2021年6月11日公開 125分 PG12
お人好しな性格ゆえに、人の悪を描けず苦悩する才能のない漫画家が、殺人事件の犯人と出会ったことで運命に翻弄されていく姿を描いたダークエンタテインメント作品です。菅田君の演技もですが、とにかく本作が俳優デビューのFukaseの演技に圧倒されました。
そもそも、なんでダークホラー?性格を考えたら「ほのぼの系」の方が合ってるんじゃね?という疑問は置いといて

作画は上手でもキャラに深みがないため一向に芽が出ない山城は、とうとう漫画家を諦めようとしますが、その最後の夜に事件に遭遇しちゃうんですね
凄惨な現場を目撃した彼の中で何かが変わります。警察の事情聴取に「犯人の顔は見ていない」と嘘を付いて描いた作品が大ヒット。リアルにインスピレーションを得たのだから、犯人を投影したキャラにも作品自体にもある種の魂が宿って当たり前かも。

鳴かず飛ばずの山城を陰で支えてきた恋人・川瀬夏美(高畑充希)と結婚して、セキュリティー厳重な豪華マンションに居を構えますが、彼の中で押さえようのない不安が頭をもたげます。彼が描いた漫画「34」と事件の関連性にいち早く気付いて真相を探り出した清田刑事があんなことになる展開は予想外でしたが、周囲の人間、特に夏美に危害が及びそうになったことで、山城は自分を囮に犯人逮捕に協力を決意します。
犯人の両角がコンタクトしてきて「あなたの作品通りに模しておきました」と誇らしげに話しかける場面などは背筋が凍る怖さです。罪を犯すことへの罪悪感を全く持たない彼は明らかに性格異常者。幸せな4人家族に拘る理由として、彼の特殊な生育環境も明らかになりますが、だからと言って許されるとか同情する余地は全くない
ただただ、気味悪さが残りました。


山城は実家の家族を想定して囮を準備しますが、夏美は双子を妊娠していて、ターゲットとなります。必死に妻を守ろうとする場面はもはやスプラッターホラー。(刺されまくるけど、死なないのね
)

真壁らが駆けつけ両角は捕まり一件落着かと思わせておいて・・・二人が揉み合って倒れた際の位置関係が漫画と逆だったこともあり、何だか両角と山城の心が入れ替わったかのような含みのあるラストがさらに恐怖を煽ってきました

俳優陣に興味を惹かれて観ましたが、やっぱりコレ系は苦手だ~~
