杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

シン・エヴァンゲリオン劇場版 EVANGELION:3.0+1.11 THRICE UPON A TIME

2023年06月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2020年製作 155分 G

ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは、コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく。復元オペの作業可能時間はわずか720秒。決死の作戦遂行中、ネルフのEVAが大群で接近し、マリの改8号機が迎撃を開始した。一方、シンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)の3人は日本の大地をさまよい歩いていた……。(あらすじ紹介より)


1995~96年放送のTVシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」を再構築した、庵野秀明監督「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの完結編。
2007年公開第1部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007年公開)、第2部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009年公開)、第3部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012年公開)に続き、「新劇場版」シリーズの集大成となる作品です。テーマソングは、これまで同様宇多田ヒカル。

「3.0+1.11」とは2021年3月8日公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版EVANGELION:3.0+1.0 THRICE UPON A TIME』を一部調整した「3.0+1.01」バージョン(同年6月12日公開)を更に一部調整を重ねたバージョンだそうです。

今作のアヤナミは『序』『破』に登場したレイとは別個体のユイの複製体です。ヴィレと合流するため、リリン(人類)の活動可能領域を目指してコア化した大地を歩く3人。(正直、前作から時間が経ってるので内容うろ覚えです😞
倒れたシンジを助けたのは、大人になったトウジやケンスケたちかつての同級生でした。彼らはニアサードインパクトを生き残った人々の集落「第三村」で、ヴィレ設立の支援組織「クレイディト」の助力を得て暮らしていました。(トウジとヒカリは結婚して娘ツバメがいます。)
アスカとシンジはケンスケの、アヤナミはトウジたちの家で過ごすことになりますが、シンジは心を閉ざしたままでした。
一方、アヤナミは、村の仕事を手伝い、ヒカリたちとの心の交流をする中で、命令とは異なる生きることを学んでいきます。

アスカは、誰とも関わらず、食事すら摂ろうとせず殻に閉じこもり続けるシンジに怒りをぶつけますが、ケンスケはただ生きていてくれたことを喜び、励まします。

旧ネルフ施設の廃墟で独り過ごすシンジを訪ねたアヤナミは、シンジが落としたカセットプレーヤーを返そうとしますが、レイではない彼女をシンジは拒絶します。アヤナミはアスカから預かった食料だけを置いてその場を去ります。村での日々を送りながら、アヤナミはシンジに食料を届け続け、その様子をアスカは陰から見守ります。

アヤナミに本心を吐露したシンジは自分の殻に閉じこもるのを止めます。ケンスケの仕事(村周辺の環境調査)を手伝う中で、ニアサー後のトウジたちの苦労を知ったシンジに、ケンスケは「父親とちゃんと話せ」と諭します。

封印柱の復元実験場で、シンジはリョウジという少年に会います。彼はミサトと加持リョウジの子どもでした。ミサトが抱き続けているシンジやリョウジへの責任感を知ってシンジの心に変化が生じます。

肉体の異変を悟ったアヤナミは、ヒカリたちへ感謝の手紙を残し、シンジに会いにいきます。以前シンジに名前を付けて欲しいと頼んでいた彼女に、シンジは「アヤナミは、アヤナミだ」と答えます。アヤナミは村では生きられないけれど村が好きだったと話してカセットプレーヤーを渡し目の前で消滅してしまいます。

一度は脱走したヴンダーへ戻る決意をしたシンジをミサトたちは受け入れますが、ニアサーで家族を失ったミドリは不満を抱きます。
艦内の「種の保管室」でのミサトとリツコの会話。加持は地球上の全生命をリセットする「人類補完計画」から動植物を守るための“方舟”として、ネルフからヴンダーを強奪しましたが、彼亡き後、ミサトたちは“戦艦”へ改装していました。・・へぇぇ~~そうだったのか😓 
ゲンドウと冬月が目論むフォース・インパクトを阻止すべくヴィレも最後の決戦への準備を進めます。アスカは監禁中のシンジに面会して思いを伝えます。

