2023年3月17日公開 アメリカ 104分 G
愛くるしいモフモフにして、心はワイルドでダンディ、しかも剣を持てば、キレッキレのスゴ腕の、長ぐつをはいたネコ:プス(声:アントニオ・バンデラス)。剣を片手に数々の冒険をし、恋もした。でも、気付いたら、9つあった命は、ラスト1つに。急に怖くなり、レジェンドの看板を下ろして家ネコになることにしたが、「賞金首」であるプスを、刺客たちはほうってはおかない。そんな時、どんな願い事も叶う「願い星」の存在を聞き、再奮起。命のストックを求める旅の道中、プスが出会ったのは、ネコに変装したイヌ・ワンコ(ハーヴィー・ギレン)と、かつて結婚も考えた気まずい元カノ・キティ(サルマ・ハエック)。プスを狙う賞金稼ぎや、「願い星」の噂を聞きつけた手強い奴らもモチロンやってきて、前途多難な予感しかない。やれやれ、次死んだら、ほんとに終わりなのに。果たして、プスを待ち受ける[うっかり死ねない]大冒険の運命とは──!(公式HPより)
童話の『長靴をはいた猫』の映画化ではなく、「シュレック」シリーズから誕生したキャラの「長ぐつをはいたネコ」ことプスを主人公に描いた劇場アニメの第2弾です。監督はジョエル・クロフォード。
前作は「ハンプティ・ダンプティとキティ・フワフワーテを連れ、ジャックとジルという2人の悪党を相手に、大金持ちになれるという伝説の魔法の豆を手に入れるために戦うことになる。」(ウィキより)お話のようです(観てないけど)
大活躍だったらしい前作と違い、今作のプスは限りある命を知って怯えます。これまでの身勝手な傲慢さは影を潜め、死への恐怖が彼を虜にしますが、キティやわんことの出会いがプスに変化をもたらしていくのです。
「ハリー・ポッター」シリーズのヴォルデモートが分霊箱を作り、命を軽視していたのと似ている点がありますね。一つしかない限りある命だからこそ、悔いのないような生をまっとうしようと努力するという大切なことを教えてくれる作品になっています。
ウルフの描写は小さな子には少し怖すぎる気もしますが、だからこそインパクトを持って迫ってくるのだとも感じました。子供と大人、それぞれの視点で楽しめる映画です。
凄腕剣士のプスは皆の人気者。無断で総督の邸宅を占拠して陽気に歌い踊っている最中に主の総督が帰ってきて、彼を捕まえようと大騒ぎ。その音で森の奥深くで眠っていた巨人が目覚めて襲い掛かってきますが、ものともせずに華麗に倒します。観衆の声援に答えもう一度歌おうとした矢先に巨人が振り回していた鐘がプスの頭上に・・・目覚めたプスに村の医者が「君は死んだ」と告げます。「九つの命がある」と笑い飛ばすプスでしたが、医者はこれがラストだと言ってリタイアを勧め、ママ・ルナの住所を教えます。
バーにいたプスは賞金稼ぎらしいウルフ(ワグネル・モウラ)といつものように勇猛果敢に戦いますが、相手の圧倒的な強さを前に初めて全身総毛立つ恐怖を感じ逃げ出します。
装い一式を地面に埋めたプスはママ・ルナ家のドアを叩きます。飼い猫として暮らすうちに覇気を失っていったプスに、猫の振りをして紛れていた犬が無邪気に話しかけてきますが、無視します。キャットフードを皆で並んで顔を突っ込んで食べたり猫用トイレを使ったりの毎日に初めは抵抗感を示してもやがて慣れていく様子が何とも哀れさを醸し出します。
ところが、その家にプスの懸賞金を狙って3頭のクマを従えたゴルディ(フローレンス・ピュー)がやってきます。(「ゴルディと3びきのくま」というイギリスの童話が元ネタでそのゴルディが成長したキャラだそう)隠れていたプスは、パパベアたちが願い星の地図の話をしているのを聞いて、願い星を手に入れて再び9つの命を持とうと、後をついてきたわんこと一緒に再び冒険の旅に出ることになるのです。
地図を持つという魔法道具収集家のジャック・ホーナー(ジョン・ムレイニー)の屋敷に忍び込んだプスは、同じ目的で侵入した元カノのキティに邪魔をされます。ジャックのキャラもマザーグースの歌に登場するパイ好きなジャック・ホーナーが大人になった姿ということです。
ゴルディたちも加わった争奪戦を制して、キティと一緒に地図を手に入れ屋敷から逃げ出したたプスでしたが、ウルフも彼を狙っていると気付いて恐怖が襲います。
願い星の地図はそれを手にした者に相応しい試練を与え、それを乗り越えた先に願い星があります。プスやキティのそれが険しい道であるのに対してわんこの道は穏やかで楽しいので、プスはわんこに地図を持たせます。
ゴルディやジャックたちも執拗に追いかけてきて、地図の取り合いになりますが、ウルフの姿に怯えたプスが逃げ出してしまい、ゴルディが地図を手にします。パニックになったプスをキティが落ち着かせ、再びゴルディたちから地図を奪います。ゴルディたちが迷い込んでいたのは「懐かしの我が家」ささやかでも満ち足りた幸福の中なんですね。
地図を取り返したプスでしたが、わんこがゴルディたちに捕まり、プス自身も水晶の洞窟で自身の過去と対峙します。そこに現れたウルフの正体が死神と知り恐慌でパニックになったプスは、地図を持ったまま逃げ出します。
ゴルディたちが言い争いをしている姿を見て、わんこは「なんでも言い合える家族がいて良いな」と無邪気に話しかけます。実はゴルディの願いは本当の家族に会うことで、それを知った弟ベア(サムソン・ケイオ)は自分たちは違うのかと怒りますが、ママベアは優しく受容し、ゴルディの願いを叶えようとします。まさに母の無償の愛だなぁ。😄
願い星のところへ辿り着いたプスを、わんこを助け出したキティが追いついて逃げたことを責めます。プスは結婚式当日にキティから逃げ出した過去があるんですね。「貴方が好きなのは自分自身だけ」と言うキティに返す言葉のないプスは、自分がキティを傷つけてきたことに気付きます。
そこへ、ジャック、ゴルディたちが現れて、再び地図を巡った争奪戦が始まります。弟ベアの窮地にゴルディは地図より「家族」を選びます。ジャックをカバンに詰め込み、最後にプスとウルフの対決です。死神はプスが命が複数あることに慢心して粗末に扱ってきたことに憤っていたのですが、プスが命を失う恐怖に打ち勝ち、限りある命を大切に生きる覚悟を知ると、今殺す価値はなくなったと立ち去ります。
そこへ魔法の力(不思議の国のアリスのカード?)で巨大化したジャックが現れて、地図を奪います。わんこがジャックの気を引いて時間を稼ぎ、プスやキティ、ゴルディたちが協力して地図を破ります。願い星が崩壊し始め、逃げ遅れたジャックは地図の破片と一緒に消滅します。魔法道具で出現していたジャックの良心のバッタ(ピノキオに登場しますね)が彼に愛想を尽かして不死鳥の炎で地図を焼いてしまうのですが、これは良心が勝ったというよりしっぺ返しをくった形かな?😔
全てが終わり、プスはキティとわんこと一緒に総督の船を盗んで海へ出ます。キティに次の冒険の行先を聞かれ、古い友達に会いに行くと答えるプス。船の前方には「遠い遠い国」が見えます。「シュレック」の続編にも繋がっていくのかな?😁