杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

オーロラ

2009年11月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2006年12月16日公開 フランス 96分

踊ることをを禁じられた国に生まれた稀有な踊りの才能を持つオーロラ姫(マルゴ・シャトリエ)は、王(フランソワ・ベルレアン)にとって悩みの種であった。干ばつと洪水で疲弊した王国の財政に、側近(ティボール・ド・モンタランベール)はオーロラ姫と裕福な他国の王子との政略結婚を進言し、王は婚約者を見つけるための舞踏会を開く事にする。しかし、見合いのための肖像画を描くために呼ばれた画家(ニコラ・ル・リッシュ)と姫は互いに惹かれ始める。この機に乗じて王国乗っ取りを企んでいた側近は政略結婚に反対する邪魔な王妃(キャロル・ブーケ)に毒を盛る。王妃は、愛する人の前で身につければ一生添い遂げられるという首飾りを姫に贈り、息を引き取った。想いが通じ合った2人だが、王に知られて引き裂かれ、画家は投獄されてしまう。三度目の舞踏会の相手の求婚も断った姫に激怒した王は画家の処刑を命じ・・・。


パリ・オペラ座のエトワール三人を初め、ダンサー総勢35人が出演しています。
幻想的で美しい映画の世界はバレエの持つ美しさでもあります。

姫への求婚相手はアブダラ王子(カデル・ベラルビ)、ジバンゴ王国の王子(竹井豊)、ヌフシャテルの王子(ヤン・ブリダール)ですが、ジバンゴは日本をイメージしているのは明白。
各国のダンスにはダンサーたちが総出演です。この踊りのシーンが映画のもう一つの見所でもあります。そしてジバンゴの踊りはかなり異様(^^;

初々しいオーロラ姫の輝きは白を基調とした無垢なイメージですが、王妃の聡明な美しさも素敵でした。

王がダンスを禁じた理由がいま一つ説得力が無い(王妃を独占したかった?高い身分のものに相応しい態度が求められた?)のが残念な点かな。でも殺された画家と雲の上の世界で踊るシーンはとてもファンタジックで、結末も姫的にはハッピーエンドなのも良かったです。

ミュージカルもバレエも舞台は観ることは全くないけれど、映画を観ると生で観てみたいと心惹かれてしまいますね。

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サイドウェイズ

2009年11月04日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2009年10月31日公開

親友・大介(生瀬勝久)の結婚式に出席するため渡米した、キャリアも私生活も冴えないシナリオライターの道雄(小日向文世)。独身最後の日々を謳歌したい大介との1週間のドライブ旅行は、カリフォルニアワインの聖地ナパ・バレー。そこで彼らが偶然出会ったのは、道雄が20年前の留学生時代に家庭教師として勉強を教えていた麻有子(鈴木京香)と、レストランでアルバイトしながら画家を目指すミナ(菊池凛子)だった。

カリフォルニアを舞台に、男2人のワイナリー巡りの旅を描いた『サイドウェイ』の日本版です。
キャストの職業やエピソードの細かい点は変えていますが、ストーリーはほぼ本家と同じでした。オール海外ロケ&スタッフというのも売りらしい。

人生の折り返し地点で寄り道をしてみたら・・・カリフォルニアのワイナリーや町並みを楽しみ、情けない男たちの姿に笑い、突っ張って生きる女たちの本音に共感を覚え、無性にワインが飲みたくなる作品という点ではハリウッド版にひけをとらない出来かも。

意外にも生瀬さんが役にぴったりはまってて、嬉しい驚きを感じました。
ボヤッキーのイメージだったのに(笑)
こひさんの人懐こそうな笑顔も良かったな。
でも、一年留学してて日常会話には不自由しない筈の大介が、場面によって英語がNGだったり、やけに自然に会話してたりだったのが矛盾を感じたかな(^^;

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アマルフィ    ネタバレあり

2009年11月01日 | 
著者: 真保裕一   出版社: 扶桑社

日本人少女が失踪。誘拐か、テロの序章か?
ローマ、ナポリ、アマルフィ海岸ーーイタリアを舞台に壮大なスケールで描かれるサスペンス超大作!
外交官・黒田が見出した事件の全貌とはーー。
フジテレビ開局50周年記念映画、原作本! 

初めに映画ありき!のプロット本ということですが、犯人一味とそのターゲットになった人物はいずれも日本人ではないのが大きな相違点かな。
映画製作においては犯人も彼が狙った政治家も日本人の方が作りやすかったのかもね(笑)で、共同執筆者である新保氏は初めに練った構想捨てがたく、小説として出版したということのようです。

先に映画観てるので、どうしても黒田=織田、 紗江子=天海の姿が頭の中で浮かんでしまいました。でもそれは本のイメージを損なうものではなかったです。

邦人保護担当である黒田は誘拐事件の協力を申し出ますが、他の日本大使館職員たちは、彼とは逆になるべく関わらずに済ませようとします。この役人体質丸出しの描写は大げさなのではなく真実に近いのだという見方があるということ自体が嘆かわしいのですが(^^;

身代金の受け渡し場所にローマ観光よろしく引きずり回した映画版と違い、犯人が指定してきたのは初めからアマルフィでした。
身代金受け渡しは失敗に終わり、ホテルでの黒田との抱擁も出てきません。(彼らの交流は最後まで心情的なものだけで、この点も娯楽サービスの要る映画との相違点ね)

主犯はイギリス人。当然佐藤浩市じゃありません(笑)観客サービスの福山君に相当する人物もいません。犯人の一人が日本人女性で、警備会社で立ち回りを演じるのも紗江子ではなく彼女になっています。(映画版ではあのシーンはかなり無茶苦茶感がありましたもんね)

さらに、犯人が狙っている真のターゲットはロシア外相です。
キリスト教総本山のヴァチカンはイスラム教徒の多いチェチェンへの弾圧を行った「熱心なカトリック信者」のロシア外相を非難することはせず、彼のために特別列車を仕立ててもいる。そのことが犯人たちの憤怒を呼んでいるのです。

そこで、キリストとイスラムの文化を併せ持つ「アマルフィ」という地をコードネームにした意味が生まれるというわけです。ただ、犯人の狙いはあくまでロシア外相一人で、法王その人に危害を加える意は全く無いという設定になっています。

作者は最近の世界テロ事情と、それに対する世間の無関心を辛辣に盛り込んだ物語を改めて世に出したかったのね。

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