エヴァ第13号機の無力化のため、「ヤマト作戦」を開始するヴィレは、南極のセカンド・インパクト爆心地にあるネルフ本部にヴンダーの大気圏外からの急降下突撃を敢行します。 
ネルフの空中戦艦群や無数のエヴァインフィニティを振り切り、エヴァ新2号機とエヴァ改8号機が出撃し、無数のエヴァMark.07群に苦戦しながらも、遂に第13号機に辿り着いたアスカは、「強制停止信号プラグ」で貫こうとしますが、自身の新2号機自身”のATフィールドに阻まれてしまいます。眼帯を外し左眼の封印柱を引き抜いて「第9使徒」の力を解放したアスカは自らを“使徒化”することで、新2号機のATフィールドの中和を試みますが、第13号機内に取り込まれてしまいます。

「地獄の門」が再び開き、ネルフが「アナザー・インパクト」の儀式を進めているのと気付くヴィレのメンバーの前にゲンドウが現れます。リツコは躊躇いなくゲンドウの頭に銃弾を撃ち込みますが、そこにあったのは「ネブカドネザルの鍵」により人を捨てた異貌でした。

かつてミサトの父が発案した人類補完計画の全容(人類の人類による進化と世界の浄化。進化の贄として用意された「アヤナミシリーズ」と「シキナミシリーズ」)に言及しながら初号機の返還を要求したゲンドウの前にシンジが現れますが、ゲンドウは呼びかけに答えず第13号機に取り込まれます。逃げ続けてきた責任を自らの意志で負う覚悟をしたシンジは、エヴァ初号機に搭乗して父を止めると告げます。彼の贖罪に納得できないミドリ、彼を止めようとするトウジの妹のサクラ、混乱する中、シンジを庇ったミサトが撃たれます。

マイナス宇宙へ突入するシンジと初号機のシンクロ率は無限に至り、「カシウスの槍」(希望の槍)を持つ初号機と、「ロンギヌスの槍」(絶望の槍)を持つ第13号機の戦闘が始まります。
シンジの記憶から生み出される現実と虚構の境界が曖昧な光景の中、ゲンドウは現実と虚構世界の再構築を語ります。アディショナル・インパクトが始まり、頭部のないアヤナミレイへと変化していきます。

冬月はマリ=イスカリオテのマリアにエヴァMark.10〜12を譲るとLCL化し消滅します。ヴィレの槍が完成し、ミサトを残してヴィレメンバーが退避します。マリの改8号機はエヴァMark.10〜12やMark.9-Aを含む4体のエヴァを取り込んでシンジ救出に備えます。

暴走を続けるゲンドウに、シンジは「お父さんのことを知りたかった」と話しかけ、カセットレコーダー(元々父の愛用品だった)を返します。
ゲンドウは両親の愛情を知らずに育ち他者との関わりを恐れた少年時代や、ありのままを受け入れてくれた妻ユイとの出会いと喪失の苦しみの回想の中でユイの名を呼び続けますが彼女は現れません。自身の弱さ故に会えないのだと落胆するゲンドウに、シンジは自身の弱さを認めていないからだと答えます。この一言で彼が大人になったことがはっきり示されますね。

人の手で造られたヴィレの槍に込められたミサトの意志を受け取るシンジを見て息子の成長を思い知らされるゲンドウ。息子という存在が父である自分への罰と感じ恐れていたことを彼はシンジに謝ります。次の瞬間、シンジの心の中のユイと再会したゲンドウは全てを悟って去っていきます。

第13号機に取り込まれたアスカも、「シキナミシリーズ」の複製体として生まれた自身の過去を回想していました。
シンジの前に現れたカヲルは、彼との対話の中で、シンジにとっての幸せを誤解していたことに気付き、彼に全てを託すと自身のことを「渚司令」と呼ぶ加持と共に去っていきます。カヲルの正体は虚構と現実の狭間の「渚」にいる者だったのね。
最後にアヤナミと対面したシンジは、新しい人間が生きられる世界=エヴァの存在しない世界を願って、第13号機を初号機(に乗る自分)もろとも、ヴィレの槍で刺し貫こうとしますが、そこにユイが現れてその役目を引き受けます。
全てのエヴァが次々と槍に貫かれ消失し、全ての生命が元の魂の形へと戻っていきます。

