杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

老後の資金がありません!

2021年11月01日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2021年10月30日公開 115分 G

主婦・後藤篤子(天海祐希)は、困っていた。
家計は妻に任せきりの夫・章(松重豊)の給料と篤子がパートで稼いだお金をやりくりして、フリーターの娘・まゆみ(新川優愛)と、大学4年生の息子・勇人(瀬戸利樹)を育て上げた。節約をモットーに、自分に許した小さな贅沢と言えば、月謝5000円のヨガ教室程度。憧れのブランドバッグも我慢して、老後の資金をコツコツと貯めてきた……はずなのに!
 身の丈に合っていたはずの篤子の生活が、突如綻び始めたのだ。入院していた舅の今際の際に、章の妹・志津子(若村麻由美)から喪主を押しつけられ、葬儀代400万円近くを支払うことに。折しも、密かに正社員登用を期待していたパート先をリストラ。なかなか次の仕事が見つからないところに、まゆみが結婚相手を連れて来た。年収150万円のバンドマン・琢磨(加藤諒)は、地方実業家の御曹司につき、芸能人御用達の式場での盛大な披露宴を希望しているという。しかも費用は両家の折半で、最低でも300万円負担することに。700万近くあった貯金があっという間に底をついてしまいそうな、後藤家大不況の中、章の会社がまさかの倒産!? 住宅ローン完済の当てにしていた退職金は当然0円。結婚30周年目前、夫婦そろって失職するハメに。
 篤子の銭闘はなおも続く。金銭感覚が麻痺しそうになりながらも、自動車の売却やレンタルモップの解約など、家計のダウンサイジングを次々と断行。しかし篤子の努力もむなしく、出費はかさむばかりだ。いよいよ毎月9万円の姑・芳乃(草笛光子)への仕送りさえ捻出できなくなった篤子は、志津子夫婦との話し合いの席で、芳乃を引き取ると口走ってしまう。やむなく姑との同居がスタートするも、元・老舗和菓子屋女将は超がつくほどの浪費家だった…!芳乃の豪快な金遣いに、貯金はいよいよ0円が目の前に迫る勢いになってきた頃、今度はいきなり「生前葬をする」と言い出した!? ありとあらゆるお金の問題に振り回されてきた篤子の我慢は、ついにピークに達する!! 果たして篤子は、この絶体絶命のピンチを切り抜けることができるのか?!(公式HPより)

 

垣谷美雨の同名小説の映画化です。監督は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の前田哲ということで、シリアスなテーマなのにコメディ色が全面に出ています。

公開日からシネコンでの人数制限が解除されていて、今日も席を取った時は空いていたのにしっかり夫婦?が隣に来て、しかもべちゃくちゃ会話を本編始まるまで続けられイラっとしてしまいました。予告が始まったら口開くなよ!!

本編中に会話したらつついてやろうと思ったけど、幸いそこまで無神経じゃなかったからホッとしました。

規制解除でこういう、映画に集中できなくなる行為をする奴がまた増えるんだろうな~~

映画化の前に小説の方を読んでいたので、役者さんがどんな風に演じるのか楽しみにしていましたが、主演の天海さんはもちろん、姑役の草笛さんが素晴らしかったです。生前葬での「ラストダンスは私に」の歌声も良かった 二人の掛け合いのセリフの中で「宝塚」ネタが出てきて笑わせてくれます。この時の天海さんの表情がまた何とも言えないの

主題歌を歌っているのは氷川きよし歌詞も明るく元気を貰える内容です。

小説と違い、後藤家の老後資金は700万に減少しているのに、今や2000万ではなく4000万が必要という経済ジャーナリスト(荻原博子)の言葉。舅の葬儀費用全額負担は本と同じですが、娘の結婚式の費用負担や、友人サツキの年金詐欺の話は親の性別が変わり、詐欺自体も未遂に終わるなど、全体的に内容は軽めでハッピー要素が増えていました。

義妹役の若村さんは「科捜研の女」の風岡先生のイメージが強いのですが、夫役の石井正則ともども正論振りかざすインテリ夫婦を上手に演じています。篤子と母親が仲良くしている姿に嫉妬を覚えて母を引き取ると言い出すあたり、根は良い奴なのね。

琢磨の両親役は佐々木健介・北斗晶夫妻が演じています。篤子の両親役は竜雷太と藤田弓子。西瓜畑を売って念願だったサーフショップを開店するなど、こちらもかなり個性的です。他にもヨガ教室の講師(クリス松村)、葬儀社のベテラン社員(友近)、役所の職員(三谷幸喜)などなど、顔ぶれも豪華で楽しめました。松重さんの演じるどこか他人事で妻任せなおとぼけ亭主も「こんな夫いるよね~」と思わせて絶妙感がありました。

義父の死に際の言葉「ぼたもち三個は食えない」は笑いのネタかと思ったら「いくら美味しいものでも三個目は・・」という「何事もほどほどが良い」という教えだったのね。

義母と子供たちが家を出た後、後藤夫妻は家を売ってシェアハウスで暮らす選択をします。これからまだまだ続くだろう二人だけの暮らしを考えた時、人生をより実りあるものにすることを選んだのです。このシェアハウスという要素は小説には登場しませんので、映画ならではの結末ですね。


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