの銃を見せます。彼の銃には銃弾が込められていませんでした。
殆ど説明的シーンがなく、淡々と進んでいく展開はまさに「男の美学」「殺し屋の美学」に満ちています。現代では通用しない点も多々あるけれど、この時代には合っている トレンチコートにフェドーラ帽で常に身だしなみはバッチリ決めているのも美学