青い海の浜辺に佇むシンジをマイナス宇宙への再突入に成功したマリが迎えに来ました。
場面は変わり、駅のホームに佇むシンジ。
エヴァの存在しない世界の創造により、彼は14年の時を経た大人になっています。
向かいのホームには、アヤナミやアスカ・カヲルら見知った人々の姿がありました。
マリとともに、駅の外に出たシンジの前には、エヴァの存在しない平穏な世界が広がっていました。

正直戦闘には興味がないので(おぃ!😓 )専ら人間模様に関心がありましたが、シンジのことを殻に閉じこもる臆病者だと思っていたけれど、実はゲンドウこそが臆病者だったという。😔 いわば壮大なる親子の断絶と和解のお話だったのね。


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大名倒産

2023年06月23日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2023年6月23日公開 120分 G

越後・丹生山にぶやま藩の鮭売り・小四郎(神木隆之介)はある日突然、父(小日向文世)から衝撃の事実を告げられる。なんと自分は、〈松平〉小四郎― 徳川家康の血を引く、大名の跡継ぎだと!庶民から一国の殿様へと、華麗なる転身…と思ったのもつかの間、実は借金25万両(100億円)を抱えるワケありビンボー藩だった!?
先代藩主・一狐斎(佐藤浩市)は藩を救う策として「大名倒産」つまり藩の計画倒産を小四郎に命じるが、実は全ての責任を押し付け、小四郎を切腹させようとしていた…!残された道は、100億返済か切腹のみ!
小四郎は幼馴染のさよ(杉咲花)や、兄の新次郎(松山ケンイチ)・喜三郎(桜田通)、家臣の平八郎らと共に節約プロジェクトを始めるが、江戸幕府に倒産を疑われ大ピンチ!果たして小四郎は100億を完済し、自らの命と、藩を救うことが出来るのか!?(公式HPより)


浅田次郎の同名時代小説を『老後の資金がありません!』『そして、バトンは渡された』の前田哲監督で映画化。

基本はコメディで、ちょっと遊び過ぎな感もあるのですが、肩の力を抜いて笑って観ていられます。「超高速参勤交代」や「引っ越し大名」に比べたら見劣りは否めませんが、エンドロールで演じている役者さんたちが楽しそうに踊っている姿が可愛かったので、まぁいいか😉 小四郎が小さい頃に流行り病で亡くなった母・なつ(宮崎あおい)がナレーションを務めています。

小四郎は父の作る塩鮭が自慢の心優しい青年でしたが、ある日突然藩主の息子だと言われ、有無を言わさず江戸の上屋敷に連れて来られ藩主を継ぐことに。先代藩主には小四郎の他に3人の息子がいるのですが、長男は家督を継いだ直後に落馬して死亡、次男は頭が弱く三男は病弱のため庶子の小四郎にお鉢が回ってきたのです。

中屋敷に住む次男の新次郎はうつけ者(常に鼻を垂らしているのは「忍たま」のしんべえ並み)ですが、庭造りにかけては天才的で、とても純粋な人です。旗本大番頭の小池(高田延彦)の娘のお初(藤間爽子)と惹かれ合っていますが、娘の幸せを願う父は貧乏藩のうつけに嫁ぐことに猛反対しています。
二人の兄たちは小四郎を歓迎し温かく迎え入れてくれます。

家督相続の挨拶に出向いた小四郎に、老中の板倉(勝村政信)と老中首座・仁科(石橋蓮司)は銀馬代が納められていないと告げます。慌てて家臣に尋ねると、家老の天野大膳(梶原善)はあっさり不払いを認めたばかりか、卑しい金の話などするなと窘める始末。お目付け役の磯貝平八郎(浅野忠信)と下屋敷の父を訪ねた小四郎に、父は藩と領民を救うためだと計画倒産をもちかけます。

町で水売りをしていたさよが、ならず者に絡まれているのを助けて再会した小四郎は、彼女に藩の窮状を打ち明けます。子供の頃から気の強い彼女に小四郎は助けられていました。一度は父の提案を受け入れたものの、次男からそれでは家臣や領民の一部しか救えないことを教えられた小四郎は、何とか皆を救う手段がないかと考え、さよと共に借金返済に奮闘することになります。

蔵に眠る武具や家財を売り払い(リサイクル)、不要な家も売り払って兄弟皆で上屋敷に暮らし(シェアハウス)、糞尿も肥やしとして売り(SDGs)、参勤交代では宿をとらずに野宿(キャンプ)と節約に励むうち、家臣たちも一丸となっていきます。

久々に国元に帰った小四郎が目にしたのは城下の寂れたありさまです。藩が借金をしている天元屋に牛耳られ、塩鮭作りが出来なくなって土木作業に従事させられている養父や、税の前払いを強要され逃げ出す領民が続出して城下は荒れ果てていました。そこへ江戸から老中の呼び出し状が届きます。大名倒産の計画が漏れたのです。急ぎ江戸へ引き返した小四郎は、莫大な借金の原因を探るべく勘定方の橋爪(小手伸也)を訪ねます。

一狐斎に命じられ小四郎を見張っていた平八郎ですが、彼の誠実な人柄を知り迷いが生じてきます。責任を感じた橋爪が首を吊ろうとした場面を目撃して思わず助けた彼は、小四郎に裏切っていたことを詫びます。

平八郎から両替商の天元屋タツ(キムラ緑子)との長年の因縁を聞いた小四郎は、藩の帳簿と橋爪が密かに書き留めていた帳簿を突き合わせて、天元屋が藩の借金25万のうち20万両を中取りしていたことを突き止めますが、動かぬ証拠である現物の在処がわかりません。

一狐斎の元を訪ねた小池(二人は旧知の仲)は、小四郎が若い頃の理想に燃えていた一狐斎とよく似ていると言い、お互い子に教えられると話しました。(お初もまた父親に自分の幸せは自分で決めると、新次郎との結婚を願い出ていました。)

板倉と仁科の前で天元屋の悪事を申し立てた小四郎ですが証拠がないと仁科に一蹴され、切腹を命じられてしまいます。その時火付盗賊改方の長谷川が駆け込んできて、天元屋の蔵から見つかった悪事の証拠(平八郎が真贋の区別のために全て齧った歯型がついている小判で、某五輪選手の金メダル事件を連想させます)が暴かれます。(前日に小四郎の元に天元屋の隠し財産の場所を教える文が投げ込まれ、それを使って平八郎が友人の長谷川に捜査させたようです)

仁科は一狐斎を自分の側の証人として呼び寄せていましたが、逆に罪を告発されてしまいます。庶子である小四郎を捨て駒にしようとしていた一狐斎でしたが、小池や平八郎らの進言に今一度昔の自分を思い出して全てを告白する決意をしていたのでした。

天元屋と仁科が藩を食い物にしてきた事実が暴露され、借金も無事完済できて、藩の財政確保のための案も認められたことで、倒産の件は不問に処されます。新次郎が小四郎を励まそうと握ってくれた塩鮭入りのおむすびに着想を得て、塩鮭と米を江戸に運んで売るというアイディアを思いついたのです。そのための船はお初の父が娘の結婚祝いとして調達してくれて、万々歳で幕を閉じます。

エンドロールの後、新次郎とお初の婚儀の模様が映し出され、小四郎とさよが良い雰囲気になって本当にTHE ENDでした。

原作小説とは設定が異なっている部分もあるようですが、コミカルさを前面に出しながら、人情に訴える場面もあって楽しめました。




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